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98、クイーンホワイトの失敗

 アルくんの視線を追うと、少し離れた空中に、白い髪の女の子が浮かんでいた。頭の上に白い帽子を被っているように見えるから、人化したスライムね。


「白いスライムなんて、珍しいね」


 私がそう言うと、漁師のお兄さんが目を見開いた。


「ジュリちゃん、俺はスライムの反応はないと感じる。だが、人間が空に浮かんでいるなんて、おかしいよな」


「あの女の子は、頭に白い帽子を被っているように見えるから、白いスライムだよ。すごく可愛い子だね」


 お兄さんとそんな話をしていると、白い人化したスライムは、キララの気球の近くに、スーッと降りてきた。でも足は地面から浮いている。



「初めまして、ジュリエッタ。私の分身がご迷惑をかけてごめんなさい」


(分身?)


「こんにちは。ふわしろスライムさんですか?」


「ええ、私を隠してくれた青の国王は、私の見た目から、そう呼んでいましたが、種族としてはクリアスライムです。幼いジュリエッタと遊んだ白い大きなスライムは、私の子供です」


「えっ? 大きなスライムの草原にいるクリアスライムさんのお母さん? こんなに可愛いのに?」


 私よりは年上に見えるけど、アルくんも驚いた顔をしている。人間なら12歳前後だよね。



『ジュリちゃん、彼女は、クイーンホワイトだよ〜。クリアスライムは、ちょっと変わっていて、雄雌がいるんだ〜。スライム神の島にいる大きな白いスライムは、キングホワイトとクイーンホワイトの子供なんだよ〜』


 イヤリングから、キングシルバーさんの声が聞こえてきた。もしかして、キングシルバーさんが、ここに彼女を呼んだのかな。



「ジュリエッタが身につけている耳飾りからは、キングライムの気配がしますね。私のことに関する説明がありましたか」


「あ、はい。キングシルバーさんからの声が届きました。あの島では、キングホワイトさんには会ったことがないですけど」


「まぁっ! ふふっ、キングホワイトとは会っていますよ。あの島の水を浄化しているのは、スライム神とキングホワイトです。キングホワイトは、地底湖にいますよ」


「ええっ!? じゃあ、何度も行ってます。でも、話したことはないです」


「キングホワイトは無口ですからね。初めてジュリエッタが地底湖に現れたときは、私にわざわざ念話を送ってきましたよ。この距離の念話は、魔力をかなり消費するのですけど」


(仲良しなのね)


 クイーンホワイトさんと話をしていると、黒い髪の人化したスライムに、落ち着きがなくなってきた。キララの気球から降りようとするのを、ネイルが捕まえてる。



「あっ、この子をお返ししますね」


 スピーッと、大きな寝息を立てて爆睡している真っ白なスライムを差し出すと、クイーンホワイトさんは首を横に振っている。


「私の分身ではありますが、今の私には回収できないので、別の個体と化してしまいました。だから、ジュリエッタに託します」


「えっ? あ、でも、この子はすぐに褐色になってしまうので……」


「人化させれば、人間の悪意を吸収しません。今、眠っているのは、過去の記憶を整理するためでしょう。ダークスライムと呼ばれるようになってからは、どんどん膨れ上がるばかりでしたから」


「この子は、ダークスライムではないですよね? 亡き青の国王がダークスライムと呼んでいたのは、黒いスライムだと言っていましたし」


 私がそう尋ねると、彼女は、少し考えてから口を開く。


「人間がいうダークスライムの特徴からすると、私の分身も、ダークスライムです。お恥ずかしい話ですが、今の私には、もう、この大陸を浄化する能力はありません」


 彼女は、とても悲しそうに見えた。そういえば、青の王国で飼われていた従魔って、アルくんが言ってたっけ。それに、さっき、彼女は、青の国王が隠してくれていたと言ってたけど。



『ジュリちゃん〜、クイーンホワイトの分身は、大陸の秩序を守っていたんだよ〜。だけど、人間の悪意から生まれたダークスライムに、次々と喰われたんだ〜』


(えっ? 5つの分身じゃなくて?)


『うん〜、数はわからないけど、アタシよりたくさんの分身を作ってたよ〜。分身を作りすぎると、本体が消耗しちゃうんだ〜。だから、アタシは作りすぎないようにしてるけどね〜』


(じゃあ、その分身を喰われたから、クイーンホワイトさんは、青の国王にかくまってもらってたの?)


『かくまっていたというのは、少し違うと思うよ〜。一緒に戦おうとする人間を見つけたから、そこにいたんだよ〜。でも、そのときに、彼女は失敗したんだ〜』


(クイーンホワイトさんが失敗?)


『うん〜。人間の闇の深さを知らなかったんだと思うよ〜。青の国王を助けようとして分身を増やしたんだ〜。クイーンホワイトは浄化能力があるからね〜。だけど、ダークスライムの方が、数も多くて強かったってことかな〜』


(ダークスライムに餌を与えることになったというか、逆効果になったのね。クイーンホワイトさんは、それを私に話しに来てくれたのかな)


『今、黙ってる〜?』


(うん、誰もしゃべってないよ)


『じゃあ、アタシ達の話を聞いてるね〜。スライム神は、今のクイーンホワイトでは、もう大陸を抑えられないと考えているよ〜。だから、ジュリちゃん達に賭けてるの〜』


(えっ! ちょ、クイーンホワイトさんに聞こえてるなら、そんなこと……)


『いいの、いいの〜。アルやカールには聞こえてないから〜。ブラックは聞いてるけどね〜』


(黒い子の落ち着きがなくなったのは、イケメンさんと話してたから?)


『それは、違うと思うよ〜。大陸のスライムが集まってきてるからじゃない〜? クイーンホワイトがいると襲ってこないはずだけど〜』


(えー? 集まってきてるの? どうしよう。赤の軍隊がたくさんいるし、緑の軍隊は寝てるよ)


『その場所で人間を直接襲うとダークスライムが出てくると思うよ〜。ダークスライムは、人化するスライムを喰うようになったんじゃないかな〜? さっき、盾の近くにいたレッドスライムは、何体か喰われてたからね〜』


(逃げたんじゃないの?)


『何体かは溶かされたよ〜。だから、集まってきたんじゃない〜? 青の王国があった付近は、クイーンホワイトの分身のダークスライムが守っているけど、その場所でも、人間の悪意から生まれたダークスライムの方が、多いと思うよ〜』


(えー、じゃあ……)


『ジュリちゃんの当初の作戦でいいと思うよ〜。アタシがちゃんと視てるから、頑張って〜』


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