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迷宮王国のツッコミ娘  作者: 星砂糖
ライテ小迷宮

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127/305

いったん回収

 

 ジャイアントスライムをスパンと倒し、帰還の魔法陣を使って地上へと戻ってきた。

 部屋の奥を埋め尽くすほどの大きさを誇るスライムを、ハリセンを一振りしただけで消し飛ばした光景にダンたちが呆然としていたのが印象に残っている。


「とりあえず……」

「「「「「食事だな!」」」」」

「せやな!」


 ダンが次の予定を言い出すのに合わせて、他のおじさん達が食事を要望する。

 それにはウチも大歓迎で同意した。

 迷宮攻略中は味気なく野菜の少ない捕った素材の肉が多い塩漬け野菜スープを食べることになり、深く潜れば潜るほどそれが続く。

 そのため、外に出た直後にある新鮮野菜のスープが非常に美味しそうに見えるのだ。

 肉類は迷宮に挑む人たちが力をつけるために食べ、野菜スープや焼き野菜は帰ってきた人たちが戻ってきたことを実感するために食べると言われるぐらい人気になっている。

 お気に入りの店が決まれば、それだけ迷宮に挑んだということになり、店を出している人たちから一人前扱いされるようになる。

 食べる量は3、4人前だけど。


「そうするか。あそこのテーブルを確保してからそれぞれ買いに行くぞ。もちろん酒は」

「抜きやで!」

「「「「はい」」」」


 分けづらい余った酒を分けたことに怒っているわけではない。

 倒した魔物に肉を焼いて食べるから素材を消費することに問題はない。

 しかし、我慢できずに酒を飲んだことはウチでもわかるぐらいダメなことだ。

 例え後はウチがジャイアントスライムを倒した後に地上に戻るだけとはいえど、正常に動けなくなるようなことはしてはいけない。

 酒が大好きなベアロですら、仕事が終わるまでは飲まないのだ。

 そういったことを起きてから懇々(こんこん)と説教した。

 いくら酒が好きだからとはいえ我慢できないのはダメだ。

 むしろ好きだからこそダメだと思う。

 流石にまずいことだとわかっていたのか、ウチの言葉を素直に聞き入れた4人は、お酒禁止の言葉に従ってくれた。

 まだ依頼完了報告はしていないから仕事中だとウチが判断し、解散するまで飲ませないとウチがいい含めている。


「ほう。エルはゴロゴロ野菜派か」

「せやで!え〜。みんなの野菜少なない?」

「まぁ、俺たちは肉がメインでスープが飲めれば良いからな。具が細かくて一気に飲めるやつがちょうど良いんだ」

「あー……あの男の人たちが並ぶお店か」

「そうそう、そこのやつだ」


 ダン達が買ったスープは、やたらと体に傷がある厳ついおじさんが出しているお店の物で、細かく刻まれた野菜の味がしっかりと出ている濃いスープで男性に人気がある。

 対してウチのは農家のおばちゃんが作る『朝取れ野菜のたっぷりスープ』をよく買っている。

 少なめの塩とリトルボアの肉で薄味に仕上げたスープに、一口大に切られたニンジンなどの野菜がたくさん入っていて、ウチはこれ一杯だけでお腹が満たされる。

 食事の時間が近ければ帰ってから食べるけれど、今回は昼には少し早く、この後請負人組合に向かうから腹ごしらえを済ませるのだ。

 そうして食事を取ったけど、おかわりをしたダンたちと食べ終わるのが一緒だった。

 体の大きさを羨みつつ、全員で組合に向かう。


「ようこそ、エルさん。今回はスライムの魔石ですか?」

「せやで!まぁ、他にも色々とあるけど……」

「それは後ろのダンさん達とも関係があるようですね」

「そうそう。一緒にジャイアントロックスネーク倒してん」

「なるほど。その大荷物はそれですか。では、買取所へと移動をお願いします」


 いつもウチからジャイアントスライムの魔石を受け取ってくれる受付のお姉さんに話すと、一緒に並んだダンとその仲間が持っている荷物を見て、買取所の奥に案内される。

 ウチの軽量袋はパンパンで、ダン達も大きく膨らんだ皮袋をたくさん背負っていた。

 ジャイアントロックスネークの素材はほとんど放置して、スライム液のスペースを確保したにも関わらず、難なく持ち運べる限界量に達しているからだ。


「おー。こりゃ大量だな。中身は?」

「ジャイアントロックスネークの素材とスライム液、あとは他の魔物の素材がいくらかだ」

「スライム液?例の変わったやつか?」

「そうだ。果物、野菜、あと酒になるな」

「ん?酒?スライムの?」

「スライムの。蜂蜜酒(ミード)が元になっていたんだが、濃すぎてそのまま飲むのは無理だった」

「飲んだのか……」

「仲間がな」


 買取所のおじさんに指定された場所に荷物を置いていく。

 そして各々が取り出している間、ダンが素材の内容を説明していた。

 やはり酒スライムには驚くようで、担当してくれたおじさんは小樽をちらちらと見ながら話をしている。


「とりあえず査定をしていくか……」

「俺たちは査定が終わるまで待機だ」

「じゃあウチ組合長のとこ行ってくる!」

「は?簡単に会える人じゃないだろ。大丈夫なのか?」

「さぁ?とりあえずスライム液手に入れたってことだけでも伝えてもらってくるわ。お土産で渡すって約束したし。じゃあ!」

「あ、あぁ。気をつけてな……。高価な品のはずなんだがなぁ……」


 急いで駆け出したウチには、最後にダンが何と言ったかは聞き取れなかった。

 呼び止められなかったことから、重要ではないと判断して受付に行く。

 そしてスライム液を手に入れたことを伝言してもらうと、即座に受付までベルデローナがやってきた。


「はぁ〜、あんたって子はよく働くねぇ」

「おおきに!」

「褒めは半分で、残りは呆れだよ。まさか伝えた直後の探索で見つけてくるとはね」

「ウチええ子やからな!運がええねん!」

「良い子なのは否定しないけど、たまには休むんだよ。それで、どんなスライムに出会ったんだい。鉱石?野菜?それとも果物?」


 ベルデローナの横で受付の人がメモを取る準備をしている。

 その瞳は輝いていて、何が出てきたのかとても気になっているようだ。

 素材として持ち込まれた物を、組合で購入して職員に配ることもあると聞いているから、それを狙っているのかもしれない。

 さすがにスライム液は高価だから対象外だろうけど。


「えっと、トマトとグレープとお酒。お酒はハチミツの……えっと……」

蜂蜜酒(ミード)かい?」

「そうそれ!」

「ふむ……。物はどこに?」

「買取所にあるで」

「わかった。行くよ」

「そんな急がんでもお土産やから後で渡すのに」


 ベルデローナを小走りになってついていく。

 お土産としてそれぞれ1つずつ渡すつもりだけど、そんなに早く飲みたいのだろうか。


「邪魔するよ」

「組合長。どうしました?」

「ちょっと確認をね。エル、どれだい」

「この辺がスライム液やけど……開けないと中身はわからんなー」


 査定をしている人を置いて、小樽が並べられているところに近づく。

 見た目はどれも同じなため、ウチにはどれが酒入りなのかはわからなかった。

 スライム液だけでなく色々な素材の匂いが混じり合っているから、嗅いだだけではわからない。

 小樽を前にまごまごしていると、それを見たダンが近づいてきた。


「組合長。何をお探しですか?」

「ダンかい。この子から酒のスライムが出たって聞いてね。素材を確認しにきたのさ」

蜂蜜酒(ミード)なら1番奥に固めてます。手前がトマト、次の塊がグレープです」

「わかった」


 ベルデローナは小樽の隙間に足を入れ、何個も跨いで奥へと進む。

 ウチは跨ぐことができないから、進むことなく待つことにした。

 無理やり進んで万が一樽を倒して溢したらもったいない。

 上から嵌め込むタイプの蓋なので、横に倒した程度では漏れることはないはずだけど、人がぶつかる勢いがある場合まではわからないからだ。


「ふむ。これだね。結構な数だが、エルはこれを1人で採ったのかい?」

「ちゃうで。ダンさんたちと一緒に採ってん。ウチ1人やと樽2つ分ぐらいしか集められへんと思う。流れていく方が早いやろうし」

「なるほど。ダンが場所を知っていたのは整理に協力したわけじゃなく一緒に討伐したからか」


 どうやらベルデローナはウチ1人で集めてきたと思っていたらしい。

 普段スライム階層には1人で行動しているから、受付前でスライム液の報告をしたとしてもいつも通りだと判断されたのだろう。

 受付担当はダンたちと一緒に行動しているのは知っていたはずだけど、伝言に加える必要のある情報ではない。


 ・・・ウチは別に好きで1人でいるわけちゃうんやけどな。一緒に行く人がおらんだけやもん……。


「ふぅん……香りは良いね。味は判定前に確認するわけにはいかないか」

「組合長。それをパーティメンバーが飲んだんですが、濃くてそのままだと吹き出すぐらいです。ちまちまと舐めるように飲むか、水で薄めて飲んでました」

「はぁ〜自己責任とはいえよくもまぁ出回ってない物を飲んだねぇ。スライム液だから毒系じゃなければ問題はないだろうけど、酒は濃すぎると毒と一緒だよ」


 ベルデローナの指摘にスライム液を飲んだ人たちが視線を逸らす。

 そこから迷宮で酒を飲むことの危険性や、未知のものを口にする際の手順、仮に動けなくなった場合の手前など、ウチ以上にたくさん説教されてしまう。

 ウチは飲まなかった2人と一緒にそっと離れ、様子を見るだけに徹する。


「それで、エルはどれだけ買取に回すんだ?」

「ん?ウチはスライム液全部とお肉を一塊持って帰るから、後は全部買い取ってもらうつもりやけど」

「そうか。なら、あのハリセン?で叩いた皮や骨で組合長に報告してくるわ。持ち帰って使わないなら研究用で最悪金にならなくても良いだろ」

「ええで。他でお金になってるし」


 そもそもお金に困っていないからあまり気にならない。

 家はあるから宿泊費はかからず、食費はパーティ資金から出していて、請負人歴の短いウチはほとんど出させてくれない。

 後は個人で使う物ぐらいだけど、武器はハリセン、服は固有魔法のおかげで汚れないし傷つかない。

 休日にふらふらする服は持っているから追加で買う必要はない。

 1番使っているのは買い食いや、気になった食材の購入、料理するために必要な道具や素材、後はハニービーのハチミツなどの甘いものだ。

 思い返すと食べ物ばかりにお金を使っているけど、服や装備を買い換えるより安く済んでいるから貯まっていく。

 今後は魔道具に使う予定のため、増える分には大歓迎だ。


「はぁ〜。これもエルかい。全く、色々起こすんじゃないよ」

「ん?ウチなんかした?」


 蜂蜜酒(ミード)スライム液について考えているベルデローナに対してダンが話しかけると、ため息の後ウチの方へと向かってきた。

 恐らく魔力のない素材についてだろうけど、魔力を叩いて無くしたぐらいのはずだ。

 怒られるようなことはしていないと思う。


「最近、持ち込まれる素材の中に魔力が宿ってない物が紛れ込んでくることがあってね。肉なら食べても問題ないが魔力が回復しないし、皮や骨なら簡単に壊れてしまうから素材として使えないのさ」

「ふむふむ。でも、ウチはスライムの魔石とかしか持ち込んでへんで」


 肉は消費する分しか捕っていないし、余れば家に持ち帰っている。

 使った魔力を回復させるためには魔法薬を飲む以外にも深呼吸して空気中に含まれている魔力を取り込んだり、魔力の宿ったものを食べれば回復する。

 とはいっても魔法薬と比べると回復量は少ないし、回復するまで時間がかかるそうだ。

 ウチは垂れ流しているので効果はわからないけれど、階層主の肉を食べた時は力がみなぎっている気がする。


「迷宮内に落ちている気を失った魔物については?」

「それはたぶんウチやな」

「じゃあエルが原因だ」

「あー、気を失った魔物の素材が持ち込まれたんか」

「そうだよ。だからあんたは原因であって責任はない。落ちてる訳あり素材を持ち込んだ側の問題さ。それに、今は対象できているからね」


 そう言ったベルデローナは壁に貼られた羊皮紙を指差す。

 真新しいそれは、いくつかの注意事項が書かれているだけのシンプルなものだった。


『簡易魔力判定機で素材の魔力有無を測ること』

『魔力なしの素材を持ち込んだ者には、気を失っている魔物にトドメを刺した場合、少し経ってから解体するように伝えること』

『理由は失った魔力を体中に巡らせるための時間を稼ぐため』

『その結果魔石が小さくなるとも伝え、魔石狙いの場合は即座に解体して魔石を取り出すこと』


 つまり、気を失っている魔物の素材が欲しいなら体内に魔石がある状態で時間を空ける必要があり、魔石が欲しいならトドメを刺したら即座に魔石を取れということだ。

 書かれている項目の下には『何らかの理由で魔力を失ったことで気絶している』『魔力がないため肉を食べても回復せず、素材は使い物にならない』とも書かれていた。


「組合長。俺たちあの案内は見たことないです」

「あれは5日前に貼ったからね。あんたたちは迷宮の中だろうさ。ちなみに請負人向けのわかりやすいのはもう少し簡潔に書いてあるよ」


 張り出されたのは最近のことで、それは対策ができたからという意味だった。

 持ち込まれるようになったのはもっと前で、最初は気付かずに素材として販売していた。

 すると、それを使って武具や道具を作る工房などから不良品が混じっているとクレームが入るようになった。

 請負人組合としてはボロボロでほとんど使えないようなものが不良品で、販売に回しているのは完品か、一部が破けていたり傷が入っているが問題なく使えるような物しか出していない。

 職人から持ち込まれた不良品呼ばわりされたそれは、見た目はほぼ完品なのに耐久性が著しく低いものだった。

 返品された素材は問題がない素材との交換で収めたが、原因はよくわからないまま数日が過ぎる。

 それを解決したのはアンリで、買取所のおじさんが試しに見せたところ魔力がないと答えたそうだ。

 そして、次は魔力の有無を図れる魔道具の作成をドレアスに依頼。

 その結果、ドレアスたちは職人たちと打ち解けることができるようになり、請負人組合も魔力のない素材を弾くことができるようになる。

 弾かれた素材は客に見せるためだけに形だけ整えたサンプル品や、見習いへの教材として使うことで、格安素材としてさばけているそうだ。

 今は周知徹底の期間になる。


 ・・・ウチの知らんところで色々起きてたんやなぁ。ウチが原因で。ランディに会いに行った時にドレアスさんたちが忙しくしてたのはこのせいやったんか?結果として良い感じに収まってるから良かったけど、今後はどうすればええんやろ。周知されるなら今まで通りでええんかな。


「ウチはもう気絶させへん方がええん?」

「気にせずやりな。どう進むか、見つけたものをどうするかも自由なのさ。請負人は。と言ってみたが、わたしの柄じゃないね」

「ちょっと顔赤くなってるで」

「そういうのは気づいても言わないもんだよ。まったく。それで今のままでいいかについてだが、それで進行速度が遅くなったり魔物を大量に引き連れて他の請負人に遭遇されるより、気絶させた方がいいだろう。落ちている素材をどうするかは見つけた者次第さ」

「了解や!今と同じ進み方にするわ!」


 そんな会話をしている間に査定も終わった。

 結果が記された羊皮紙はまず組合長へと渡る。

 本来ならば買取所のおじさんから全て買い取るか聞かれて、はいと答えたら査定結果の金が用意される。

 一部にすればその金額が貰え、買い取ってもらわなかった素材は自分で持ち帰ることになるのだけど、今回はその声掛けをベルデローナ直々にするのだろうか。


「残念なお知らせだ。蜂蜜酒(ミード)スライム液は過去に取引された履歴がない」

「つまり?」

「エルが持ち込むジャイアントスライムの魔石と一緒さ。値段が付けられないんだよ」

「じゃあ買取はなしってことになるな」


 ウチが持ち込むジャイアントスライムの魔石も値段がついていない。

 だから、持ち込むだけで管理は請負人組合となり、値段がつくのを待つだけだ。

 蜂蜜酒(ミード)スライム液も同じような扱いになるのだろう。

 変化したスライムの皮も同じように買い取れないとのことで、預けることになった。

 あまり放置しすぎると腐るかもしれないけれど。


「それかある程度の値段で買取るか、貴族や豪商に売り込むかだね。ただ、野菜や果物とは違って扱いづらいからあまり良い値で売れないだろう」

「普通の蜂蜜酒(ミード)を何本も買うより薄めて使えるってぐらいしか良いところはないからそうなるか」

「ダンの言うとおりだ。野菜や果物ならそれが嫌いなものであっても、とても濃厚なものに仕上がる。だが、あれはダメそうだ。少なくともわたしは飲みたいと思わないね。ダンたちは?」

「薄めてまで飲みたいものではないです。それは全員同じ意見です」

「ということだ。だから値段もつけられないことだし、いったん組合で預かろう。そして検査や研究に使ってもらおうと思う。その方が金になるだろう。恐らくだが……」

「俺たちはそれで良いです」

「エルはどうする」

「うーん。1、2個は持っときたいかなぁ。何かに使えるかもしれへんし」

「そうかい。なら、それ以外は預かっても?」

「ええよ。あ!一個は組合長の物にしてええで!ウチのやつから全種類一つずつ!お土産やし!」

「はぁ〜、価値をわかってないようだね」

「ええねん!お世話になってるし、今後もなるから!」

「面倒をかける気満々とは、良い子じゃないのかい?」

「ウチはええ子やで。勝手に面倒なことが起きるだけやねん」

「そういうことにしておいてあげるよ。さぁ、ダンたちも買取に回す分を分けな。エルの分も手伝っておやり」

「わかりました!」


 ダンたちと事前に決めた通りに素材を分ける。

 ジャイアントロックスネークの肉、トマトスライム液が5樽、グレープスライム液7樽、蜂蜜酒(ミード)スライム液が2小樽になった。

 残りの魔石や他の素材を買い取ってもらい、ジャイアントスライムの魔石はベルデローナに渡す。組合長室で行われているから、渡すことができれば手間は省ける……と思ったけれど、実際は書類手続きがあるようで、結局受付の人に渡されていた。


「すぐに潜るのかい?」

「んー。これで何か作れへんか試してみるつもりやで。それが終わったらお掃除かな」

「そうかい。まぁ、無理せずほどほどにしなよ」

「はーい」

「エル。色々助かった!またな」

「スライム液たくさん手に入ったしお互い様やで!じゃ!」


 受付前でベルデローナやダンたちと別れて家に帰る。

 外に出たウチを迎えたのは真上にある太陽で、久しぶりの陽の光を暖かく感じながら帰宅すると、侍女のリーゼが掃除に来ていた。

 これ幸いと思いついたウチは、トマトとグレープのスライム液を1小樽ずつ取り出して、大きな布で包み込む。

 それをお土産として小迷宮伯に届けてほしい、無理ならリーゼの好きにしていいと無理矢理渡した。

 ウチからするとお土産なので渡せればいい。

 渡した後にどうなるかは受け取った側の自由だ。


「そ、それでは、これで失礼します!」

「いつもおおきに!気をつけてな〜」


 中身を教えたからか、とても慎重に小樽を包んだ布を持って出ていくリーゼ。

 そういえばスライム液の値段は確認していなかった。

 農村の出現方法を考えると安くはないはずだけど、どれだけ高価かはわからない。

 考えてもわからないことは放置してお風呂に入って昼寝する。

 起きたらキュークスたちが帰ってきていた。


 ・・・トマト液使って何か作れへんかなー。


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