79、ブレスレット1連目が埋まったよ!
「ピードくん、門番をしなくていいの? サフィさんまで、ついて来てるよ」
「俺は、ピードルだってば! ジュリちゃんがイタズラしないように見張ってるんだからな」
「私は、イタズラしないよ? 悪戯っ子は、ピードくんでしょ」
「俺は、ピードルっ! ピードル、ピードル、ピードルっ!」
(ふふっ、面白い)
青い髪のピードくんは、青の王国の生き残りに違いない。サフィさんは水色の髪だけど、親は、青の王国の人だという気がする。スライム神からのギフトで、二人は、アルくんと同じく剣を得たということは、王族のアルくんを守る立場なのかな。
ピードくんは、たぶん私と同じくらいの年齢。サフィさんは、もう少し年上に見える。
「集落の中が、かなり変わったね。私が居た頃に比べると、小屋がすごく増えてる」
「住人が増えたからだよ」
集落は狭いから、長老様の住まいに向かって歩くだけで、全体がよく見える。スライム達は寝るときには小屋を使わないから、人間のための小屋だと思う。
そして何より、不安そうにこちらを見る子供達の視線に、違和感を感じる。私がここに居た頃は、何も不安なんて感じなかったのにな。私が幼かっただけかもしれないけど。
「長老様、こんにちは!」
幼い頃に覚えたルール通りに、長老様の住まいの前で、大きな声で挨拶をした。するとスーッと扉が開く。
(懐かしいな)
夕方に、おはようと言うと開かない扉。朝は、長老様は寝ているけど、朝におはようと叫んでも、扉は開いた記憶がある。誰が開けているのか謎だけど。
私達が広い土間に入ると、スーッと扉は閉まった。ついて来ていたピードくん達は、中に入れず、扉をドンドンと叩いている。
「ジュリか、大きくなったのぅ」
(わっ! 長老様だ)
スライムの姿をしているけど、念話ではなく、普通に音声で喋ってる。これって、すごい能力なのかも。
「長老様、こんにちは。ジュリです。9歳になりました」
「もう3年も経つのじゃな。話は聞いておるぞ。ワシの体液が役に立てばよいがのぅ。どうやって渡せば良いのじゃ?」
(もう?)
長老様は、すぐに触手を伸ばしている。なんだか催促されているみたい。
「パレット!」
そう呼び出すと、ネイルが慌てて起きた気配がする。いつもより少し遅れて、白いパレットが現れた。
「長老様、この上にお願いします」
私が言い終わる前に、もう体液はパレットの上にあった。淡い黄緑色に見える。長老様の魔法陣と同じ色かも。
白いトレイの上で、淡い黄緑色の体液は、静かにクルッと回ると、トレイが消え、頭に文字が浮かんできた。
【トップコート】
●ネイルの保護のために塗る。
●キングライムの持続・拡張魔法。
(えっ? まさか!)
左手首を見ても、どれが1連目かわからない。
「長老様は、キングライムさんなんですね」
「ふぉっ、その名で呼ばれたのは、何十年ぶりじゃろな。ジュリの役に立つことができたのかな?」
「はい! たぶん、1連目だと思います。リストで確認してみます」
『マニキュアリスト』
《1連目》
【ベースコート】
●爪の表面の保護のために塗る下地。
●スライム神の通常バリアが常時発動する。
【銀ラメ:Lv.5】
●無色透明、銀色のラメ入り。
●キングシルバーの盾。
【紫:Lv.5】
●マットな紫色。
●キングパープルの猛毒。毒無効。
【白:Lv.5】
●クリアな白色。
●クリアスライムの毒消し・極。
●クリアスライムの治癒魔法。
【赤:Lv.5】
●鮮やかな赤色。
●レッドスライムの火魔法・極。
●レッドスライムの炎耐性。
【黄:Lv.5】
●やわらかな黄色。
●イエロースライムの土魔法・極。
●イエロースライムの土耐性。
【青:Lv.5】
●爽やかな青色。
●ブルースライムの水魔法・極。
●ブルースライムの水耐性。
【緑:Lv.5】
●明るい緑色。
●グリーンスライムの風魔法・極。
●グリーンスライムの風耐性。
【ピンク:Lv.5】
●かわいい桜色。
●ピンクスライムの状態異常魔法・魅了。
●ピンクスライムの状態異常魔法・幻惑。
●ピンクスライムの状態異常魔法・スロウ。
●ピンクスライムの状態異常魔法・睡眠。
●ピンクスライムの状態異常耐性。
【水:Lv.5】
●澄んだ無色透明。
●ウォータースライムの浄水魔法・極。
●ウォータースライムの浄化魔法・極。
【黒:Lv.5】
●マットな黒色。
●ブラックスライムの闇魔法・極。
●ブラックスライムの闇耐性。
【トップコート】
●ネイルの保護のために塗るマニキュア。
●キングライムの持続・拡張魔法。
(12個、全部揃った!)
レベルが5に上がってるし、ほとんどの色に能力が追加されてる。
「ジュリちゃん、アタシにも見せて〜」
銀色の髪の超絶すぎるイケメンが、後ろからリストを覗いてる。長老様には見えてないみたいだけど、物質スライムを生み出すキングシルバーには、リストも見えるのね。
(あっ、このブレスレットかな)
リストを表示していると、ブレスレットは淡い光を放つみたい。クルクルと回して確認してみると、新たに黄緑色の石が増えていることに気づいた。
こないだ表示したときは、3連目が埋まったときだったけど、レベルが2から4になってた。今回、1連目が埋まったら、レベルは5になってる。
(んー? よくわからないな)
2連目が埋まったときにレベル2になって、3連目が埋まったらレベル4になったのよね。
『ジュリさん、ご説明します。オレを呼び出してください』
「ん? ネイルを呼び出すの? あっ!」
ネイルの名前を口に出すと、ブレスレットがピカッと光り、ブレスレットが取れた。あ、違う。銀色のシンプルな腕輪は残ってるけど、石の付いたチェーンブレスレットが消えた?
「ほう? これは、何と興味深いものじゃな」
私の目の前には、クールな雰囲気の魔導士っぽい男の子が立っていた。私より少し背は低い。
「まさか、ネイル?」
私がアワアワしていたのか、魔導士っぽい男の子は、クスッと笑った。
「はい。ネイルです。ジュリさんの疑問にお答えします。突然レベル2から4へ上がったように見えますが、オレの誕生日にはレベル3になっていました。そして、3連目が埋まったので、レベル4になったのです」
「ネイルなの? 人間の魔導士みたいに見えるよ」
すると、ネイルはフードを取った。頭には髪はないけど、透明な帽子も見えない。
『ジュリちゃん! ボクも呼び出して!』
「えっ? キララも? わっ!」
オープンとは言ってないのに、指輪の石が消え、いつもとは少し違うキララが現れた。
「ジュリちゃん! ボクも3歳になったから、かわいくなったでしょ」
髪はないけど、普通に服を着ていて、私と同じくらいの背の、人間の男の子に見えた。それに、念話じゃなくて、普通に喋ってる!




