ワーキングガール(輪廻 終)
「まずいよ…ワシのルーレット転生が広まり始めてる…考えたの司命くんだけど、いつまで続くんだろう…」
司命と司録は、昨日買ったばかりのアコースティックギターを抱え、特に弾くわけでもなく栄光の架橋のCDを爆音でかけていた。
「ねえ、2人とも、最近やりたい放題だけどさ…自分たちが処分される可能性もあるんだよ?ルーレット転生っていう遊びみたいな転生方法を…
いくぅつもぉのぉーう!
ときをぉ、こぉえてぇい!!
サビだけわかるらしく、2人とも主旋律を熱唱する。
「はぁ。」
コンコンコンッツコンッツコン!
「はぁ、また来たかぁ」
ドアが開くとそこには通称「腋臭」と呼ばれている、飲み会どころか一緒に仕事するの嫌だというクレームまみれの鬼が、新たな裁きを受ける者を連れていた。
たどぉーぉりつぅいたぁー
いまぁがガフォグッズ…
さすがの2人も得意のナンバーを止める。
おそらく一本丸々使っているだあろう、ウルトラマリンの香水の匂いと化学反応を起こし、部屋はとんでもないことになっている。
司命に至っては泣き出した。
「閻魔様、この者は理由もなく靴下を頭からかぶり窒息死した第一級のヤバさの者です。裁きをお願いいたします」
「グゥン…ば、ばかっだ。ばがっだがらとりあえず持ち場に戻っでぐれ」
「しかし閻魔様、この転生、私も非常に興味があり、一部始終を見てみたいと思っております」
なんと、粘ってきた。
これはまずい。
「ばがっだ、特別室があるがら、ぞごでみてて」
「しかし閻魔様、わたしは間近でこのルーレットを見たいのです」
まだ粘っている。
なんでこいつこんな粘る?
間近で!?まじかよ!?
「ワシど、司命、司録しかごの部屋にいではいげないぎまりなのだ」
「そうでしたか、では、またの機会にお願いいたします」
いいやつなんだ、いいやつなんだけどなぁ…。
バタリンコ。
「まだ臭うな…さて、お主のルーレットはこれだよ」
「ルーレットってなんだよ!俺はただ靴下を頭からかぶっただけだ!」
「いやいやそれで死んでしまうとは情けない…転生先を選ぶが良い」
!?
(1.しまむらに売ってる靴下、2.ゴリラ、3.すぐ転売されるプレステ2、4.ゴリラ、5.メリラ、6.雪見だいふくの片方)
「正直ワシもこの部分のネタ切れ感がすごいなぁ、頑張ろ」
「いやいや、メリラって…
「ルーレットスタート!!ストップは自分だよ」
「人間ですらないのか…ならばゴリラ、ゴリラ、ゴリラ、ストップ!」
灯りが灯る。
ゆっくりと動きを止めた先にあったランプの場所は。
「メリラ」
「あの、メリラっ…
「メゴラだ!アフリカにもう1人いるから!探してみてよ!大丈夫だから!行ってみるだけ行ってみようよ!」
押し切った。
コンコンコツンゴッツンコ
「入れ」
「閻魔様、やはり私も一部始終を…
「帰れ」
地獄はまだまだ続く。