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87、なぜか付き添うキングシルバー

 翌朝、少し早めの朝ごはんを食べていると、イケメンさんがやってきた。また、髪がひどいことになってる。


「ジュリちゃん、おはよう〜。今日は、景品を買いに行くんでしょ〜? アタシも行きたい〜」


 昨日、あれからオバサンに、山の中の集落の子供達が怯えていることや、プールを作ったこと、そしてお楽しみ会の話をした。オバサンは、山の中の集落の現状を知らなかったみたい。お楽しみ会までに、たくさんのパンを焼くと言ってくれた。


「イケメン、また、髪がぐちゃぐちゃじゃないかい」


「村長、何とかして〜」


「仕方ないね、そこに座りな」


(オバサン、嬉しそう)



「ジュリ、3つの集落を回って、食料を受け取ってきておくれ。昨夜のうちに連絡しておいたからね。ジジイとタームも、明日は山の中の集落に行くかい?」


 オバサンがジジイと呼ぶオレンジ色の髪のオジサンは、寄せ集めの集落の村長だけど、ちょっと病んでるからか、海辺の集落に滞在している。寝る時は、別の小屋を使うけど、それ以外は、ずっとオバサンの近くにいる。


 物質スライムを失って島に戻った茶髪のタームさんも、まだ海辺の集落にいる。彼の物質スライムは、飛行の能力があるらしい。でも物質スライムが復活するには、まだしばらく時間がかかりそう。ここにいる方が復活が早いのかも。


 オレンジ色の髪のオジサンは、物質スライムを奪われたことで、闇落ちはしてないけど、村長と呼ばれることが苦しいみたい。だから、オバサンは、ジジイと呼んでいる。改造スライムをつくる緑の帝国の犠牲者だよね。



「いや……山の中は……」


「子供が50人以上いるみたいだよ。ジジイは子供の世話が得意だろ? タームは懐かしいんじゃないかい? 大陸のスライムのことなら気にしなくていいよ」


「失礼を承知で言いますが、海辺の村長は、大陸のスライムのことを、何もわかってないのではありませんか」


(あっ、怒ってる?)


 茶髪のタームさんは、苛立ちを隠さないのね。オレンジ色の髪のオジサンは、気が弱いから反論しないけど。


「あぁ、私は、わかってなかったみたいだね。スライム達が隠し事をするから、正しい情報が入ってこないんだ。だけど、ジュリ達が戻ってくる直前、かなりの数の大陸のスライムが島を出て行ったことは、わかっているよ」


(バレてる)


 昨日、私は、オバサン達には、山の中での交戦の話はしなかった。黒い髪の人化するスライムは、自慢したそうにしてたけど、私が話さなかったからね。すぐにキングシルバーさんと一緒に、どこかへ帰って行った。たぶん、若いスライムの集落で自慢したのだと思う。



「なぜ、大陸のスライムが、島から出て行ったのでしょうか?」


「ジュリは、護衛にブラックを連れて行ったからね」


 オバサンがそう言うと、タームさんは少しビクッとしたみたい。彼らの集落の池の奥の洞穴に、スライムが棲みついていることを思い出したのかな。


(うん? 何?)


 なぜか、二人の視線が私に向いた。


「ジュリさんは、大陸のスライムが島から出て行った理由を知っていますか」


 彼らは、オバサンの説明では、納得できなかったのね。


 チラッと、イケメンさんに視線を向けると、彼らの視線も私につられて、前髪を気にしているイケメンさんの方に移る。



「ん? ジュリちゃん、なぁに〜? もう出掛けるの〜? 前髪が、なんだか左にハネちゃうのよ〜」


(今日は、普通にオネエだ)


 キングシルバーさんも、昨日の交戦の話はしないのね。大陸のスライムは、昨日は逃げたけど、いつまた来るかわからない。だから、もう大丈夫だなんて、無責任なことは言えない。


「村長さんにまとめてもらったから、変じゃないよ? そういう髪型に見えるもん」


「ジュリちゃんがそう言ってくれるなら、大丈夫かな〜?」


「うん、どの集落に行っても、イケメンさんはカッコいいって言われると思うよ」


「わぁい、嬉しいな〜」


 また、クルクルと踊るように回ってる。やっぱり、道化どうけを演じてしまうのね。キングシルバーさんの性格かもしれないけど。



「まぁ、イケメンも剣術は強いからね。大陸のスライムを蹴散らしたんじゃないかい? ジジイ達が行くかどうかで、ジュリに頼む買い物も変わるんだ。どうするんだい?」


「でも、山の中は……」


「はぁ、シャキッとしな! ジュリ、黄の集落で、織物の工房にも寄ってくれるかい? 今、注文したから、一番最後に立ち寄っておくれ」


「はーい、わかったの。じゃあ、緑の集落から行こうかな。キララ、オープン」


 キララは、ワゴンの姿で現れた。イケメンさんは、すぐにキララのワゴンに触れた。


「じゃあ、いってきます」


 私がそう言うと、キララは転移魔法を発動した。




 ◇◇◇




「ジュリさん、山の中の集落が食料が足りないんだってな。海辺の村長から頼まれた分は、これだけなんだが」


 緑の集落の畑に、キララは直接転移した。門を通らなくても、緑の集落の人達はおおらかだから、誰も気にしないみたい。


「ありがとう! キララが預かります」


 積み上げられていた野菜は、一瞬で消えた。


「ジュリさんの物質スライムは、すごい能力だな。畑のグリーンスライム達も、ジュリさんが来ると嬉しそうだよ」


「キララは、すごい子ですからね」


 私がそう言うと、畑のあちこちで、小さなグリーンスライムが飛び跳ねてる。ふふっ、かわいい。



「ジュリちゃん、販売用の野菜をたくさん仕入れておく方がいいと思うよ〜。これから、他の集落を回るでしょ〜」


 キングシルバーさんが、目配せをしながら、そんなことを提案してくれた。


「そうだね。農家さんで、余ってる分があれば……」


「たくさんかい? 全部収穫するから買ってくれると助かるよ。キララなら、運ばなくていいからありがたい」


(また、土づくりをするのかな)


「じゃあ、全部買います」


「まいど、ありがとうね」


 農家のおじさんは、広い畑を物質スライムの能力を使って、一瞬で収穫した。それをキララは、一瞬で収納する。


(物質スライムって、すごい)


 キララは、ワゴンに銀色のお金を出した。私は、それを手に持って、農家さんに渡す。


「全部で、銀貨11枚で、いかがですか?」


「なかなか良い値だな。ジュリちゃん、ありがとうね」


「こちらも、良い仕入れをさせてもらいましたよ。では、またお願いします」


 私達は、キララの転移魔法で、赤の集落へと移動した。



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