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迷宮王国のツッコミ娘  作者: 星砂糖
ウルダー中迷宮

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魔道具保管庫?館?の中

 

 魔道具を保管している屋敷に入ってすぐはホールになっていて、2階へと続く階段といくつかの扉があった。

 壁には何枚も絵が飾られていたり、剣やナイフ、盾に弓といった各種武器も展示されている。

 屋敷に入ってすぐに武器が並んでいるのはどうかと思ったけれど、これらは比較的人を選ばずに使える武器で、迷宮街で何かあった時にすぐ手に取れるようにしているらしい。

 それならば普段使いすればいいのにと返すと、数が少ないから嫌だと断られた。

 使える観賞用だと宣言されたが、聞いたことがない言葉だった。


「それじゃあ色々案内しよう。大物なら1つ、中物なら2つ、小物なら4つってところかな。貴重品だと小物でも1つだけどね」


 ニコニコと笑いながらウチに渡してもいい数を宣言された。

 手紙ではリストにある物の中から多くて2個と書かれていたけれど、それは中物までしか書いていなかったからだった。

 大物の場合は昆布だけでなく道中の護衛も必要だし、運んだところで使えない可能性もある。

 それならばと、使いやすい物や数が多い物をまとめた結果、大物がなくなった訳だ。

 そんな話を移動しながら聞き、何か物に出会うたびに効果を説明してくれるナーシャ。

 1階は効果が判明していてわかりやすい物が多い。


「これは魔力の通りが非常に良い杖だね。杖の先に魔石を付けるだけで使えて、効率よく魔力を放てるよ。これは魔力を流すと伸びる槍。何かの魔物の牙っぽいんだけど、そんな魔物は見つかっていないんだ。今度のこれは弓を選ぶ矢だよ。生半可な弓だと引けないんだ。でも、この矢を放ったら普通の壁なら簡単に貫通できるんだ。もちろん弓を引く力も相当必要だけど、その辺りは魔力で補えばいいからね。次は魔力を流している間裏側から外側が見えるようになる盾だよ。これでガラスが作れたらいいのにと思うんだけど、ずっと魔力を流すのは大変だから難しいかな。次はこれ。嵌め込んだ魔石によって、刺さった時の効果が変わる投げナイフ。乱戦中に足に刺すだけで一気に体勢を崩せる優れものだね」


 このように一品ずつ教えてくれるのはいいけれど、ウチは武器に興味がないし、ガドルフたちも手に馴染んだ武器がある。

 アンリは魔力を見るのに夢中でキョロキョロしていて、ミミは不安なのかウチの服を握っている。

 唯一シルヴィアが投げナイフに興味を示したから、欲しいものがなかった時の候補に入れておく。

 投げるだけなら身体強化しかできないシルヴィアにも使えるだろう。

 途中で武器の話をぶった斬って、次の部屋に向かってもらった。


「ここは防具が中心だよ。まぁ、貴重と言うよりも効果が突出していて使いづらい物だね。使いやすい物は団員に貸し出してるのさ」

「誰にも使わせへんのかと思ってたわ」

「そういう気持ちもなくはないよ。ただ、道具は使ってこそだね。父上は器用な物ほど飾って眺めたいみたいだけど、僕は使ってみたいし飾るだけでは勿体無いと思ってる。それでも、壊れることを考えると綺麗なまま飾りたい気持ちもわかるよ」

「ふーん」


 飾りたい物が思いつかないウチにはピンと来なかった。

 綺麗な石や魔物の素材を集めるようなものだろうか。

 高価という意味では金貨や宝石を山のように積み上げて、それを眺めるのに近いかもしれない。

 間違っている気はするけれど、それぐらいしか思いつかないから仕方がない。

 美味しいものを前にした時に飾るという考えは出てこないから、なかなか理解できない。

 そんなウチの態度にも慣れたものだという風に、ナーシャは次の部屋へと案内してくれた。


「ここは家具とかインテリアを保管している部屋だね」

「ちょっと豪華な部屋やん。倉庫感無いで」

「ふふふ、そうでしょうそうでしょう。ここのレイアウトには気を使ったからね!まずは敷かれている絨毯!これは足音を消す魔道具なんだ!この衣装棚は衣服の状態を保ちつつ、自然な香りをつけてくれて、この灯りの魔道具は時間で色が変わるんだ。昼間は明るけれど、夜になると暖かなオレンジ色になって綺麗なんだ」


 ナーシャはこんな調子で日常使いできそうな魔道具を紹介してくれた。

 家具の魔道具はアンデッド迷宮の宝箱やポルターガイストから奪うことで手に入るため、武具よりも比較的簡単に手に入る。

 その中で魔石を使って動くものほど人気があり、ここにあるのは魔石を使わない物や、魔石を使ったとしても数が出る物が飾られていた。

 それでもウチらが全員寝ることができそうなほど広い部屋を、魔道具の家具で飾れるぐらいにはあるのだが、こういった物は貴族や商人が買い占めているので平民には回ってこない。

 仮に回ってきたとしても魔石を切らさないほど用意できるか、魔力を効果の維持に使った後に働けるかなど様々な問題がある。

 その点請負人なら魔石は倒した魔物から拾えるし、魔力を使うことに慣れているから平民に比べると使いやすい。

 請負人の団に魔道具の家具が増えるのは当たり前のようだ。


「家具はいらんな」

「置く場所もないわね」

「君たちは団を作らないの?前に聞いた話だと、獣人のパーティとエルとシルヴィアのパーティで分かれて行動してるんだよね?それだとほぼ団だよ?」

「うーん……。ウチはようわからんわ。ガドルフたちが作るって言うなら反対せんぐらいやなぁ」


 言いながらガドルフを見ると、団の人から家具の説明を受けながら、べアロと盛り上がっていた。


「便利な家具を集めるなら、武具の方がいいな。べアロはどうだ?」

「俺は酒が上手くなるコップが欲しいな!」

「食べ物は大事だな。だが、今は家具の話をしているんだが」

「コップも家具みたいなもんだろう?机も皿も家具だ」

「一理あるな」


 べアロの考えに賛成だ。

 ここにあるのは収納系や大きな家具ばかりで、食器や調理器具はない。

 ナーシャに聞けば、そういった物は食堂や厨房に置いてあるようで、大物の前に案内してくれることになった。

 食堂は長いテーブルが一つ置いてあり、椅子が左右に6つずつ、奥に1つある。

 テーブルには布が掛けられていて、椅子の前にナイフやフォークがあり、これから食事が始まっても良さそうな雰囲気だ。

 蝋燭のない燭台や、ワイングラスなども置いてある。


「ここが食堂で、隣が厨房。食堂はあまり魔道具はないよ。一部の毒に反応するナイフやフォーク、魔力を流したら綺麗に広がるテーブルクロス、水生みやお湯生みの魔道具とかだね」

「おー」


 他の魔道具も説明してもらったけれど、あまりピンと来なかった。

 盛るだけで美味しくなる皿などは無いようだ。

 厨房では魔力を流すと熱くなるフライパンや、魔力で刃を形成する包丁など、便利そうだけど魔力の消費が多過ぎて使いづらい物が集められていた。

 気になる物では魔力を流すと表面に膜を出して、膜ごと捨てることで綺麗になる皿があった。

 他に欲しい物がなければこれでいいかと思っている。


「それじゃあ他の魔道具も案内するね」


 厨房を一通り見た後、ナーシャに連れられて他の魔道具も見せてもらった。

 魔力で炎や風を纏う鎧やドレス、その素材となる金属や布、魔力を流すと何らかの魔法的現象が出る素材など様々。

 そして最後に使い味のわからない物が集められている場所へと案内された。

 ウチの背中と相性が良い、掘り出し物が見つかると気兼ねなく貰えて良いかもしれない。


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