表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/123

72、ヘアマニキュアリスト

「パレットの上にあるボタンは何?」


 私は、ネイルが選んだマニキュアを塗った爪を乾かしながら、そう尋ねた。


『パレットの上ではないのですが、切り替えボタンです。押してもいいし、押そうと意識してもらっても、切り替わります』


(ボタンは、押すものよね)


 私は、そのボタンを押してみた。すると白いパレットの上のマニキュアが消え、パレットは丸い光の集まりに変わった。


『ジュリさん、切り替わったリストをすべて表示しましょうか?』


「うん、お願い」


 私がそう答えると、短いリストが現れた。マニキュアリストなら、ズラリとすっごく長いのに?




『ヘアマニキュアリスト』


【ベースコート】

 ●髪の表面の保護のために塗る下地。


【銀ラメ】

 ●ヘアマニキュアの色落ちを防ぐ。


【クリア】

 ●ヘアマニキュアの色を落とす。


【赤】

 ●鮮やかな赤色。


【黄】

 ●やわらかな黄色。


【青】

 ●爽やかな青色。


【緑】

 ●明るい緑色。




 ヘアマニキュアリスト? 髪の保護と色落ち防止、除光液みたいなクリア、そして、3つの王国と緑の帝国の色?


『オレが1歳になったから、マニキュアの範囲が増えました。髪色を変えることができます』


「えっ! ネイル、それって凄すぎるよ。じゃあ、アルくんに使えば、もう狙われなくなるね」


『今は、まだジュリさんにしか使えません。1連目と3連目も埋まれば、他の人間にも使えるようになると思います』


「1連目はあと1つだし、2連目は全部埋まってて、3連目はえーっと、あと3つだね!」


(すごい!)


 今すぐ使ってみたいけど、どうしようかな。アルくんが待ってるよね。



『ジュリさん、ベースコートだけ、ヘアマニキュアを使いますか? 山の中を歩くなら、髪が傷むことを防げます』


「うん、そうしてみる」


『では、ジュリさん、左手を上にあげて、【ヘアマニキュア】と言ってください。リストがない状態なら、パレットを呼び出してから、左手をあげてヘアマニキュアです』


「わかった。ヘアマニキュア! ベースコート?」


 左手を上にあげてそう言うと、パレットの丸い光の集まりが、私の頭の上に移動した。そして、そこに、左手首のチェーンブレスレットから別の光が合流した後、光の粒のシャワーのような物が、私の頭に降り注ぐ。


 私はずっと上を向いて見ていたけど、光は、目には入らない。髪だけにくっつくみたい。


「なんだか、手触りがよくなったよ」


『はい。これで髪の表面を保護できました。色を変えたいときは、この上から色のヘアマニキュアと必要に応じて銀ラメを使います』


「元に戻したいときは、クリアを使うんだね。クリアは、白いクリアスライムの色のヘアマニキュア版かな?」


『はい、そうです。白と表示するとわかりにくいので、クリアと表示しています』


(面白い!)



「ジュリ、まだ時間がかかるのかい?」


 オバサンの大きな声が聞こえた。髪色を変えてみたかったけど、待たせすぎだよね。


 私は、慌てて食堂へ戻った。



 ◇◇◇



「ジュリちゃん、あと少しだからね。疲れてない?」


「うん、大丈夫だよ」


 アルくんと一緒に、アルくんが剣の訓練をしているスライムの集落へと、山の中を歩いている。あまり道がよくないから、ちょっと歩きにくい。


 キララの転移魔法で移動すると楽だけど、アルくんは体力をつけたいみたいだから、私も歩くことにした。


(誕生日に登山だよ)


 オバサンの弁当は、私の分もアルくんが持ってくれているみたい。キララに預ければ楽なんだけど、たぶん、アルくんが持ちたいのだと思う。



「あっ、迎えが来たよ。あの個体が迎えだなんて、珍しいな。次の村長候補だと言われている強いスライムだよ」


 アルくんの視線の先には、黒い髪の人化したスライムがいた。私が気づいたことがわかると、ニッコリと笑って、手を振っている。


(あっ、そっか)


 あの集落で会った大きなスライム達は、山の中の人化できるようになった若いスライムの集落で、島のことを学んでるって言ってたもんね。アルくんが訓練に行ってる集落なんだ。



「アル、お疲れ様。ジュリちゃん、9歳のお誕生日おめでとう」


「えっ? ブラックさんは、ジュリちゃんの知り合いなんですか。ジュリちゃん、いつ9歳になったの?」


 アルくんは、驚いてオロオロしてる。


「うん、今朝、9歳になったって、キララが言ってたよ。この子は、ブラックさんっていうの?」


「おめでとう。ってか、ええっ? この子って……」


 こんなに挙動不審なアルくんは、初めて見たかも。


「私も昨日知ったばかりなんだけど、この子は、私が6歳の頃に遊んでいた小川のスライムだったの」


「ジュリちゃんには、危ないことをすると叱られたから、オレ達の母親みたいなものだよ」


「へぇ〜、そうなんすか〜」


(あっ! 大きな鳥!)



 山道で立ち話をしていたら、頭上スレスレを大きな鳥が飛んで行った。


 すると、アルくんがすぐに剣を抜いてる。


「ジュリちゃん、その木のそばにいて。奴は、もう一度、来るから」


「えっ? うん」


「アルに任せるよ?」


「はい! 大丈夫です」


 再び、ギューンと飛んできた大きな鳥に向かって、アルくんは、剣を振った。剣からは勢いよく風が飛び出して、鳥の翼にぶつかったみたい。


 キィィィ!


(ひぇ、嫌な音)


 威嚇音みたいな声を残して、大きな鳥は離れて行った。



 アルくんは、黒い髪の人化したスライムの方を見てる。今の攻撃がどうだったか、聞きたいのね。


「アル、まぁまぁだったな。もう少し引きつけてから放つ方が、威力は出るよ」


「はい! ちょっと焦りました」


「ジュリちゃんがいたからだね。誰かを守ろうとすると、失敗することが多い。そういうときこそ、実力が発揮される。今のは撃退できたから、成功だよ、アル」


「はいっ!」


(アルくん、嬉しそう)



「剣から魔法が飛び出したの?」


 私がそう尋ねると、アルくんは少し照れたみたい。


「魔法じゃないよ。真空波を飛ばす剣技なんだ。空を飛ぶモノが相手だと、結構使えるんだよ」


「へぇ、すごいね。アルくん」


「あはは、そうかな。スライムの集落で教わったんだよ」


 アルくんは、また、黒い髪の人化したスライムの方を見てる。アルくんは、彼に褒めてもらいたいみたい。


「アルは、努力家だからね。ジュリちゃんが大陸に行くときは、アルも一緒に行くのかな?」


「はい、そのつもりです」


「そうか。あぁ、オレ達も、ジュリちゃんを護衛するから、よろしくな」


 黒い髪のスライムがそう言うと、アルくんは驚いて、口をパクパクしてる。


(驚きすぎだよ?)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ