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迷宮王国のツッコミ娘  作者: 星砂糖
請負人見習い

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52/305

ウチの弱点

 

 スライムを見つけて、キノコや薬草を採取する事を繰り返すこと5回。

 ようやく魔物が現れた。

 とは言っても森ウサギ1羽なので、うちが突っ込み攻撃を受けて衝撃を跳ね返したところを、ハンマーで叩いて終わりだった。

 アンリの手で血抜きと魔石を抜き取り、その周囲を探索して素材を集め、時間を潰す。

 血抜きが終わったら軽量袋に入れてさらに奥へ向かう。


「結構奥に来てる?」

「まだまだ入り口。前の訓練と同じぐらいのところまでは来てる」


 森全体としては入り口とのこと。

 見習いを訓練で入れるぐらいなんだから当然だった。

 アームベアが出てくる場所は、パーティを組んだ請負人じゃないと厳しく、見習いは森オオカミが数頭出てくるところぐらいまでで止めておいた方がいいそうだ。

 ウチには当てはまらないとも言われたけど。


「そういえば、アンリさんって斥候やんな?」

「そう」

「どんなことするん?」

「隠れて先行する。魔物の有無とか、罠の有無や解除をする。わたしの場合は魔力も見る」

「はー。いろいろやるんやなぁ」


 先行して魔物の有無を確認したり、戦闘音が聞こえていたら様子を見たり。

 罠を見つけたら解除できるように勉強も必要で、加えて魔力を見れるので魔法の痕跡なども担当するそうだ。

 そんな役割のために速度重視の戦い方になり、できるだけ身軽になるよう必要なもの以外は極力持たないようにしている。


 ・・・もしかしてうちと相性いいんか?ウチが荷物担当と壁で、アンリさんが隙をついて攻撃するとか。ウチの技量が追いついてからやろうけど。


「ん。角ウサギ」

「行ってくる!」


 森ウサギの次は角ウサギだった。

 こちらもウチが突っ込み、攻撃を受け止めて怯んだところをハンマーで何度も叩く。

 角がある分力が集中するのか、衝撃が強いみたいですぐに倒すことができた。

 衝撃で首の骨が折れたこともあるし、そういうものなんだろうね。


「それにしても、森ウサギの次に群れじゃなくて角ウサギが出てくるんやな」

「獲物の数が減ってるから、取り合いになってる」

「強い魔物が移動した影響すごいんやな〜」


 通常、森ウサギを単体で見かけた次は、複数の森ウサギが見つかる傾向にある。

 森ウサギの縄張りに入るのだから、当然だけど。

 でも、今回はすぐに遭遇せず、しばらく進んだところで角ウサギに出会った。

 つまり、縄張りを維持するほどの森ウサギがいないということになる。


「む。森オオカミが複数。エル、やってみて」

「了解や!」


 次に遭遇したのは茶色い毛皮に黒い毛が混じっている森オオカミが6頭だった。

 どうやらウチの軽量袋に入っているウサギたちの肉が欲しいようで、何度も鼻をひくつかせながら袋に視線を向けている。


「肉を捨てれば逃げられるかもしれない」

「……そういう手段もあるってことやな」

「そう」


 わざわざ逃げる相手でもないので、なぜそういう発言をしたのか理解するのに少し間が空いてしまった。

 でも、アンリの言う通り時には逃げるのも大事だし、その時に戦利品を捨てるのは手段の一つだ。

 ウチだけなら問題なくても、他に人がいる状態でたくさんの魔物に囲まれたら対応できない。

 注意を引く何かがあれば逃げたり、隙をつけるだろう。


「今回もエルに任せる」

「わかった!いくでぇ!」


 一番体格が良くてウチに近い森オオカミへとハンマーを構えて走る。

 森オオカミは向かってくるウチに対して飛びかかることもなかったので、そのまま振り下ろした。

 それを横に避けて腕に噛み付いてきたけど、硬いものを噛んだような音が鳴り、森オオカミが悲鳴をあげて後ろに下がる。

 隙ができたと思って横にハンマーを振ったけど、後ろに跳ばれて避けられた。


「むぅ」


 何度も攻撃を繰り出す。

 しかし、噛みつきが失敗したことで警戒されていて、避けることしかしない森オオカミを捉えることはできない。

 ならばとハンマーではなく体当たりをしようと勢いよくぶつかりに行っても避けられる。

 逆にウチがバランスを崩して地面に倒れてしまった。

 固有魔法のおかげで怪我はないけど。


「ガウッ!」

「ガッ」


 倒れたウチの背にある軽量袋へと噛みつこうとした数頭の森オオカミは、固有魔法の影響下におかれた軽量袋を破ることはできなかった。

 戸惑っているところにもう一度体当たりをしてみたけど、やっぱり避けられる。

 森オオカミの方がウチよ速いので、一向に攻撃が当たらない。

 警戒されたせいで攻撃するために近づいても来なくなった。


「あ!逃げられた!」


 やがて森オオカミはウチのことを諦めたようで、森の奥へと向かって走り出す。

 それを木に登って上から見ていたアンリは、仕方がないと慰めてくれた。


「エルの動きじゃウサギぐらいが限界。それも警戒されたら逃げられる」

「せやな。ウサギはやたらと突っ込んでくるから上手くいってるけど、オオカミはすごい警戒されたわ」

「当てるためにパーティ組んでもいい」

「それも考えるわ」


 ・・・組むとしたらカインとネーナか。ウチ一人やとウサギ狩りの名からは逃げられへんな。


 次に遭遇したもりおおかみ4頭の群れは、アンリと協力して戦った。

 ウチの攻撃を避けたオオカミをアンリが倒したり、アンリがオオカミに手傷を負わせて動きを遅くさせたところにウチが攻撃したりすることで、群れを倒すことができた。


 ・・・やっぱりパーティ組んだ方が良さそうやな。


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