冬桜編パート1
「あぁ、すまんすまん。こっちはやり合う気なんてないのさ。」
「あんたが志波竝か?」
「そうさ。僕が志波竝 桜華さ。君は?」
「獅子王剣。」
そう、今から思えば獅子王剣との出会いが俺の運命の歯車を再び動かしたんだろうな...
鮮やかな桜が舞う中、桜華は桜の木を見つめながら微笑んだ。
今から語るのは志波竝桜華(俺)と獅子王剣が出会う1年前の冬の物語。
雪が積もり、まだ溶けてもいない道を歩く男がいた。
その男は桜色の女物の羽織を羽織、手には水桶を持ち大きな桜の木がある丘へと登っていく。
墓の前に立ち、男は空を見上げて呟いた。
「わりぃ!だいぶ遅くなっちまった...」
まだ、冬らしい景色が広がる。
寒さは相変わらずだ。
村のみんなだって凍てつくような寒さでもなんとか持たせてる。
冷たい風が頬に当たる。
もう数ヶ月もすれば春に近づいていく。
そんな中、墓の名前を見つめ桜華は話しだした。
もう、あれから14年か...お前らは天国で元気でやってるか?俺は何とかやってるよ...そういえば、吉乃のおっちゃんのところの娘が今度結婚するんだぜ!笑えるよな。あのおてんば娘だった子がだぜ...なぁ、狂死郎...お花...俺はもう一度心の底から笑える日は来るかな?
お前らがいなくなったあの日から俺は寂しいよ...悪い、やっぱ辛気臭い話は辞めにしよう...また来るよ!いつになるか分からないけど!!
桜華は墓を後にしようとしたとき、袖を何かに引っ張られる気がした。
振り向くとそこには一人の少女が微笑みながら桜華を見つめていた。
桜華はそれを見て、微笑みながら呟いた。
「行ってくるよ!お花」
墓参りを終えた足で街へと向かう途中、村人に声をかけられた。
「桜華さ〜ん!」
「どうした?善吉!」
「桜華さんにお願いがあって...」
桜華は不思議そうな顔をしていた。
ーーー話を聞いた桜華はこう答えた。
「雪山のあのおっちゃんと娘がねぇ〜...分かった。なら行ってみるとするよ。新潟の方だったよな!ありがとう。」
桜華はそう言い、その場を後にした。
...夜桜町...
待ちに戻るといつも通りの風景が視界にうつる。
寒さで凍えそうな雪の中でも、この街の住人は暖かな温もりを分け与えてくれる。
街を歩いているととある町人が志波竝に声をかけてきた。
「桜華の旦那!!聞いてくださいよ〜!!」
「おっ、八郎じゃねぇか?どうした?」
「実は...」
八郎がいうには八郎の友人が住む村の近くの山に住む又鬼がいるらしいその男の名は下凪彌助とその男には孫娘の華世と二人で又鬼をしながら生活をしているらしいがとある日を境に彌助をみなくなり、山から降りていく孫娘を頻繁に見るようになったとのことだった...
「分かった!なんとかしてみるよ!!」
夜になり雪が少し振り始めた頃、桜華は空を見上げて呟いた。
「こりゃ、山が荒れるかもな!」
夜中から朝方にかけて雪が降り積もる中、深夜2時から3時頃に夜の街へ鹿洲とともに向かっていき彌助がいた村へひたすら雪道を歩きはじめた。
道中、雪が深く降り積もる。
雪で足元が悪い道をひたすら歩き続ける。
雪道を歩いていくと山へ続く道へ出た。
吹雪の中、少しずつ歩いていく。
周りを見渡してみると真っ白な光景が広がっていた。
「思っていたより相当、吹雪がキツイな!」
鹿洲の方を見て話すと鹿洲が呟いた。
「本当にこんな、山奥に又鬼はいるのか?」
「あぁ、いると思うぜ!」
しばらく歩いていくと遠くから銃声が聞こえた。
なんだ?銃声...
雪道を急いで歩いていき、銃声が聞こえた方角へ向かうとそこには大きな熊と又鬼が互いに向き合っていた。
「今日はついてないな!お前も...俺も...」
熊が又鬼に襲いかかる瞬間、熊の眉間に銃弾が放たれた。
熊の眉間を弾丸が貫いた。
熊が又鬼のギリギリの所で倒れた。
「可哀想にな!多分、冬眠前に飯をたらふく食べられなかったんだろう。それで、周りに来る人や動物を襲い食っていた。」
熊を倒した男の元へ駆け寄り呟いた。
「あんた、この辺の又鬼か?」
「お前たちはこの辺じゃ見ない顔だな!どこのもんだ?」
「俺の名は志波竝 桜華夜桜町のもんだ!で、こっちが...」
「鹿洲だ!」
男は、続けて呟いた。
「で?そんな奴らが俺に何用だ?まさか熊を取りに来たか?」
「そんなわけねぇよ!アンタに聞きたいことがあってきた。」
懐に隠していた一枚の似顔絵を見せ呟いた。
それを見て鹿洲が笑い出した。
「おいおい、マジかよ!全然似てねぇな!その似顔絵!」
よく見るとへのへのもへじのような似顔絵だった。
「うるせぇ〜!笑うな鹿洲!」
ゴホンと咳をして、呟いた。
「下凪彌助って奴を知らねぇか?」
「下凪ね!知っているよここ数ヶ月見ていないがね!いなくなったのもちょうど4ヶ月ほど前だ!それ以降見ていないがアイツの娘ならたまに見かけるな!名前は確か...華世だったか?」
「その娘は今どこにいるか?わかるか?」
「あの山道の先に小さな村があるそこにいるはずさ!あの子なら」
その山道をひたすら歩いていった。




