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94、大陸での再会

「ジュリさん、大陸近くの上空です。キララは今は話せないので、オレから説明をします」


「もう着いたの?」


 光が収まると、私達は、厚い雲に覆われた空に浮かんでいた。気球から下を見てみると、横長な陸地が、暗い色の海に浮かんでいるように見える。


 アルくんは、初めてキララの気球に乗ったから、下を見るのが怖いみたい。カゴの部分を握っていて、微動だにしない。


 黒い髪の人化したスライムは、楽しそうにキョロキョロしてる。この子は、好奇心旺盛だもんね。



「横長な陸地が、人間の住む大陸です。オレが聞いていた情報とは、大きく変化しているようです」


「戦乱中だからかな?」


「はい。人間を排斥したスライムの地が増えています。左側が赤の王国、右側が緑の帝国、中央の上部が黄の王国で、下部が青の王国があったさすらいの荒野です。各国の境界や海岸沿いには、小国や集落があります」


「赤と緑と黄色と土色かな。土色は濃淡があるね。でも中央も緑色の部分が多いな。草原は緑色だからかな」


「さすらいの荒野は、地下にダークスライムが広がっている場所は、濃い土色になっています。中央のあちこちに緑色の場所があるのは、人間が入れない高台に、スライムが勝手に棲み家をつくっているんです」


「上からだとわかりにくいけど、高台なのね」



 すると、アルくんが口を開く。


「大陸の中央には、砂漠はあるけど山はないよ。だから人間が入れないような高台もないはずだ。山があるのは、緑の帝国だけだったよ」


「ここからだと、砂漠があるようには見えないね」


「俺には下を見る余裕がないんだけど、砂漠が山に変えられたのかな」


「うーん、どうなんだろ? キララ、もう少し下に降りてみて」


 私がそう言うと、気球は、スーッと下へと降下していく。さっきは大陸全体が見えていたけど、もう中央しか見えない。


「あまり降りると、気付かれるんじゃ……」


(アルくんは心配性ね)


「大丈夫だよ。キララは、ゆるい阻害魔法なら使えるから、人間にはバレないよ。あれ? あの点々って……」


 気球は、土色の地に近づいていく。



「ジュリちゃん、あれは人間の軍隊だよ。左から来ているのは、赤の王国だね。緑の帝国に進軍がバレてるみたいだけど」


 黒い髪の人化したスライムは、この距離でも見えるのね。ということは、大陸のスライムからも、気球は見えているのかも。


「緑の帝国が来てるの?」


「あぁ、こっちだよ」


 私からは見えてなかった方向に、黒い髪の子が、私の頭を持って向けた。隠れているけど、かなりの数の人間が待ち構えてる。イーグルさん達から、さすらいの荒野には緑の帝国が罠を仕掛けてるという話も聞いたことがあったな。



「ジュリさん、キララが、カールが居るって言ってます」


「えっ? ネイル、どこ?」


 ネイルが指差したのは、赤の王国の軍隊の先頭部分。漁師のお兄さんが、この進軍の指揮をしているの?


「ジュリさん、あと30分も経たないうちに、緑の帝国と衝突します。両方とも人間しかいません。両軍が衝突する地点の北側の高台に、スライムの棲み家があります」


「人間達を衝突させて、スライムはどうするのかな」


「おそらく、赤の王国の兵のフリをして、緑の帝国の主要な人間を殺すつもりだと思います。赤の王国の国王が殺されたときも、先に赤の王国の戦闘力の高い人間を殺したようです」


(止めなきゃ!)



「キララ、姿を見せて、もっと降下するよ。赤の王国の軍隊の進軍を止める!」


 私がそう指示すると、私達を淡い光が包んだ。そして、気球はスーッと降りていく。


「えっ? ジュリちゃん、ダメだよ! 狙われる」


「アルくん、大丈夫だよ。キララから出なければ、私達には何も当たらないから。ネイル、声を拡張したいの」


「お任せください」


 空に現れた私達に、両軍の人間が気づいたみたい。アルくんが心配したように、赤の軍隊から、火矢が飛んでくる。だけど、私達には当たらない。キララは、透過魔法を使っているから、火矢は私達を通り抜けていく。



 ネイルは、私に何かの魔法をかけてくれた。


『皆さん! これ以上は、進んじゃダメです。敵が待ち伏せしてます!』


 私が喋る言葉は、念話に変換されてる。だけど、赤の軍隊は、私達を敵だと思ってるみたい。どんどん火矢が放たれてる。


(静かにさせるには……)


「ジュリさん、人間よりも、大陸のスライムを抑える方がいいです。炎に紛れて、次々と転移してきます」


 火矢で燃えている場所には、赤い髪の人化したスライムがいた。どんどん増えていく。



「ブルースライムの水魔法!」


 赤いスライムがいる方向へ手を向け、術名を言うと、ザッパーンと海の波のような水が、火矢による炎を一気に消し去った。


 その様子を見た赤の軍隊は、火矢を射つのをやめた。


『皆さん! 進軍をやめてください! 私は、ジュリ、いえ、ジュリエッタです。母リーネルの手紙を読み、本当の名前を知りました。そして、父が殺されたことを知り、スライム神の島から、ここに来ました』


 赤の軍隊は、急にザワザワとし始めた。



 しばらくすると、兜を外した赤い髪の男性が、拡声器を使って、私に話しかける。


「カールだ。ジュリちゃんなのか?」


『お兄さん? そうだよ、ジュリだよ。お兄さん、よく聞いて。国王を殺したのは、緑の帝国の人間じゃないよ。緑の帝国の人間のフリをしたスライムだよ。大陸のスライムは、私達を殺そうとして、海辺の集落にも何度も襲撃してきたの。物質スライムを奪って、改造スライムを創っているのは、緑の帝国の人間だよ。出来上がった改造スライムを兵器として使っているのは、人化するスライムだよ!』


 話している間に、気球は、ゆっくりと着地した。



「嘘だ! 白い髪の子供は呪われている!」


 私の髪色を見て、赤の軍隊の人達の何人かは、剣を抜いた。だけど、それを止めようとする人もいる。


「やめろ! 彼女は、リーネル王妃を母だと言った。ジュリエッタ王女だ!」


(王妃? えっ、正妻なの?)


「さっきの魔法は、人間ではない証拠だ!」


 私達は、キララの気球のカゴからは降りられない雰囲気だった。でも前方を塞いだから、進軍は止まったよね。



『ジュリちゃん、アタシの盾を発動するわよ〜』


(えっ? イケメンさん?)


 その声が聞こえた直後、キララの気球の後ろに、大きくて透明な盾が現れた。


 ボゥオッ!


 赤い髪の人化したスライム達が、攻撃してきたみたい。盾のすぐ向こう側から放った爆炎が、盾に当たって術者の方へと跳ね返っていった。



皆様、いつもありがとうございます。

月曜日は、お休み。

次回は、12月9日(火)に更新予定です。

よろしくお願いします。

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