表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/39

12話 【オーガと戦になりそうです】







 新たに加わったリザードマン達とコボルト達。

その中で新たにリザードマンの長になった青年と、コボルトの長に名前を与えた。

そして、進化についての考察を語り毎日祈るように伝える。





 そこから約一月。

先に進化したのはリザードマンのクルードだった。

リザードマンの長を喰らった俺の身体組織には竜人と記載されているが、魔蜥蜴種の為、緑色の肌と骨格もどちらかといとトカゲや爬虫類に近い見た目の二足歩行の姿だったクルード。

しかし、やはりこのクルードも人に近い進化をした。

肌の色は薄い肌色になり青目と紺色の髪の爽やかな好青年である。

ただ鬼人達と違うのは角の代わりに顔や首元、腕など身体の所々に青色の鱗があるところだ。

爬虫類感が消えた為、まさしく竜人という見た目である。

青い鮮やかな鱗と肌の色がコントラストになっていて芸術的な見た目だ。

まさかここまで進化するとは思ってもみなかった。





 それからしばらくしてコボルトのウルも進化を果たす。

コボルトは狼人という通り、ゴブリンのような小さな体と狼のような見た目で、二足歩行の狼といった雰囲気だ。

そして進化したウルはこれまた人のような……というより人になった。

灰色の髪と黒目の細身で知的な雰囲気の青年。

魔物としての特徴も消えた?

と、驚いたのだがウルに聞くとなにやら狼の姿にもなれるという。

お願いすると、ウルの姿が暗めの灰色の大きな狼に変わった。

この種族は……人狼だ。

なるほど、これはコボルトの進化先の中でも究極だな。

それに普段は人間と変わらない見た目なのも今後人族と関わることがあれば活用できそうだ。




 二人の進化を見てやはり指向性と願望、そして名付けが進化に関わるという推測ができる。

ただ全員がそうなるとも思えない。

ゴブリンソルジャーに名前を与え、願望である強くそして強固にと願わせたら、ゴブリンウォーリアに進化したというパターンもあった。

ちなみにウォーリアはナイトよりも攻撃に特化して強くナイトはどちらかというと防御力に特化している。

ウォーリアはこの街でまだ一人だけだ。



 まぁつまるところゴブリンが確実に鬼人になれるというわけではない事も分かった。

今後も調査と研究が必要だろう。



 そしてもう一つ分かったのは、人寄りの鬼人、人狼、竜人、タンクはまぁ特殊だが…になったのは俺が名付けをした者だけだったということだ。

幹部達に部下の中で優れている者に名付けを行ってくれとお願いしたが、その者らは確かに進化したが人寄りではなく魔物としての進化をしたのだ。

例えばソラの部下である水魔法のメイジ…火魔法のメイジと分ける為ウォーターメイジゴブリンと呼ばれている個体にソラ自身が名付けを行った。

名前はアクア。

その個体は身長は少し伸びたが肌はソラとは別種のまさに真っ白になり髪は水色に染まり毛先にかけてオレンジそして赤にグラデーションされている、さらにゴブリンの特徴である鋭利な牙と角も大きくなった。

この個体をゴブリンメイジマスターと呼んでいるのだが、なんとこのアクアは水魔法とその派生の氷魔法、そして火魔法とその派生の威力が高い炎魔法を扱えるようになった。



 これはこれで凄い進化だが、やはり鬼人ではない。

他の幹部が名付けた個体も人に近くはならなかった。



 なので俺が名付けるのも一つ影響を与えるということが判明したのである。
















「陛下……街の外にアラクネの集団が現れました。配下に加えて欲しいと」


「なるほど、会おう」



 セバスからの報告の後、客と会う事を想定して作った大きな応接間でアラクネの代表と会った。

アラクネは蜘蛛人とも呼ばれる上半身は魔物の中では人に近いがその目や口元は獰猛な魔物であると分かるほどに鋭く、さらに下半身が蜘蛛である為、正直前世知識がある俺としては怖い見た目である。



『アラクネの長よ、なぜ俺の配下に?』


『センリョク…ハッテン……カテヌ』



 よくよく考えたらアラクネを取り込んだ事がないので凄くなんと言っているのか聞き取りづらい。

一応魔獣ではなく魔物の類ならなんとなくわかるのだが。



『何体いる?』


『80』


『わかった。許可する…よろしく頼む』


『オウに、チュウセイヲ』




 こうしてアラクネ80体が配下に加わった。

ちなみにアラクネは結構強い。

通常のゴブリン、コボルト、オークだったらまず勝てない。

その強さは糸と毒である。

強固な糸と、粘着質な糸の両方を出すことが可能でそれによって敵を捕まえ、そして毒で抹殺する。

さながら罠を張る狩人のような魔物である。





 ちなみにだがアラクネ以外にもうちの狩猟部隊や戦闘部隊の戦いを見て憧れたり、弱くて貧困に嘆いていて隠密部隊に誘われた者らなど近隣からゴブリンやスライム、オークやトレントなどが配下に加わっている。

総数は千を少し超えたくらいだ。

街も日に日に大きさを増し栄え、石壁も頑強になっている。




 それからさらに二月程時が経つと、アラクネの長とトレントの長が進化を果たした。



 蜘蛛と人型の凶悪そうな魔物であったアラクネの長ルルシアは長い黒髪に紅の瞳を持つ美女へと変わった。

下半身も人のそれになっているが、指先から糸を、皮膚のどこからでも毒を、排出することができる。

蜘蛛人というには人のような見た目だが魔物的な見た目の特徴としておでこに紫色のダイヤ型の石のようなものが付いている。

正直そういう進化になるのか……と驚いた。




 大きな木が意思を持っているトレントは知能が高いとされ風魔法も扱えるが一見して木だった。

が、願いと祈りそして名付けによってトレントの長モクジンは進化した。

木のように痩せて茶色の肌の人型である。

髪は深い緑の長髪、髭も長く仙人のような見た目であるが、モクジンは周囲の木々を操るという特殊なスキルを持ち、風魔法のレベルもトレント時代よりも上がった。




 この二人をクルードとウルと共に幹部に入れ街の運営や公共事業、軍事面などを手伝わせている。



















 クロの治める街から中心に向かって5日程の位置に魔物の集落の中では大きめの村がある。

そこの集落は知能を持つ魔物の中でも凶暴とされるオーガ種の集まりである。



 その村の中で最も大きな屋敷の中、大きな部屋の玉座に座る他のオーガ種達よりも二回り程大きなオーガが補佐のオーガと向かい合っている。




『王……少し離れた場所に新たな魔物の王が現れました。』


『ほう……なんの魔物だ?』


『それが…見たこともない魔物です。見た目は人間に近く、しかし角が生えている魔物ですね。鬼人という新たな種族だと潜入させているゴブリンからの報告が上がっています』


『鬼人?聞いたことないな。我らオーガの血脈の種族か?』


『分かりません。しかしその王の配下…幹部の中には、鬼人だけでなく、人型に進化したオークや、蜘蛛人、竜人、木人、人狼と他にも見たことがない強力な魔物達がいるとか…』


『なぜそんな変わった進化を……その王の影響か?』


『そう推測できますね。そしてその王は変幻自在に色んな魔物、魔獣に変身することが可能だとか……、その強さも圧倒的と皆が讃えているそうです。』


『変幻自在の新種の魔物……鬼人か。それは厄介そうだな。だが、我々オーガには勝てん。で、その村は有用なのか?』


『その規模は村ではなく大きな街だそうです。建物も大きく頑丈で、街を守る壁も大きく厚い。さらには武器や装備を作る職人もいるとか…独自の技術もかなり高いそうです』


『なるほど……欲しいなその街。その鬼人とやらは我が配下に加えよう』


『戦の準備を整えます』
















「陛下……街に他の王の配下のゴブリンが数体紛れていましたので捕獲しました。」


「なに?潜入していたのか?」


「はい…そのようです。怪しい動きをしていたので…少し教育したところすぐに口を割りました。」



 シャドーは真顔で少し教育と言っているが、多分拷問しているだろうと予測できた。

そもそも彼らは俺の配下となりかなり文化的になってきたがそもそもが魔物である。

その残忍性は残っている。

俺があまり人型魔物を殺したり痛めつけるのを好んでないので遠回しな言い方をしているのだろう。



「で、そのスパイを送ってきたのはどんな王なんだ?」


「ここから中心に向かって5日程の位置にあるオーガの王です」


「オーガか……」



 まだ出会ったことがないが皆の話を聞いた感じだとオーガはかなり凶暴で残忍な魔物らしい。

見た目は2m〜3mの、赤色の皮膚をしたまさしく鬼面。

額にある角もゴブリンとは比べ物にならない程大きく禍々しい。 

弱い魔物はオーガを見つけたらそれは死を意味するらしい。

ちなみにオークなどでも相手にはならず、森の中では強者として有名な魔物らしい。


 

 と言っても進化を重ねたうちの配下の魔物達なら倒せるだろう…と思う。



「数は?」


「調べた所、100前後のオーガがいますね」


「通常のオーガの単純な強さはどれくらいなんだ?」


「我が街の精鋭のものらで言えば、ゴブリンソルジャーなら10体、ゴブリンナイトなら5体、オークなら2体、オークナイトなら1体分というところですね。」


「うちの進化したがオークナイトと同格なのか?」


「はい…オーガはそれ程の強さがあります。」




 思ったよりも苦戦しそうだ。

通常種よりもうちのゴブリンやオークの進化した個体は明らかに強い。

その中でもオークナイトは主戦力だ。

それと同格ということはかなり強い。




「それと、オーガが戦準備を始めているそうです」


「そうか……じゃあこちらも戦準備を始めよう」











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ