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parallel read

作者: 薫子✿

昨日の夜、街にはぼたん雪が降り積もり始めていた。


見渡す限りの、白銀の世界に僕は見惚れていたんだ。


街灯の光はそんな僕を柔らかく包んでくれた。


この世界に一人ぼっちだ、なんて、小説の主人公みたいなことも呟いてみたりした。


零時を駅前の時計がさす頃、何となく人恋しくなって、


かばんから携帯を取り出して、君の名前を電話帳から探す。


ら行までスクロールさせて気付いた。


もう、君に電話したって君は出てくれないってことを。


笑い声も、泣き声も、照れたときのぶっきらぼうな言い方も全部聞けないんだ。


来年も、一緒に居よう、初参りも行こうって言っていたのになぁ…。


呟いた言葉は、吐きだした息と一緒に空に溶けていく。


手を空に伸ばして、言葉を捕まえようとしたけど、空気を掴んだだけだった。


いつも君は夜空を見ると、星を捕まえようとして、手を伸ばしていたなぁ…


来年なんて来なくていいから、僕を誰か君が隣に居た頃に連れて行ってくれよ。


冷房の緩くかかった、真っ白な部屋で眼鏡の白衣を着た人と赤い目をした君。


ループする君の言葉。今でも、頭から離れてくれないんだ。


夜明けの明星が東の空に見え始めている。


失ってしまったものは、二度と手には入れられないことは分かっているんだ。


人間なんて脆いものさ、だから僕は今、駅のホームを蹴った。



死んだら、君には幸せに生きてほしい。

残されたら、君の傍に行きたい。




タイトルでお気づきかと思いますが、

ちょっと、今回は遊んでみました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 活動を休止したため、作品を読んでも感想を書くのはやめようと思っていましたが、あまりにも素晴らしい作品なためちょっくら潜入(笑);>>どうも、お世話になってました尖角です。 さて、内容もも…
[一言] 『死んだら、君には幸せに生きてほしい。 残されたら、君の傍に行きたい。』  愛するが故に当然の、しかし理不尽な言葉ですよね。
2012/06/04 15:07 退会済み
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