2.そのころ、現実世界では…
どうして、こんなことになってしまったんだろうか。
「なんで」
いや、理由は分かっている…。
俺達の力が、足りなかっただけだ。
顔から液体が落ちる感覚があった。
…涙?
そうか、俺は泣いているのか。
泣いたのなんて、いつぶりだろうか。
「ここが…!」
僕は思わず呟く。が、めちゃくちゃ眩しい…!
まあ、場所や行き方がバレないようにとか言う理由で半日ぐらい目隠しされてたからな…、しかも魔法で拘束されてたし。
「本当に異世界だ!」
「何あの建物!?高!」
「人がたくさんいる…!?」
クラスメイトたちの反応も様々だ。
「透羽!この建物すごくないか!?」
「すごいよね!それに未成年だけで外に出ても安全っていうのも驚きだし」
「ねえ!今の聞いた?名前呼び捨てじゃん!」
「やっぱ付き合ってるのかな?」
クラスメイトが騒いでいるが、隣にいるのは不知火透羽。僕の友達だ。結構美人だし、刀の扱いもかなり上手い。しかし、恋人ではない!!友達だ!!!
「だよな…、ってことはこの世界では剣技とか習わないのか!?」
現実世界では、自己防衛のために剣技の授業は毎日ある。ここは平和そうだし、剣技がないなら羨ましいな…。
僕は剣技の成績は良いが、実際にクラスメイトと模擬戦をするから、ギスギスした雰囲気になって嫌なんだよな。
「わかんないけど、自己防衛の必要がないなら習わないんじゃない?」
「そうか…羨ましいな」
「はい、皆さん落ち着いて!今日から三泊四日、この日本という場所で過ごします。迷子になった場合、助けられる保証はできません。くれぐれもはぐれないように」
怖っ、絶対迷子にならないようにしないと…
私は、お城のバルコニーからの景色を見て絶望する。
美しく、賑やかだった城下町は見るも無惨な状態になっていた。
「なんで」
誰かの呟きも、私には聞こえない。
城下町は美しいままだが、人気は全くない。
人の姿は見えるし、人数も変わっていない。
ただ、全員が倒れているけれど。
それに…。
能力を持たない仲間も、城下町の人々と同じ状況だ。
今生き残っているのは、私たちだけ…か。
「どうして、私が生き残って罪のない人々が死ぬんだろう」




