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木積さんと奇怪な日常  作者: 浅木宗太
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拝み屋はつらいよ-3

時間が空きました

「それも、そうかな」

彼方の言葉にそう返せば、更に彼女は楽しそうに目を細める。

「その為にもきちんと一人前になって帰らなきゃ」

「おう、その意気だ」

彼女とここ暫く一緒に暮らしてわかったことなのだが、彼女はいつも楽しげにしているが、その笑みはいつだって何か足りないのだ。

それが何なのかは私にはわからないが。

河井荘に帰ると、いつもの様にジャージにエプロン姿のまっちゃんが炊事場で料理をしていた。

「おかえり、割と散々な目にあったんだって?」

「ただいま。どこぞのヒヨっ子さね」

「父親そっくりだったみたいじゃないか」

「かなりな。そうか、あれももうそんな歳だよなぁ。歳をとるのは面倒なことが増えるな」

「それ、彼の父親の時も同じこと言ってたよ。あと冷蔵庫の中を漁らない」

冷蔵庫を漁っていた彼方は「へーい」と生返事と共に魚肉ソーセージとペットボトルに入れられたお茶を持って、リビングへと入ってくる。そして、そのまま4月の終わりだと言うのにまだ現役と言わんばかりに置かれた炬燵に足を突っ込む。

「父親って事は、あの迷惑な人のお父さんも?」

そう聞けば彼方は魚肉ソーセージを齧りながら頷く。

「そうだとも。あいつの父親も同じ事してたぜ。んでもって同じ目に遭ってやがった」

「さすが親子と言うべきか……それともあきれるべきか……」

「ああ見えてもわりと名の知れた名家なんだぜ?あっちじゃな」

「なんであっちからこっちに来て銃刀法違反して里帰りするの?何かの儀式?」

「知らんがな」

親子揃ってってあたりに悪意を感じざるを得ないんだがそれはどうなんだろうか。

て言うか、里帰りですらない。強制送還じゃん。

「あいつの父親はなんつうかな……あれよりパンチが効いてたからなぁ」

遠い昔を思い出すような彼方の目にはハッキリとある種の色が浮かんでいた。

「ねぇ、そのパンチってもしかして……」

「我が聖なるエンデュリオン・オルタナウスが貴様を真なる輝きによって成敗してくれる……」

「あぁ〜やっぱりかぁ……」

そいつは父親の方がパンチが効いている。間違いない。

「明日にはその父親が回収に来るそうだ」

「なんと言うか……お疲れ様です……」

「ちなみにその父親もその父親が回収していったな」

「そう言う儀式なの?」

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