切り取られた刹那の時の中で
その瞬間はコートの中と仲間の声だけ
周囲には
それぞれの仲間を応援している声援も
食い入るように目を向けている
チームメイトの姿だってあるはずなのに
全ては隔離されたように
ただゲームしか見えてない
まるでそこだけ
空間が切り取られてしまったかのように
視界が狭まる
聴覚が遮断される
感覚が研ぎ澄まされる
コートを左足で強く蹴りだし
宙に向かって翔け上がり
ただ一点を注視する
ボールと指先が一体になって
空間を繋ぐ線のイメージが浮かぶ
放った瞬間、確信できる
繋がった、と
地面に降り立ち、コートを走る
振り返らずとも、分かってる
リングに吸い込まれていくボールの姿
遅れて響く割れるような歓声
そうだ、まだ、
終わるつもりはない
そしてコートを俯瞰する
選択と集中
次に切り裂くラインを視るために