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木積さんと奇怪な日常  作者: 浅木宗太
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拝み屋はつらいよ−4

修行という名目のパトロール中、つい最近何処かで見たような人に話しかけられました。

「お嬢さん、ちょっとすまないが、河井荘の場所を知らないだろうか?」

白髪混じりの金髪はそれでいてもなんかかっこいい。スーツをかっちりと着こなしているその人はこんなのどかな町には不釣り合いすぎる。

「あの、どちら様でしょうか……?場合によってはポリスメーンにすぐに通報しろと(管理人に)言われてまして……」

「ああ、それは失礼。私の名前はウィリアム。ウィリアム・ケージだ。」

「ケイジさん」

「うん、何だかイントネーションが違う気がするが今回はスルーしておくことにしよう!して、質問に戻りたいのだが、河井荘を知らないかな?君は見たところ、我々側の人間と見える。そして恥ずかしながら、20年ぶりなものでね、すっかり道順を忘れてしまったのだよ」

困ったように笑うケイジさんからは悪いものは感じ取れない。むしろ何かを懐かしむようなそんな感じだ。

「私、河井荘に今住んでるんです。今から帰るとこですし、一緒に行きますよ」

そう言うと彼はぱあっと嬉しそうに明るい表情をする。

「本当かい?それは嬉しいなぁ」

そんな彼が河井荘についた矢先に庭でバッティング練習をしていた彼方と河原くん、道さんの三人による顔面ホームランという大事故兼手荒い歓迎を受けたのはまた別のお話である。


「この度は我が愚息が面倒をかけたようで申し訳ない」

そう言って頭を下げるケイジさんの前にはいつも通りの読めない表情の彼方が座っている。

「それはそうと、あんたはまず自分の顔面の心配しな。エンデュリオン・オルタナウス」

「いや、私はエンデュリオン・オルタナウスではないというか、それは武器の名前で」

「あんたの息子、昔のあんたそっくりだったぜ。まぁ、あんたの方がパンチが効いてたけどな。エンデュリオン・オルタナウス」

「いや、だからそれは武器の名前なんだってば」

これは面白がっているな。と即座に思うくらいには連呼されるエンデュリオン・オルタナウス。しかしこちらもこの大人の雰囲気を醸し、幾つもの場数を踏んできたであろうこの人が。面白さでじわじわとこみ上げる笑いの扱いに困る。

私も人のことを言えたものではないのだが、どうやら、道さんのツボを突いていたらしく、湯呑みでお茶を飲むふりをして顔を隠しているが口角が上がっているのまでは、隠しきれていない。そっとそんな彼の隣に寄り、ボソリと呟く。

「おお、彼が、かのエンデュリオン・オルタナウス……」

噎せた道さんに頭をはたかれたのは言うまでもない。

「おっまえなぁ……いきなり何しやがんだ」

「だって、道さんが面白いことになってるから……」

「馬鹿野郎」

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