greed -欲-
時も忘れるくらいに求め合った
填めている時計も放り出し
手放せないケータイも投げ捨て
あなたという人に ただ夢中になっていた
次会う日が遠くなると
その距離を埋めるように多くメールした
もっと近くに感じたくて
毎晩特別な話題もないのに電話した
あなたという人に 夢中になれるその日に
早く辿り着くために
そうして歳月が経っていた
気にも留めなかった道に咲く植物に
あなたという人と共に 趣深くなった
たくさん歩いて たくさん走る
ふらっと旅にでて 色とりどりの人と景色をみる
時にハメを外して飲んでみる
翌朝にひびいて寝坊してみる
温もりあるあなたという人との時間
どれもはるか前から求めていた
最期までそうあるために
いつしか 愉しみ方が変わっていた
近くで毎日触れられる
いつかどうしようもないくらい願って 求めたもの
やっとのおもいで辿り着いたのに
何故 心のどこかが寂しいのかを 考えている
要らなかった 互いが共に過ごさない時間
だけど今は その時間が占めている
上部だけの 見かけだけのものではなくなった
わたしと あなたという人が合わさる関係
近づく毎に 強欲になる もっと欲しくなってしまう
そして違いが顕著になった
互いに掲げるゴールが 同じであるのか否かを
確かめ合おうとしなくなった
曖昧に流れる 別々の時間を愉しみ
自然に生まれていく 想像された理由が支柱になる
互いを繋ぐ 妙に長い橋
あんなに肌を感じていたかったのに
あんなに離れることが怖かったのに
今は あなたという人を いともたやすく引き離す
今やそれも 欲っしてやまないものになる
隠れて破る約束も
本当はしんどい裏側に浮かぶ 笑顔も
いやいやながらの愛想良い連絡も
いらないのに いるふりをして感じる体温も
手を繋いでいながら 辿る道が違うのも
仮に美しく整えたとて また求めるようになる
求め続けてループする
あなたという人で作り出す 苦味と甘味の贅沢を
今夜も嗜み眠りにつく




