一日目
1
「終わりましたー!」
引っ越し屋の人が言う。それを受けて、「お疲れー。」と周りの人が言った。
見たら、部屋の家具の配置が綺麗だったのでお礼を言う。
「ありがとうございました。」
言った直後に返事が来る。
「いやぁ、仕事ですから。」
まぁ、それもそうだ。これも当たり前の事なんだよな。
「んじゃ、いきますんで。」
返事をする。
「はい。」
「じゃあ!バイビー!」
古いな。おい。
そう思いながら、トラックが見えなくなるまで見送る。
2
「うー。疲れた。シャワー浴びよ。」
えーと、シャワーはどこだったっけ?
「そう言えば、トイレの横にあるんだったな。」
トイレのドアを開け・・・。
あれ、開かない。何でだ。
ガチャガチャとドアノブを回すが、全然開かない。
「仕方ない。カギを使おう。」
財布の中に入れておいたカギを取り出す。
そして、ドアは開いた。
「え・・・。」
そこには、体格的には大学生かな、って感じの女性が便座に座っていた。
その人は目を見開いて、顔を赤くして言った。
「出てってー!」
見ず知らずの人にどなられた。
でも、あとあと変態扱いされてしまいそうだったので、「あなたが出て行って下さ〜い!」と、僕は言った。
3
「何で、さっきの引っ越し屋の人がここにまだいるんですかね〜。」
それが、一番の疑問だった。第一、トイレなんてそこらへんのコンビニで出来るのに。
「さ、さっきの事は無かった事にしてあげますから、一人迷子になった。なんてうちの会社に言わないでくださいよ!」
じゃあ、この人は狭い家でも迷子になるって事なのか⁉もし、そうだったら、脅威的と言っても済まされないほどの方向音痴ってことになるぞ?
「あ、あり得ない・・・。」
「あ、何故か同僚にもそういわれるんだよねー。なんでだろ?」
「言われてるんですか!」
俺は呆れ返った。