駆け落ちversion1
※キチガイです。
「ちっ、追っ手か……」
俺の名は『○○』現在進行形でかけおち中。
俺の彼女の名は『芝桜乃宮麗香』この国の象徴である天皇陛下の孫娘である。
「あっちか?」
「居ないぞ?」
「どこだ?」
ふぅ、巻いたか……だが、ここもすぐにバレるだろう。
もっと遠くへ行かなければ。
「大丈夫か?麗香」
「うん、大丈夫。○○さんの方こそ大丈夫?貴方、文科系でしょ」
確かに俺は文科系だ。しかし、毎日120㎞走っていたんだ。この位どうって事はない。
「俺の心配はしなくて良い」
『ドクン ドクン』
だんだん心臓の鼓動が大きくなってきた。
俺たちは今、二人で、飲食店の掃除用具入れの中に隠れていた。
「はぁはぁ」
息が重なり合う。
「麗香、頑張ろう……もう少しで大使館だ。大使館に着けば俺達は、自由の身だ」
「はい、○○さん」
「よし行こう」
俺達は、勢い良く掃除用具入れの扉を開け、飛び出した。
「いたぞーあそこだ」
追っ手に気づかれた。
俺は咄嗟の判断で麗香をお姫様抱っこして走り出した。
神速のパシリ。これが俺のあだ名だ。
使いパシリ歴18年、即攻で自販機でジュースを買い戻ってくる早さが尋常ではなかったので、このあだ名が付いた。
「○○さん、早い」
「ふんっ、神速のパシリを舐めるなよ」
ジュースに比べれば、麗香なんて、一円玉くらいだ。
「応援を要請する」
ふと、後ろを見ると、自衛隊の攻撃ヘリや、装甲車、など、普通お目にかかれない乗り物が迫ってきていた。
ふんっ、雑魚が。
俺はスピードを上げた。俺の蹴り上げる足の力に負けたコンクリートがめくれて、走路妨害をしていた。
「ウヲォォォォオォォォ」
はっ。
『キキー』
俺は、走る事を辞めた。
俺の目の前には銃を構える警察、宮内庁そして、自衛隊がたくさんいた。
このまま突っ込んだら、俺達の夢は終わってしまう。
俺は脳をフル回転させた。
何か案はないか?この状況を打開できる案は……。
その時、死んだじいちゃんの言葉が蘇った。
「○○、走るだけじゃ肝心な事を見落としてしまう。たまには、跳んでみなくては」
俺は決めた。
ここは、走るときではない。跳ぶときだ。
俺は麗香をお姫様抱っこしたまましゃがんで、ジャンプした。
『ぴよよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん』
俺は、心の中で天にいるじいちゃんにお礼を言った。
ありがとう……じいちゃん、お陰で俺、幸せになれそうだよ。
俺の脚力は、人間の限界を超え、立ちはだかる非リアの群れを高らかに超えて行った。
「すっすごい、○○さん……ス テ キ 」
麗香の声に俺は励まされた。
その時の俺の顔はひどく、赤面していた。
『ズゥゥゥゥン』
と音を立てて着地すると、俺は再び走り出した。
麗香と結婚する為に。
俺が市街地を走っていると、回りの家の窓から人が出てきて、
「がんばれぇ」
「公僕の豚に負けるなぁ」
「お幸せに」
「背中は任せろ」
「万歳ッ」
「わぁぁぁぁぁ」
など、歓喜の声が発せられていた。
後ろを見ると、一部の市民が集まって追っ手を阻んでくれていた。
みんな……ありがとう。
俺の心は感謝の思いで、いっぱいだった。
「さぁ行こう麗香」
「はぃ、○○さん」
俺は走った。
山を越え、谷を越え、ついに辿り着いた。大使館に。
「やっと着いたんだな」
「えぇ、やっと」
俺達が、大使館に着くと、ゲートが開き、警備員が中へ入れてくれた。
禁断の恋をしてしまった二人は、他国への亡命という形で、かけおちを成功させた。
愛の底力は時に人間を超越するのであった。
その後二人は、末永く幸せに暮らしていきました。
データを掘り起こしていたらなんと私の処女作を見つけてしまった!
このまま放置しておくのもあれなので取り敢えず編集して投稿してみた。
私のキチガイ道はここから始まった。
自分の私利私欲を求めて。