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[超短編] 5分でキュン♪

ヘンテコ えんぴつ

作者: まえのそら


「 ヘンテコ えんぴつ 」が巻き起こす、キュンをくれる物語。





私の高校には、ヘンテコなえんぴつがある。それは、校舎3階の隅、生徒会室前にあった。


学校への要望など、自由に書けるノートと一緒に置いてあり、えんぴつの先には鳥なのかワニなのか、よくわからない物が付いていた。


「 見てこれ〜、制服もっと可愛くしてとか書いてあるー! 」


「 もう、間に合わないじゃーん! 」


3年生の私は、暇つぶしに毎日友達とこのノートを見ては楽しんでいた。


半分以上が、落書きに近いような内容の中、私はこの日、見つけてしまう。


「 何、このヘンテコな生き物?! 」


猫なのか犬なのかよく分からない生物が、毎日1匹ずつ書き足されていくのを、私はいつしか心待ちにしてた。


「これ、誰が書いてるか知ってる? 」


生徒会室に出入りする役員にも聞いてみたが、結局誰が書いているか分からないままの日々が続いた。



卒業を控えた2月の放課後。数日ぶりの登校で、ノートを見た私は驚いた。


「 何これ? ハート抱っこしてる! 」


今までの素っ気ない絵とは違い「 N 」と書かれたハートを胸に抱いていたのだ。しかも、あの ヘンテコえんぴつ がどこにも見当たらない。


私はモヤモヤとした気持ちのまま、自動玄関へと向かって階段を降り始めた。1階に着く少し手前で、1人の生徒とすれ違った。


「 あ……、生徒会の子だ 」


彼は、少し驚いたようにこっちを見ると、足早に階段を駆け上がって行く。


「 待って! 聞きたい事があるんだけど……」


振り向いた私は、すぐに気付いた。

あの、ヘンテコ えんぴつ の、ヘンテコな生物がポケットから覗いていたのだ。


「 ねぇ、その えんぴつ、生徒会の……。もしかして…」


結局、立ち止まってくれない彼を追いかけて、3階の生徒会室の前まで戻ってきてしまった。



「 先輩、気付くの遅すぎます!! 」



彼は、ヘンテコえんぴつ をポケットから取り出すと、ノートに「 N 」の文字を書き足した。


内藤 奈々(ないとう なな) 先輩、俺の事、覚えてないですか? 」


「 えっと……、去年 委員会で一緒だった……かなぁ? 」


「 はぁ〜、脈なしかぁ〜 」


彼はそう言いながら、スネたようにしゃがみ込んだ。そんな彼の姿が、私の目にはなんだか可愛らしく映った。まるで、あの ヘンテコえんぴつ みたいに。



私も、彼の横にしゃがみ込むと言った。


「 ねぇ、あの絵って、猫?犬? 」


すると彼は、あの ヘンテコえんぴつ を私の目の前に持ってきた。


「 えー!! ヘンテコすぎー!! 」


私の笑い声が、3階の廊下に響きわたった。




少しでもお楽しみいただけましたでしょうか?

よろしければ、ページ下★★★★★

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