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115/132

115、ヘアマニキュアの効果

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします(๑˃̵ᴗ˂̵)

「クリアスライムさん、どうなっても知りませんよ?」


『俺は分身だから気にするな。キングシルバーが、マニキュアを塗って喜んでいたから、ずっと気になっていたのだ』


(あー、なるほど)


 キングシルバーさんは、長老様のトップコートを塗ってあげたら、嬉しそうに踊ってたもんね。まぁ、ヘアマニキュアは髪にしか色が付かないから、スライムには効かないかな。



「ネイル、出てきて」


 私が呼び出すと、ネイルは人の姿で現れた。なぜか、複雑な表情をしてる。


「ジュリさん、スライムにも効いてしまうと思います。人間とは違って、スライムにスライムの色を重ねることになりますから、何が起こるかオレにもわかりません」


「えっ? 効いちゃうの?」


 そう確認すると、ネイルはコクリと頷いた。


「同格以下には、効くと思います。だから、ベースコートと銀ラメは皆に効きます。赤黄青緑は、キングやクイーンには効かないと思いますが」


「キングシルバーさんに塗ってあげたマニキュアは、キングライムの色だから、効いたのね」


「はい、そうだと思います」


 ネイルと話していると、いつの間にか、白い髪の小さな女の子が、私の近くに立っていた。この子は、クイーンホワイトさんの分身だから効かないよね。



「ぼくも、ジュリエッタといっしょがいい」


(ええっ?)


『ふっ、では一緒に色を変えでもらおう』


 でも、ネイルは、両方同時になんて出来ないよね。


「ジュリさん、頭の上のスライムを手で持ってください。その方がやりやすいです」


「そうなの?」


 ネイルの言葉を聞いて、頭の上の白いスライムは、私の腕の中に戻った。プルルンと震えてる。きっとワクワクしてるのね。



「まずは、ベースコートから」


 ネイルはそう言うと、手からパッと光を放った。私と白いスライムと白い髪の小さな女の子に、同時に光が降り注ぐ。


 見た目ではあまりわからないけど、ちょっとツヤツヤになってる。


 アルくんが、青い髪の人達に集まるように言ったみたい。皆が、ネイルの術を見てる。ベースコートだと、変化には気づかないみたいだけど。



「ネイル、ベースコートは皆に効いたね。じゃあ、赤色のヘアマニキュアを使ってみて」


 私がそう言うと、ネイルは頷き、パッと光を放った。私の髪が赤く染まると、見ていた人達からは驚きの声があがった。


(だけど……)


 腕の中で抱えている白いスライムは、赤いペンキを塗ったような変な感じになってる。


『うへぇ、ヒリヒリしてきたよ。火傷したみたいな……痛いな、これは無理だ』


 白いスライムは、淡い光を放った。あっ、違う。ネイルが、クリアを使ったみたい。クリアスライムさんの色だけど、白いスライム自身では落とせないのかも。



「ぼくも、ジュリエッタといっしょがいいっ!」


 白い髪の小さな女の子は、目に涙を溜めている。


「あっ、ふわしろスライムさんも、火傷したのかな? ネイル、どうしよう」


 私は慌てたけど、二人は同時に首を横に振ってる。


「ジュリさん、やはり、クイーンホワイトの分身には効きません。クリアスライムの分身の場合は、表面を覆ってしまうみたいですね。レッドスライムに攻撃された状態になったようです」


「じゃあ、スライムにヘアマニキュアは使えないね」


「はい、ヘアマニキュアを使うとダメージを与えてしまうようです。おそらく、黄は土魔法、青は水魔法、そして緑は風魔法となるでしょう」


「ふぅん、白いスライムさんには、全部がダメージになるね。レッドスライムに赤いヘアマニキュアをすると、平気かな?」


「そうだと思います。ブラックさんにもダメージになりますよ」


 ネイルは、近寄ってきた黒い髪の子を牽制してる。彼は、イタズラがバレた子供みたいな顔をしてるけど。



「ジュリさんの髪色が、赤の王国の人みたいになってますね。細工をしたようには見えない」


 青い髪の初老の男性が、アルくんに話しかけているのが聞こえた。


「あぁ、ジュリちゃんは、髪色を変えられるんだ。だから、さっき、ふわしろスライムさんが言っていたような心配はいらないよ。ダークスライムは、人間の中に紛れたジュリちゃんを探し出すことはできない。スライムは、人間の顔を識別できないからな」


 アルくんは、大きな声でそう説明した。グレー髪のオジサンも頷いてる。髪色を変える実演で、他の皆も納得してくれたみたい。



「ぼく、ジュリエッタといっしょがいいっ!!」


(ありゃ……)


 白い髪の小さな女の子の目からは、涙がポロポロとこぼれてる。


「ネイル、ヘアマニキュアのクリアをお願い」


 私がそう言うと、ネイルはパッと光を放った。私の髪色は、元の白い髪に戻る。


「ふわしろスライムさん、同じ色だよ」


「ジュリエッタといっしょになった」


 白い髪の小さな女の子の目には、まだ涙が残っているけど、にっこりと笑みを見せた。



「ジュリちゃんに懐いてるな」


 アルくんがそう言うと、ふわふわと浮かぶ女の子……クイーンホワイトさんが口を開く。


「この子は、ジュリエッタに託しました。私の分身とはいえ、ダークスライムだった時間が長いので、私に吸収できない別の個体に変わってしまいましたからね」


 クイーンホワイトさんは、また以前と同じ話をしている。あっ、ここの住人に聞かせているのかも。




「ジュリちゃん、ダークスライムになった他のふわしろスライムも、浄化できないかな? 力を貸してほしいんだ」


 アルくんはそう言うと、私に深々と頭を下げた。彼は、もう、島にいたアルくんじゃない。青の王国を再建する王族として話しているのね。


「できるよ。あと、3体いるんだよね? だけど人化しないと、すぐに濁ってしまうと思うけど」


 すると、腕の中にいる白いスライムがプルッと震えた。


『ジュリ、今の汚れを消し去ってくれたら、あとは俺が維持できる。俺は、そのために連れてきてもらったからな。俺は分身だが、クイーンホワイトとは違う術も使える。アルが青の王国を再建するまで、大陸で、クイーンホワイトが守る地を支えようと思っている』


「そっか。クイーンホワイトさんの回復に来たのかと思ってたけど、クリアスライムさんがいれば、クイーンホワイトさんの相談相手にもなれますね」


『あぁ、そういうことだ』


 クイーンホワイトさんは驚いた顔をしてる。スライムは、人間に直接何かすることは避けてるけど、クイーンホワイトさんを支えることなら、大陸への干渉にはならないはず。


 私の腕の中にいた白いスライムは、草原へピョンと飛び降りた。


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