始まり
高校デビュー、それは中学でイマイチパッとしないやつが一度は憧れを抱くものだろう……
それに俺、柊周は成功したのだ。
「芹沢さん明日って予定空いてるかな?」
「うん、空いてるよ!」
芹沢さんは、頬を少し赤く染めながらそう言った。
え、いいの!?
俺はとても戸惑っていた。
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遡ること一ヶ月前。俺には一つ離れた姉がいる容姿端麗・頭脳明晰、だがどこか抜けている。
姉と俺は純粋に仲が良く歳が近いということもあり喧嘩はよくするものの頼れる姉だと思っている。
姉は学校ではとても優秀で友達も申し分ない適度にはいるらしい、彼氏はいなそうだがあまり恋愛の話をすることがないのでわからない。
そんな姉だがいつも俺の部屋に勝手に入ってくるやいなや愚痴をペラペラと喋り出し気が済んだら部屋から出ていく。
俺の身にもなって考えて欲しいものだ。
そんな姉に俺は1つの頼み事をした
「俺をカッコよくして下さい!」と…
俺はもうすぐ高校生で今はちょうど春休みの時期だ。俺は姉によく勉強を教えてもらっていたためか勉強が周りよりも少しできたため少し離れた場所にある地元では有名な公立高校に入学することになった。
ちなみに姉と同じ高校だ。
そのため同じ中学からその高校に行く人は少なく高校デビューにもってこいだと考えたのだ。
中学ではイマイチパッとせず友達も2、3人、もちろん彼女がいるわけもない。そんな俺は高校で華やかな青春を送りたいそう心から強く願っていた。
「は?ラノベとアニメの見過ぎじゃね?」
姉から返ってきた言葉が実に辛辣でやる気が失せる。
それはそうなんだけどさ、もっと興味を持とうよね?可愛い弟のお願いに耳を傾けてよね?
「そうだけど何か悪い?」
自嘲気味に言った。
「いや〜、本気なのかなって」
「本気ですけど」
そう言うと姉は少し考えた後に自信ありげに言った。
「ならお姉ちゃんが可愛い弟のために一肌脱ぎます
か!」
「よろしくお願いします…」
実に自信ありげなのがウザい。
「じゃ、おやすみ〜」
「おやすみ」
とてもやる気があるのか今日は愚痴一つ言わずに颯爽と俺の部屋から出ていった。
何なんだよと思いながらもカッコよくなってラノベの主人公のようなキラキラ青春を想像しているとなんだかテンションが上がってきたので今日はもう寝ることにした。
もしこの画面を見ているひとが私以外にいるのならとても幸せです。読んでいただきありがとうございます。