勇者召喚したら、元カレでした
よろしくお願いします。
好きな人がいたの。
高校1年の夏、思い切って告白した。そしたら、彼も好きって言ってくれたの。
淡い、思い出。
でも、それから一か月もたたないうちに私は倒れた。余命3ヶ月って宣告された。
彼は最後の時までずっと側にいてくれた。
大好き。本当に好きだったよ。
*****
私は前世の記憶を持っている。
まだ若くして病気で死んだ記憶。
大好きな彼と幸せに過ごした記憶。
今は異世界で生きている。
名前はリリヤ。ちなみに前世はハルナ。享年と同い年の16歳。
この世界は、前世持ちはそこそこいるらしくて、隠すこともない。
魔法も使えた。私は光属性で、子供の頃から最強だったからずっと神殿で暮らしている。なんてったって、私は神様とお話ができるのだ。そういう人はまれで、今は巫女の中でもトップの『巫女長』と呼ばれている。
何その名称。
ちなみにナンバー2は『巫女次長』。ダサいわ。
そんなある日、魔王が復活した。
80年に一度くらいのクールで蘇る、少し空気の読めない魔王。普通はもう少し感覚空けるよね。数字の切れが悪いっての。
魔王は、何度倒しても蘇る。その度に国は勇者を異世界から召喚した。
勇者を召喚するのは、巫女の務め。神様にお願いして、勇者を派遣してもらうんだけど、そのためには勇者召喚の魔法陣に巫女達が魔力を注ぐ必要がある。ま、バッテリーみたいに地道に充電しておけばいいから、そんなに苦労しないけどね。毎日コツコツ、これ大事。ちなみに私が8割充電。私はすげえ。
そして、いよいよ勇者召喚。
魔法陣が光出す。淡い青の輝きが魔法陣の文字をなぞるように走っていく。
その光が一つになったとき、魔法陣から人の姿が浮かびあがった。
それは徐々に男性の姿を色濃くしていく。黒髪、黒い服。あれ?なんか見覚えのある服……。
「こ、ここはどこだ。俺は確か学校に行く途中で……」
……勇者は、元カレの大輔だった。
いわゆる時間軸のズレとか言うやつね。制服のネクタイの色で三年生だとわかった。私達が付き合っていたのは一年生のとき。
そっか、私が死んでいる世界から彼は来たのね。
……私が死んで、何人目の女と付き合った後かしらね。
私が死んだ後、あの世で神様にお会いした。
「若い身で命を落としたことは不憫であるが、これも天命。だが何か心残りはあるか?」
って聞いてくださったから、今の彼の様子を教えてほしいって言ったのよ。そしたら、
「何あれ…」
あいつ、次々女の子を取っ替え引っ替えしてた。しかも、
「付きあってた子が不治の病で死んで、俺、彼女のことが忘れられなくて……」
「泣かないで!私があなたを幸せにしてみせる!」
とかなんとか言って、彼女作るネタにしていやがった。
大事なことなのでもう一度。私のこと、ネタにして女作ってた!
「何やってるんだ、ああん?」
白目剥いて怒鳴っていたら、神さまがガチ怖がっていた。
そのせいで、地球で転生させると後が怖いと、異世界転生させられたんだけどさ。
なんでこっちの世界に、勇者としてやって来るんだよ。
「チェンジで」
「は?」
「勇者、チェンジで」
「リリヤ巫女長様、無理っす」
「こいつはダメって言ってるの」
「わがまま言わないでくださいよ。みんな、当分魔法陣に魔力注ぐ体力ないっすよ。そうバカバカ勇者呼ぶほど強くないっす。そんな簡単に呼べたら、俺らで魔王倒してますって」
「んじゃ、その方針で」
「いやいや、無理無理」
私の付き人君のルーイが、右手をブンブン振っている。
「風くるわね。涼しいからずっとそれやってて」
「鬼ーっ!」
「って、あれ?勇者は?」
「もうとっくの昔に他の部屋に行きましたよ。巫女長様、白目剥いて直立不動でしたから、みんな避けて行きましたよ」
「ちったあ、敬えよ。勇者呼んでやったんだぞ」
「はいはい、すごいすごいー」
「棒読み禁止」
勇者は、王様から歓迎されて、別室へ去った後だった。今頃召喚理由やらを教えたり、色々接待してご機嫌とったりしているんだろう。……誘拐って言われない為にも。
恐らくキレイどころを当てがわれ、勇者様じゃなきゃダメなんですうう〜とか言われているのよ。あいつも『そーですかー、ぐへぐへ』とか言ってんのよ。
「大輔、許すまじ」
私は早速行動にでた。
*****
「リリヤ巫女長様。なんすか、これ」
ルーイは私が作った看板を見て、指さす。
「読んでみなさいよ」
「『勇者対策実行委員会』ってどういう意味っす?」
「サブタイトルは『勇者は危険物』よ」
「物っすか」
「そうよ、取り扱いを失敗すると、爆発するのよ」
「いや、勇者の召喚に関する書物は全て読んでいますがね、どこにもそんな記述はないっすよ?」
「それじゃあ、今から追加しなさいよ」
勇者と共に魔王の城に旅に出るメンバーを集めて、事前講習会を行うことにした。集まったのは、全員女性だった。
「どうして女ばっか」
「あ、勇者様のご指名だそうっす」
「夜のお店か」
しかもキレイな子ばっかり、バディもナイスな子ばっかり。
「どうせ今も小さいよ……」
くすん。
「えー、みなさん、お忙しいところお集まりいただき感謝いたします」
「そうよ、本当に忙しいんだから」
「何よ、この会議は?」
集まった女性はみんな文句ばっかり言ってた。これから勇者攻略で、もとい、魔王討伐で忙しいもんな。
「そうですね、時間もないからはっきり言います。皆さん、勇者はクズです」
「「はあ?」」
「あいつはダメです。あいつを信用してはいけません。なぜなら……」
その途端、私の声が出なくなった。
どうして。その時、頭の中に声が響いた。
「リリヤ巫女長よ。それ以上言ってはいけません」
「その声は、女神様」
「勇者には、世界を救ってもらわねばなりません」
「でもあいつはクズです」
「わかっています。それでもあいつしかいないのです」
「んじゃ最初から人選間違えんなよ!」
「だって、仕方ないじゃん。地球の神がケチってこいつ程度でいいかって投げてよこしたんだもん」
「あんたそいつになんか恨まれるようなことしたんじゃね?」
「してませんー。んもう、昔の話をネチネチとあいつしつこいんだから」
「やっぱ、恨まれることしたんじゃん」
「とにかくあいつで妥協して、魔王をやっつけちゃってね」
「無理だっつーの。せめて女の子を助けて欲しいわ」
「仕方ないわね。女の子達の加護を強めておくか」
「あと、あいつのラッキースケベ運は、なしで」
「まかせろ」
「よろ」
女神様との会話が終わったら、部屋には誰もいなかった。
「巫女長さまが白目剥いて黙ったから、みんな帰ったっす」
わしゃ知らんぞ。
それから勇者御一行様は、魔王の城に向かって旅立って行った。
んで、結局どうなったかと言うと。
「え、負けた?」
「はい、それはそれはもう完敗で」
全員スゴスゴ帰ってきたらしい。
「今回の魔王最強ってこと?」
「いや、それ以前に、勇者が女問題起こして、人間関係ズタボロで、やってらんなかったそうっす」
「思ったとおりじゃん!やっぱクズじゃん!」
「こらこら、勝ち誇らない」
城に帰ってきた女性陣が、全員私のところにやってきた。
『勇者対策実行委員会』の看板、復活。
「皆さん、勇者はクズです」
「「「はい、先生!」」」
「勇者パーティ組むなら、男だけでいいじゃん!」
「「「いいじゃん!」」」
「女じゃなくても、いいじゃん!」
「「「いいじゃん!」」」
我々の講習会の口コミのせいか、今度は男でパーティ組んで、魔王退治に向かった。
あっという間に魔王討伐完了したって。やれば出来るんじゃん。
「お色気足りねえええ!」
って、勇者が叫びながら討伐してたって噂ございますけどよ。うっしっし。
平和な世の中、カムバック。
そして、勇者よ、さようなら。
*****
勇者を元の世界に戻す儀式の日がやってきた。
「やっと、やっとこの日が…」
女性全員が泣いていた。
勇者は、魔王討伐が終わって帰ってきてすぐに、城のおねえちゃん達に声をかけまくっていたらしい。
勇者対策実行委員会の口コミのお陰で、被害者は最小限に抑えられたが、それでも犠牲者が出てしまったー。哀れな。
だが、それを見た城の男達も立ち上がった。んで、王様に苦情が殺到した。
本当は勇者をいろいろもてなしたり、多少のハメを外すのはしょうがないなあと考えていたみたいだけどね。許すわけないでしょ、おっほっほ。
「え、もう帰り?」って本人が言うくらい、早々に勇者返却の儀が執り行われることになった。レンタルか。
勇者がレンタル返却魔法陣(笑)の上に立つ。
「勇者よ、此度はこの世界を救ってくれ、感謝する」
王様が代表して、挨拶を述べる。皆、それに合わせて礼をする。
……それだけ。
ありがとね。で、それだけ。謝礼、何それおいしいの。お金あげても、向こうで使えないよね。ぐへへ。
「い、いや、勇者として当然のことをしたまで」
謝礼もおねえちゃんも、なし。ボランティア精神で勇者なんてやってらんねえって、顔に書いてあるぞ。なんなら油性ペンで上書きしてやってもいいぞ。
私は勇者の側に歩み寄った。最後のお別れである。
言いたいことは、山とある。川に流して濁流作る自信もある。
「勇者さま、此度は誠にご苦労様でした」
「はあ」
おそらく私のことは、白目巫女程度にしか認識しておるまい。まあいい。
「私はあなたを(仕方なく)召喚した巫女でございます。そして……」
彼の耳元で囁く。
「前世はお前の元カノだよ」
「えっ?もしかして、あゆ?」
「ちがわい!その名前誰だよ!」
「それじゃあ、カナ?」
「それもちゃうわー!お前どれだけ彼女いたんだよっ!」
それから更に10人以上名前を挙げて、ようやく私の順番となった。
「えーっと……も、もしかして、ハルナ?」
「おおう、ようやく私の出番か」
まわりから拍手が起きた。
「よもやここまでかかろうとは」
「ドンマイ、巫女長」
「外野、やかましいわっ!」
何人目の女か、賭けていたやつ、後で正座な。
「まあいいわ。あんたの悪行は女神様にも筒抜けだから。地球の神様にもホウレンソウ済みだから」
「何それ?」
「報告連絡相談じゃあああ!」
「巫女長、渋いっすよ、それ」
「と・に・か・く!あんたが元カノが死んだネタで、他の女の子を落としていたの、ぜーんぶ知っているんだからね!許すマジ!」
「え、何を言うんだ……」
勇者がその場に膝をついた。
「違う、本当に俺は悲しくて。それでそのことをちょっと他の子に聞いてもらって、慰めてもらってただけで……」
「態とらしいんじゃあ!」
「そ、そりゃ、信じてもらえないかもしれないけど、でも」
しゅたっと勇者は立ち上がると、私の両手をきゅっと彼の両手で挟みこんだ。そのままじっと、私の顔を覗き込む。
「お……僕は、君のことを、本当に大切に思っていたんだ。なのに、突然君が病気で、もう助からないって……う……」
彼の両目から、大粒の涙が溢れ出す。
「君のこと、忘れなきゃって、思って。だって、こんな未練タラタラな想いを残しているせいで、君が成仏できなくなったら悪いと思って。だから、他の女の子に僕の気持ちを薄めてもらっていたんだ!」
「……そ、そうだったの?」
「あ、巫女長、落ちた」
「チョロいぞ、巫女長」
彼は、私を忘れる為に、そのために他の子を犠牲にしていたのね。
すべて、私のため。
「やっと、会えたね……」
「ええ、もう一度会えたわ。これからもずっと一緒に……」
「はい、そこまでー」
私の頭上に、ハリセンが落ちてきた。
「いったあ〜」
「起きたあ?」
「その声は、女神様。ハリセン、酷すぎません?」
「だあって、あんたすっかり騙されているんだもん。目を覚ますにはこれよね」
目の前には、ハリセンでフルスイングする女神様がいた。
「そのスイングで私の頭を……」
「いや、上から直角」
まだ痛い気がする。
「わかっているんでしょ。あいつの言ったことが嘘だって」
「まあ、冷静に考えれば。ですけど」
少し夢を見てしまった。彼とずっと一緒だと思ってた、あの頃の私を。
学校帰りに、たわいない話をして、クレープ食べて、手を繋いで。
一緒に夕焼け見て、叶うかわからない約束をした。
また明日ねって、それがどんなに大切で絶対叶えたい願いだったのか、今ならわかる。
「あーあ、泣かないの。あんなクズのために、キレイな涙はもったいないわ。他の男のために流してあげなさいよ」
「わ、私にもまた彼氏できるのかなあ」
「大丈夫よ。私が保証するわ」
「ふふっ、女神様の保証貰っちゃった」
えぐえぐ泣く私の頭を、女神様が撫でてくれる。
安心したせいか、眠くなってきた。
「あれ、なんかあったかくて、気持ちいい……」
「よかったわね。クズはこっちで返却しておくから、ゆっくり休みなさい」
「はあい」
そこからの記憶はない。ただ、久しぶりにぐっすり眠れた気がする。
*****
(ルーイ視点)
「はーい、そこまでだよ」
「え、なんだこれ」
勇者が一歩後ずさった。彼の目が巫女長の顔を凝視したままだった。私も近づいて覗き込む。
「ああ、また白目剥いてる。うちの巫女長はね、女神様とお話しができる唯一の人なんだ」
「神と会話だって?」
「そう。でもなぜか、白目剥いてフリーズしちゃうんだよね」
うちの名物になりつつある。
私は巫女長を持ち上げて、魔法陣から離してポンと置いた。白目剥いたまま、そのまま仁王立ちしてるのすごくね?
まあいいか。私は勇者の方をゆっくり向いた。
「で、君さあ。いつもそうやって、女の子を騙すの、やめたほうがいいよ」
「何を言うんだ。俺はそんなことしていない!」
「魅了魔法かとも思ったけど違うね。天性のタラシだ。まあ、巫女長もチョロいからなあ」
「君はさっきから失礼だな!俺はこの世界を守った勇者だぞ!」
「ああ、それに関しては感謝している。ありがとう」
ゆっくり頭を下げた。
「バカにしてっ!もういい、早く家に帰してくれ!」
「そうしよう。ただ、覚えていてほしいことがある」
「なんだ?」
「君が女性を口説くのは本能だから仕方がないが、うちの巫女長を苦しめたのは、許せることじゃないんだよ」
部屋の全員が彼を睨む。
「リリヤ巫女長はね、僕らの大切な人なんだから」
「な、なんなんだ。わかったわかった。悪かった。もうこんなことしない!だから、もう終わりにしてくれ。帰してくれ!」
私が片手をあげると、巫女達が魔法陣に魔力を注ぎはじめる。勇者を召喚した時とは逆の流れで赤い光が流れていき、一つの図形が完成して、全体を輝かせた。
「それでは、勇者よ、さらばだ」
王様の声で、全員が彼に頭を下げる。
と、宰相が、ポンと手を叩いた。
「あ、報酬渡すの忘れてましたー」
「やっばー。あっちの世界、金なら使えるって聞いていたんだけどー。それならこっちの金貨でもいいねって話していたんだったー」
「そーだった、そーだったー。でも、もう魔法陣動いているもんねえー」
宰相とその部下が、全員棒読みで話している。それを聞いた勇者が慌ててそちらを向いた。
「何いいいい!早く、早く報酬をくれよ!」
「あ、そこから出ちゃダメですよ。帰れなくなります。魔力充填するの、すっごく大変なんだから」
こちらに戻ろうとする勇者を押し留める。
「あ、マジか。それなら、こっちに投げてよ!」
「それしかありませんな。おい、誰か投げてくれ」
宰相の指示で、勇者との最初の旅に同行した、女騎士が金貨を手に取った。
「えい。ダメ〜、届かないわ〜」
「下手だな!ほらもっと投げろよ!」
「わかったわよ、ほら」
大きく振りかぶって第二球を投げた。豪速球だった。
「痛っ!お前、俺の顔面狙ったな?」
「たまたまよ、偶然ってやつー?」
女騎士がケタケタ笑う。
「ほら、お前らも投げろよ」
私の合図で、そこにいた全員が金貨を投げた。全員の目つきが変わっていた。
「魔王討伐だけやってくれればいいんだよ!おさわりしてんじゃねえよ!」
「女の前でだけ、やる気出してんじゃねえよっ!」
「おっさんばっかで帰りてえって、それ、俺達のセリフだよっ」
「おりゃあああっ、俺の聖女様によくも手を出しやがったなあああ!」
「え、俺の……そんな風に想ってくれていたの?」
「あ、しまった、つい……俺……」
「嬉しい、やっと、言ってくれたのね……」
「いや、どうでもいいから、そっちのラブロマンスいらんから!それより顔面めがけて金貨投げるのやめて!痛い痛い!」
騎士団長と聖女のラブロマンスに全員食いついているけど、手は休めず投げた。金貨って、痛いだろうな。
やがて魔法陣が発動して、奴は悲鳴と共に消えていった。
魔法陣には、勇者のみ返却と指定してある。なので、床に転がった金貨はこっちで回収、である。
元々あいつのポケットに、こっそり金貨一枚は入れておいた。あとは、うまくキャッチできていたらの話だな。
「これが本当の出来高払いか?」
「いや、違うと思う」
王様につっこまれた。
ラブロマンスの2人を囲んでいる奴らはほっといて、我々は返却魔法陣と金貨の回収に入った。
「はい、撤収撤収〜」
「かいさーん」
なお、彼らが部屋を出るときに、うっかり懐に入っている金貨は自動で回収する魔法陣が組み込んである。
これ、歴代勇者返還の儀式で使っているって書いてあったけど、使った理由がわかったわ。
「もしかして、勇者ってクズしか来ないんか。んで、毎回金貨投げつけているんか」
そしてちゃっかり持ち帰ろうとする奴らから、回収するまでがお約束か。
「あ、巫女長さまのこと、お願いしますね」
「ほいほーい」
巫女次長に言われて、未だ白目の巫女長をゆっくりお姫様抱っこで回収する。
「巫女長さま〜、お疲れ様っす」
巫女長に聞こえているのか、彼女はゆっくり目を閉じた。くーくー寝息が聞こえる。
「寝てるっす。巫女長、全部丸投げっすー」
「ゆっくり休んでもらいましょう。勇者のせいでお疲れでしたからねえ」
他の巫女達が笑う。
「おやすみなさい、リリヤ」
リリヤが笑った。
「あったかあい…」
私の胸に頭をスリスリと寄せてくる。
本当に可愛い人。
リリヤ、どうかずっと、いい夢見ていてくださいね。
「ところでルーイ王子、いい加減政務もやってくださいよー」
「私は巫女長の付き人が天職っすー」
*****
ちなみに、勇者は顔面傷だらけで倒れているところを発見されたらしい。
「俺、誘拐されて傷つけられて……」
「か、かわいそうに」
「こんな傷だらけの男なんてって思うだろ?」
「そんなことないわ。私が癒してあげる!」
って、相変わらず女の子を騙している。
でもなぜか付き合う女の子全部、急に白目剥いてフリーズするから、長続きしないらしい。
こわっ。
リリヤ巫女長は、みんなのアイドルっす。
読んでいただき、ありがとうございました。




