野望
――純粋な正義とはいつの世も存在しないものだ...
戦争が始まる。最強王国アラビアとシンメトリ第13帝国による世界大戦だった。最強王国アラビアの同盟国はキュウ国そして同盟国はカラブ王国だ。
シンメトリ第13帝国の同盟国はテキン国だった。
ひとつながりに過去の歴史をまとめた。
シンメトリ第13帝国とテキン国による密約が行われた。
豪勢な会議室が開く。シンメトリ第13帝国とテキン国による同盟の密約だった。
「明日の13時にアラビア王国に攻め入ります。地図上ですと上にあるのがカラブ王国、下にあるのがキュウ国です」
国家王子レイは淡々と説明した。
「東にアラビアが、あの巨悪ドンホテルの住処がある。破壊してしまえ。もろとも吹き飛ばしてしまえ」
テキン王国元帥マル・ゲリタは言った。
最強と呼ばれ、数々の敵を容赦ない手で粉砕してきたのだ。
「さぁゲームが始まるぞ。巨大な悪をも粉砕してしまえ。私の野望は尽き果てぬことを知らぬ。シンメトリを背負う王子レイよ。お前はまだ若すぎる。武器と宰相に秀でているまぎれもない才能は認めよう」
「相変わらず閣下は熱情にあふれておりますね。私としたことが失敬」
「シルレル、18世紀の詩人の歓喜に寄すを知っているな。歓喜よ。華々しい勝利の女神よ…… 私はロマンスを追い求めた。限りない喜びを戦闘と限りない残虐さに見出したのだ」
「宴は終わりにしましょう。わたくしどもは疲れ果ててしまいました。ニヒルの皮をかぶったのが道化師である私。冷徹にして虚無主義。国家の戦争など戦略の実践にすぎません」
二人は握手を交わした。
一方アラビア、カラブ、キュウによる密談も行われた。
「あっははは。あの邪悪なマルゲリタの首を取る時がついに来た。さぁ葡萄酒を持ってこい。たるごとだ。もう僕がすべて飲んでしまう。知っているか? 僕はこう見えてとても頭がいいのだ」
邪悪な怪物と呼ばれたドンホテルが言った。
「知っていますよ。ねぇ村人どもを一人残らずぶちのめしてやりましょう」
チンマルクは言った。
「ここに村人を連れてこい。今すぐにでもだ。首をはねてしまえ」
ドドイラはそう言った。
いかにも人相の悪い弱そうな村人を下僕が連れてきた。
「さぁ見世物にしてしまえ。俺はただ満足のために生きた。それで何かが満たせたか? 答えは否だ。どれだけ満足のために生きようとしても我が聖杯の中に愉悦が注がれることはないのだ」
下僕は村人をけしかけた。
「おい今なら逃げれるぞ」
村人は笑った。
「ああやって笑っていられるのも今のうち。戦争が始まれば僕らはみんなでよってたかってあいつの首をはねてやりますよ」
「おいまだか?」
瞬間、下僕は村人の首をはねた。
村人の首が飛んだ。
「おい見たか! あれが俺の力だ。この世の悪の限りをつくした俺は正義の仮面をかぶっていた! あまりの威力に空から青さが吹き飛んで真っ黒になってしまうほどだ」
ドンホテルはそう言っておもむろに立ち上がり村人の首を蹴り飛ばした。
「ああ俺は悪魔に血を売ってやったぞ。どうだ極悪非道なお代官様のようだ」
「そうですとも!」
「燭銀の聖杯の中に血が注がれた。さぁ悪魔が舞い戻る時がくる。ゆらめきと魔術の世界の中に幻想魔境の最後の言葉だ。俺は地獄を見続けた。最後に嘘をつく宿命ならば努力は時間を超越するだろう。力こそが正義となり力の限りどれだけいっても終わることはない。世界が終わる夜に星がきらめく。大地が揺れて火山が吹きだした。ああ見つかったぞ地面の中に底割れた大宇宙が、死んだ世界からよみがえった不屈の精神が。よみがえれ悪魔よ。俺は悪魔の法則を見出した。僕がまだ狂人なのは気のせいだ。悪魔が俺に笑いかけた。さぁ聖杯の儀だ。中央の風はすべて俺がはぎ取った 力は限界まで開かれた。俺は獣となり、快楽主義者への道だ。男女はいつの世のも憎しみあい奪い合うだろう。黄金の火花が海中に沈んだのだ。俺が追い求めたのは力だ。全く不必要な」
ドンホテルはそう言って大麻を葉っぱごと紙に巻いて吸った。
「陛下!」
「なんだ?」
「戦争がはじまります」