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木積さんと奇怪な日常  作者: 浅木宗太
5/29

一怪、始まり。−5

「もしもし?おかあさん?」

「あら、すず。きちんと着いたん?管理人さんに挨拶はした?」

聞き慣れた身内の声に内心ほっとする自分がいるのがわかる。

「それは問題ないよ。あ、せや、じいちゃんに代わってくれん?聞き忘れとったことがあってな」

そう言うとお母さんは

「じいちゃんのお師さんの事やろ?」

と言い、更に「あんたはほんと昔っから変なとこ抜けとるんやから。きちんと聞いていかなあかんやろ~」と電話越しに笑っているのが聞こえる。

「じいちゃんな、ちょっと待っとき。部屋におると思うさかいな」

「ん、ありがとう」

電話の向こうから「おとうさーん、すずから電話よー」「なんや、すずからかいな」という会話が聞こえてくる。

「もしもし?すずか?」

「おじいちゃん?すずだよ。ちゃんと河井荘についたよ」

「そうけえ、じゃあもう会ったか?」

「その事なんだけど、私、その人の名前も特徴も聞いてないよ」

そういえば「なんじゃ、今頃か」という返答が返ってくる。

「すずがいつ聞いてくるやろなぁ思うて待っとったんじゃが、ほんにお前は話を聞かんなぁ」

「それについては反省してるよ……で、その人ってどんな名前なの?」

「あの人の名前か、うむ、ヒトではないんだが、あの方の名前はな」

名前を聞いた私は電話を切るなり走って部屋へ戻った。


「彼方ぁ!!!!」

障子がスパァン!という小気味良い音を立てて盛大に開く。きっとリプレイがあるとしたら三カメくらい使った事だろう。いや、今はそうじゃない。

「なんだよ、そんな慌ててよ」

「なんだも何も!あんたじゃん!!!」

「何が」

「おじいちゃんのお師匠さん!!」

そういえば目の前の黒髪の少女は「あー」と頭を掻く。鈴がチリチリと音を立てる。

「大五郎ちゃんの孫っつうからどんなもんかと思ってたんだけど、話はきちんと聞いてきた方がいいぜ」

「それはさっき散々言われたんでお腹いっぱいです」

「改めて、自己紹介といこうか。俺は化け猫一派、積の五代目組頭。積斑丸。人の世では木積彼方、なんて名乗ってる怪異よ」

彼女は「そして、ここにいる間、お鈴の修行の手伝いをするわけだが、まあ頑張んな」と言うと、にぃ、と笑ったのだった。

しばらくは二日から三日に一度の更新となります

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