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89、黄の集落でも大量仕入れ

 黄の集落は、オバサンと何度も来ているから、顔見知りの人もたくさんいる。キララの転移魔法で、直接、村の中に入っても、文句は言われない。


「おっ、ジュリちゃん、今日も売りに来てくれたのか」


「こんにちは。今日は、海辺の村長に頼まれて、受け取りに来たの」


 織物の工房近くに到着すると、何人かの人が集まってきた。サラダセットの販売だと思ったみたい。


「なんだ、おつかいか。ん? すごい量だな。あれを受け取りにきたのか」


 織物の工房の横に、麦粉の袋が積み上げられているのが見えた。私が来たことがわかったのか、麦粉屋の店員さんが、工房から出てきた。私の横に立つキングシルバーさんの方をチラチラ見てる。



「ジュリさん、こんにちは。早かったですね。海辺の村長から注文を受けた分です。工房の注文は、もう少し待って欲しいそうですよ」


「こんにちは。じゃあ、麦粉を先に受け取りますね」


 私がそう言うと、キララがすぐに収納した。そして、ワゴンの姿だったキララは、人間のような姿に変わった。


「まぁっ! キララくんは、服を着ると人間のように見えますね〜。異世界人みたいだけど」


(日本人っぽいよね)


 キララは、ニコニコしているけど、何も話さない。発声できるようになったことは、隠しておくみたい。



「ジュリちゃん、少し時間があるなら、アタシの服を買いに行きたいの〜」


「ん? イケメンさんの服?」


「うん〜、黄の集落の服は、カッコいいから〜」


(また、目配せ?)


「わかったよ。じゃあ、麦粉屋さん、また」


 私が挨拶をしても、店員さんはキングシルバーさんに釘付けになってる。ま、いっか。




 ◇◇◇



 キングシルバーさんは、オバサンと何度か買い物に来ているから、集落の住人だらけの通りも、よく知っているみたい。上機嫌で歩いていく。


 私は、キララと手を繋いで、キングシルバーさんについて行った。彼は魅了を使っているわけじゃないだろうけど、すごく注目を浴びている。住人だらけの通りでは、キングシルバーさんは有名みたい。


「ジュリちゃん、ここよ〜」


 彼が選んだ店は、服屋というより雑貨屋だった。


「イケメンさんの服を買うんじゃないの?」


「先に景品を買う方がいいでしょ〜」


(あっ、忘れてた)


 私は、明日のお楽しみ会の景品を、買いに来たんだった。オバサンのお使い以外にも、キングシルバーさんが、たくさんの仕入れを促したけど。



「わっ、イケメンさん、こんにちは」


「こんにちは〜。あのね〜、明日、山の中の集落で子供達に贈り物をしたいの〜。何がいいかわからないから、お姉さんにお任せしてもいい〜?」


 キングシルバーさんにお姉さんと呼ばれた店員さんは、目がハートになってる。お姉さんという年齢じゃないと思うけど。


「スライムの集落で育てられている子供達ですか?」


「そうなの〜。ジュリちゃんが、明日、お楽しみ会をすることになったから、景品がたくさん必要なのよ〜」


(あれ? ぶっちゃけてる)


「革製品の小物がいいかしら? ジュリさん、何人分くらいなの?」


「子供達は、50人以上いるんです」


「まぁっ! そんなに?」


 店員さんは少し考えると、奥へと引っ込んでしまった。何かを探しに行ってくれたのかな。



 しばらくして戻ってきた店員さんは、大きな箱を運んできた。台車がないから、大変そう。


「お姉さん、アタシに言ってくれたら、運ぶわよ〜」


「イケメンさん、大丈夫よ。ジュリさん、景品にするなら、これを少し買い取ってもらえないかしら? 大陸用に用意した革財布なんだけど、大型船が来ないから困っていたんですよ」


 箱の中を見ると、大量のコインケースが入っていた。銅貨は、皆、布袋に入れるから、これは銀貨用だと思う。子供達は銀貨なんて持たないよね。


「ジュリちゃん、お姉さんが困ってるみたいだよ〜。全部買い取ってあげればいいんじゃない〜? 他の集落も回るでしょ〜」


(また、それ?)


「全部って、何個あるんですか」


「これは、2000個あるわ」


「2000個!? ひとついくらですか」


「店で販売するときは、銀貨1枚にしているわ。正直に話すけど、納品価格は、その半分以下なの。大陸へは、この箱で、金貨10枚で卸しているわ」


 金貨10枚ということは、1,000万円!? 大きすぎる金額に、頭がチカチカしてきた。赤の集落で、金貨2枚を支払ったばかりだけど、キララはお金あるのかな?



『金貨10枚で買い取り可能です』


 キララが念話を使って、答えた。


「助かります! では、箱のままで大丈夫ですか?」


『大丈夫です。ジュリちゃん、両手を出して』


(ん? 両手?)


 両手をキララの方に向けると、キララは私の手のひらを上にして合わせた。その直後、私の手の中には、ズシッと重い金貨が10枚乗っていた。


「代金の金貨です」


「助かります! ありがとうございます!」


 私が金貨を店員さんに渡すと、大きな箱がスッと消えた。キララが収納したみたい。



「子供達に財布は必要だけど、もっと喜ぶ物も欲しいかな」


「ジュリちゃん〜、じゃあ財布は、他の集落で売ればいいよ〜。これ、かわいいよ〜」


 キングシルバーさんが、次々と、刺繍の入った布袋や置き物、花瓶などを選んでいく。結局、財布以外に、50個以上の小物を買うことになった。


(また、大量仕入れだよね)



 ◇◇◇



 織物の工房に戻ると、工房の人が私を待っていた。


「ジュリさん、海辺の村長からの追加依頼品です。痩せ型の男性物の服を数着ということでしたので、いろいろと入れてあります。不用な分は返品してもらって大丈夫だとお伝えください」


(あっ、そういうことか)


 オレンジ色の髪のオジサンの服なのだと思う。確かに、山の中の集落に着ていく服なんて、ないもんね。


「わかりました。お預かりします」


 私が返事をすると、またすぐにキララが収納した。



「ジュリちゃん、ここの敷き物を買っていく方がいいと思うよ〜。他の集落も回るでしょ〜」


(また?)


「キララが破産しちゃうよ」


「それはないよ〜。たくさん買って行こうよ〜」


 もしかすると、大陸からの大型船が来なくなったから、人間の集落の人達の生活が厳しいのかな?


「わかったよ。じゃあ、敷き物とタオルを……」


「わぁっ! 助かります〜」


 結局、織物の工房でも、キララはたくさんの仕入れをした。キングシルバーさんに、破産させられてしまいそう。


 そして、私達は、キララの転移魔法で、海辺の集落へ戻った。



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