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88、赤の集落で得た情報

「あれ? ロックスさん達かな?」


 キララが到着したのは、赤の集落の門の外だった。赤の集落の中に直接転移すると、槍を持った人がすっ飛んでくるもんね。


 私がキララを一旦クローズしている間に、キングシルバーさんが彼らに手を振ってる。


「ロックスくん、イーグルくんとそのお友達、大きな荷物を持って、どうしたの〜?」


(お友達じゃないよ?)


 たぶん、キングシルバーさんは、イーグルさんが連れてきた二人の名前を知らないのね。えーっと、オーロンさんとナイツさんだったかな?



「あっ、イケメンさん、ジュリちゃんも?」


 ロックスさんがホッとした顔をしてる。彼らが壁になっていて見えなかったけど、彼らの前には、門番が5〜6人集まっているみたい。


「みんな〜、どうしたの〜?」


「魚を持ってきたら、黄の集落の方から来たからって、止められたんですよ。まぁ、オーロンとナイツの髪色のせいかもしれないですけど」


(暗い黄土色だから?)


「ジュリちゃんと交代するね〜。アタシより、ジュリちゃんの方が、赤の集落では有名だから〜」


 赤の集落のゴタゴタを解決したときは、キングシルバーさんがメインで動いてくれた。大陸の赤い髪の人化するスライムが、この集落に改造スライムを持ち込んだんだっけ。あれも、アルくんを狙ってのことだったよね。



「えっ? 白い髪のジュリさん……」


「私が有名というより、キララが有名なんだよ。アンドロイドの姿で散歩したからね」


 私がその話をすると、門番達は明らかにビビってる。赤の集落の村長が、キララを怖がっていたからかも。


 赤の村長の見た目は、お爺さんだけど、スライムに寄生されたことが影響してるんだっけ? もう人間に寄生するスライムは、排出したって言ってたけど。


 剣の物質スライムを持ってるって言ってたけど、ただの剣じゃなくて、かなり有能だと思う。だから、赤の王国にいたときは、王国騎士団を率いる騎士団長だったんだよね。名前は……忘れちゃったな。


(あっ、来た)


 ロックスさん達を足止めしていたのは、赤の村長を呼ぶためだったのかな。




「黄の王国の……ん? なぜ、ジュリさんがいるのだ?」


「赤の村長さん、こんにちは。私は、山の中の集落への食料を受け取りに来たんですけど、彼らが門番さんに止められていて……」


「は? ジュリさんを止めたのか?」


「村長! 違います。この二人は、今、来たばかりで、我々が止めていたのは、黄の集落からの妙な奴らです。大陸のスライムかもしれません」


(理由は違うのね)


 以前も、この門で止められたことを思い出した。だけど、あのときは、集落全体がゆるい状態異常を受けていたっけ。


「そっちの4人か? 彼らは人間だが?」


「ダークスライム化していませんか? 俺の魔道具では、警戒信号が点灯しています」


(壊れてるんじゃない?)


 また赤の集落に、なかなか入れない。私がため息を吐くと、キングシルバーが私に目配せをして、口を開く。



「キミ達、ダークスライム化している人間は、スライム神が島から出すんだよ〜。ねぇ、ジュリちゃん〜」


「そうですね。たくさんのスライムが巡回してるから、ダークスライム化した人間は、すぐに見つかりますよ」


 私は、キングシルバーさんに話を合わせた。


「それに、キミ達が警戒すべきなのは、黄色い髪じゃなくて、赤と緑だよ〜。昨日も、大陸の人化するスライムに、山の中で遭遇したんだ〜。ほとんどが赤い髪だったよ〜。緑の髪の改造スライムを連れてたよ〜」


(おっ、上手い!)


 門番達が、赤の村長に確かめようと視線を移した。でも、彼はきっと知らないよね。



「赤の村長さん、山の中の集落を、大陸のレッドスライムが何度も襲撃しています。幼い人間の子供を容赦なく殺しているみたいです。昨日、食料を届けに行って、驚きましたよ。子供達の表情は怯えきっていました」


「えっ? ワシにはそのような情報は……」


「ロバーツが知らないのは、当たり前だよ〜。海辺の村長も知らなかったからね〜。大陸のスライムは、2種類いたよ〜。スライム神のギフトを得たばかりの未熟な子供を捕まえたい奴らと、珍しい髪色の子を殺したい奴らだよ〜」


(あっ、ロバーツさんだっけ)


「なんだと!? そんなことを……レッドスライムが……」


「どうすればいいかな〜? このままだと、人間の集落はすべて襲撃を受けるかもしれないよ〜。大陸のスライム達は、どうすれば諦めるのかな〜?」


 キングシルバーさんは、もしかすると、赤の村長の知恵を借りたくて、私について来たのかな。いや、違う。私が誰に聞けばいいかわからないから、助けてくれてるのかも。



「レッドスライムは、大陸の赤の王国では、非常に友好的な種族だった。だがそれは、ワシらが騙されていただけかもしれんな。あっ、ジュリさんに持って行ってもらう食料が届いたようだ」


 オバサンが連絡していた人が、台車を使って、加工肉を持ってきてくれたみたい。


「お話し中すみません。ジュリさん、こちらが海辺の村長からの注文分です」


「ありがとうございます。キララ、オープン」


 キララは、ワゴンの姿で現れた。赤の村長は、キララという言葉を聞いただけで、ギクッとしてる。


「ジュリちゃん、他の集落も回るから、もっと余分に買っておく方が良いと思うよ〜」


(えっ? また?)


「大型船が来ないから、大陸用の加工肉が余っています。買い取ってもらえると嬉しいですが」


「じゃあ、銀貨10枚分くらいをお願いできますか」


「すぐに、お持ちします! あっ! もう台車が空っぽですね」

 

 空の台車を押して、小走りですぐ近くの建物に入って行った。倉庫なのかな。



「ロバーツ、何か思いつかない〜?」


 キングシルバーさんは、また同じことを尋ねた。


「そうだな。レッドスライムは、ナワバリ意識が強いから、テリトリー内に他の種族が入ってくると、その排除に集中するかもしれん」


(赤の集落とそっくりね)


 あっ、そうか。赤い髪の人間は、赤いスライムに影響を受けているんだっけ。


「大陸のレッドスライムのテリトリーって、赤の王国ですか?」


「あぁ。とはいっても、人間の街の中ではない。赤い丘と呼ばれる北部の草原付近だ。人間が立ち入ろうとすると激しく抵抗される」


(赤い丘、か)



「お待たせしました。買い取ってもらえたら、助かります」


(すごい量!)


 キララは、全部、異空間に収納したみたい。そして、ワゴンには、金貨2枚が出てきた。


 私はそれを支払い、黄の集落へ向かうことにした。



いつも読んでいただきありがとうございます。

月曜日は、お休み。

次回は、12月2日(火)に更新予定です。

よろしくお願いします。

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