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メロンさんに会うために  作者: かろりんぺ
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Travelers~あなたの旅日記

 急いで学校から帰宅すると僕は部屋のカギを掛けた。べつに掛けたところで誰も気にしない。

 僕は今からゲームをする。お菓子やジュースはいらない。向こうの世界にある。時間を確認すると17時36分。間に合った。

 窓から見える街路樹は葉っぱが一枚も見当たらない。エアコンはつけておこう。

 右手の母指内転筋を軽くもみ、埋め込まれたマイクロチップの感触を確かめる。そして目を閉じ一息はく。

 スマートフォンを持った左手に汗が滲んでいる。僕は、剣を持って構える勇者のアイコンをタップした。画面が黒くなる。そして


『Travelers~あなたの旅日記』


 そう表示されフェードアウトしていく。次に画面中央に青い円が点滅し、その下に

「マイクロチップをかざしてください」と表示された。

 僕はスマホに右手をかざした。チリンと音がした。スマホからではなく僕の頭の中から音がした。目の前が真っ暗になる。


 今日はメロンさんに会えるかな?


 村のBGMが鳴りだした。のどかな音楽。鳥の鳴き声も聞こえる。

「ようこそおいでくださいました、かろりさま。旅のご無事を祈っております」

 村の教会のシスターが僕を見つめていた。さあ今日も冒険をするぞ。

 村にはたくさんのプレイヤーであふれていた。年齢もさまざまで小学生ぐらいのプレイヤーもいたし、腰の曲がったおばあさんのプレイヤーもいた。僕と同じ高校生くらいの人もいた。

 僕と同じといっても実際はわからない。なんせ僕の姿はTravelers~あなたの旅日記、トラあなの世界では25歳に設定してある。そして性別も設定できるから、きっと男でも女性でプレイしている人もいるはずだ。

 僕の頭のターバンが風でかすかな音をたてる。地面の土には草も生え、小さな虫もいる。春のような陽気だ。


 初めてプレイした時は驚いた。小学校のころ夢中でプレイしたVR、そんなものではなかった。

 実際にここにいるんだから。

 背中にはこん棒の重みを感じるし、すぐそばの民家からシチューの匂いも漂ってくる。窓から家の中をのぞくと小太りなおばさんが台所で鍋をかき混ぜていた。

 その頭の上には『カンザ』と緑色の文字で浮かんでいて、それは『NPC』(ノンプレイキャラクター)を表すものだ。

 民家の外には大きな壺が置いてある。僕はしっかりとのぞいた。中には金貨が入っていた。100円玉や500円玉ではない。中央に王様の顔が掘ってあって『8』という数字が浮かんでいる。8ゴールド。手に取るとずっしりと重かった。

 僕は腰にさげた四角い貯金箱のような小さな箱に金貨を入れた。入れた途端、重みは無くなった。

 そろそろかな?

 頭の中で現実世界の時刻を思う。『18:00』文字が浮かび確認すると、僕はその文字を消した。約束の時間。頭の中で思えば、色々なメニューを開くことができる。

 僕は『友だちリスト』を開いた。

 メロンさんはまだログインしていなかった。



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