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これが、僕たちの青春。  作者: アイ
序章.異世界への修学旅行
18/18

18.静かになった世界

スマホがただの置き物になってから20分。

待ち合わせの時間までは後5分。

「暇だ…」

5分なんてすぐだと感じる人も多くいるかもしれない。

だが僕はスマホ依存。しかも重症だ。

スマホが使えない状態での5分は、僕にとっては30分以上にも感じる。

「暇すぎて死にそう…」

本当に暇だ。暇すぎる。とりあえず待ち合わせ場所まで来てみたが、全くすることがない。

部屋に行っても全くすることがない。なにせ何も家具がないのだから。

しかも待ち合わせまではあと五分だ。この異世界を見に行くにしても時間が足りなすぎる。

それに今は待ち合わせの場所にいるけれど、今この場所にいるのは僕と透羽だけだ。

ちなみに透羽は暇だからと言って、彌さんに漫画を借りているそうだ。羨ましいコミュ力だ。

しかし、誰と、何人と次の予定地へ行くのかのか知らないが、一向に誰も来ない。

「…透羽、漫画貸してくれない?」

あまりにも暇だった為、又貸ししてもらうのは良くないと分かりつつ聞いてみる。

「ダメだって、というかもうちょっとで誰か来るでしょ、数分くらい我慢してー」

「うっ…」

ド正論に何も言葉が出ない。

うう…こうなるなら荷物、ホテルに置いて来るんじゃなかった。というか修学旅行に行ってた時の荷物、返って来るのか…?

お金とかも結構入っていたし、流石に返ってきて欲しい。

それに透羽はスマホも持っていないはずだ。持っているのは精々、連れ回された時に買っていた服やアクセサリーだろう。

それに、家に置いてある物は持ってこられるのだろうか。心配だ…

「あっごめんね、待った?」

人の声が聞こえたから振り向く。

「あ、次の付き添い瑠䒾だったんだ!全然待ってないよ、私も今来たぐらいだし!」

嘘だ!お前15分前くらいからいただろ!!

そう言いたい気持ちを抑え、今来た女性を見てみる。


「あっ、よ、よろしくお願いします…」

「うんうん、よろしくね!日彩君だっけ?しっかり会うのは初めてだし、軽く自己紹介するね!あたしは火威瑠䒾、よろしくね〜」

「あっはい、よろしくお願いします、僕は神来社日彩です」

「へぇー、なんかかっこいい名前だね…!じゃあさっそくだけど今から行くところは、2人の家だよ」

…!?家に戻れるのか…!?

ちょうどさっき考えてたことだけど、実際に誰もいない家を見ると…覚悟は決めたけど、やっぱり悲しくなりそうだな…

「あっ家帰れるんだ!?帰れないと思ってたから嬉しいな!」

「うん、帰れるよー、あっちの_まあ現実世界、かな、そこに戻るのって多分、まだ自力じゃできないよね?」

「うん、わたしには無理かな…」

「だよね!?良かったー、流石にそんなことが今の時点でできてたら、あたしたちから教えることなくなっちゃうもん!笑」

「あっ良かった、できなくて当たり前なんだ…」

なんか僕抜きで話が進んでいる。まあいいけどちょっと悲しい。

「じゃあさっそく行くよ、2人ともあたしの近くにいてね!」

「はい」「うん!」

また暁さん_いや、大河さんだっけ、みたいに指を鳴らすと魔法が発動して…的な感じなのか?

そう思っていると、一瞬目が眩んだ。

思わず目を瞑り、次に目を開けた時には景色が変わっていた。

着いた場所は、昨日入ったお城のすぐ下。ここからは商店街が広がっている。

異世界では、存在は知っていたが見たことは一度もない、ビルのような建物で街は埋め尽くされていた。

そして決定的に違うのは、人口密度だ。

異世界の人口密度は尋常じゃなかった。

僕の身長がそこまで高くないこともあるが、道路の側にある建物の看板なんかは、周りの通行人に阻まれて全く見えなかった。

それに加えて、少し動いただけで人にぶつかるし、ぶつかるのが当たり前のようだった。

こちらの世界では、混んでいても向こう側は簡単に見渡せるし、人と肩がぶつかったり、少し動けばぶつかる距離に常に人がいる、なんてことは殆どない。

けれど常に何人かは人が通っていたし、お店がある影響で、常にざわざわしていた。

けれど_前はスルーしてしまっていたけど、今の世界は、人がいないのはもちろんのこと、音も全くしない。分かっていた、分かっていたけれど、自分の無力さを改めて痛感する。

「え!?もうこっち来たんだ、大河は指とか鳴らしてたから、てっきりなんか儀式?みたいのがいるんだと思ってた…!」

「あー大河そういうとこあるんだよね、急遽透羽たち迎えに行くって決まった時、頑張って練習してたもん!」

「まじ?あんまりそんな雰囲気なかったけど意外と仲良くなれそうかも…」

「うんうん、サテライトのメンバーって結構見た目のイメージと実際の性格違う人多い気がする笑」

「あ、そうなんだ、まあ確かにみんな目的とかは同じだし、そうなのかもねー」

「そうなのかもね!…あ、ごめんね話逸れちゃった、じゃあ辛いと思うけど…2人の家に行こうか」

……辛くないわけがない。

…でも、まずは現実と向き合って、それから_もっと、もっと勇気が出せる、僕になってみせる…!

読んでくださりありがとうございました。

自分、田舎住みなので都会の描写ちょっと不自然かもしれませんがそこは目を瞑っていただけると幸いです。

次回はちゃんと金曜日に出せるように頑張ります!


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