ウホだろ?(輪廻 終)
「閻魔様、お言葉ですが…一昨日処方された胃薬80包はもう?」
「飲んじゃってる、全部。一気に」
「一気に!?アホなんです?」
心のカーテンをフルオープンにした司録の声が部屋中に響き渡る。
「だって、やってられないもんワシ。本当は人を裁くのだって嫌いなのにさ。タウン◯ークに、漢の仕事!手取り50万以上も可能って書いてあったから一応地獄に来てみたけどさ…胃が痛いよ」
司録は白目を剥いたまま、諦めとも取れるうなずきを繰り返していた。
その動きはさながら啄木鳥の様でもあり、司命はその動きを見て、何故かモノマネを始め、その部屋はまさに地獄絵図と化していた。
ジリリリリ…
「おや、ワシに電話か…もしもし?え?マジ?あい、わかった」
二羽の啄木鳥がしばらく首を前後に振っていると、ドアがノックされる音が響いた。
コ、コン、コンココッココンココココッツコン!!
「ノック下手か!」
正気に戻る司命と司録。
ギチャ…キィィィィィアアアン
「ドアの擬音!!」
2人の息はピッタリだ。
ドアが開くと、
通称「酒乱」と呼ばれる、飲み会には絶対に呼ばれないタイプの鬼が、新たな裁きを受ける生贄を連れていた。
「新たな裁きをお願い致します。この者は、飲酒運転による事故で自ら崖から落ち、即死した者でございます」
即死した者はもちろん発狂。
「なんなんだこの部屋は!!生まれ変われると聞いて来たが…あれは、あれは一体!?」
彼が指差した先には、あのルーレットが。
【1.らっきょう、2.売れないバンドのギターの弦、3.人間(女)、4.人間(生まれた瞬間からゲイだとバレている男)、5.ゴリラ、6.ゴリラ】
「なんだよこれ!なんなんだよ!」
「ワシが特別に考えたお主の転生先だよ、わかるでしょ」
「いやわかんないから!ゴリラ率割と高いし!弦になったらどうすんだよ!」
「切れたら、終わり。人生みたいでしょ」
「いや、うまくないからね!?ぐー、、、」
ここで酒乱がテキーラの勢いを借りて真っ赤な顔で叫び出す。
「やれよ!やるしかないんだよ!やりゃいいんだよ!」
クイッ(閻魔が首で合図する)
司命、司録により、酒乱退室。
「やれよ!やればできるんだ!やれ!今すぐや………
バタン
「さて、邪魔もなくなったな。どれ、ワシもお主の良い転生を祈っておるぞ」
「ルーレットスタート!!」
すぐさま司命が言う。
「ストップは自分でかける権利がある、がんばるが良い」
「ぐうううう…人間(女)、人間(女)…最悪ゲイでも!!ストップ!!」
暗い部屋、ランプがとまったタイミングで蝋燭の光が灯される。
誰の目にも明らか。
ゴリラの位置でランプは止まっていた。
「ウホだろ?」
地獄の苦悩はまだまだ続く。




