手綱を離すな(輪廻 終)
地獄に休みはない。もっと詳しく言うと、閻魔には休みなど1日もない。
司命、司録は雇われている側なので月に8日は休みがあるのだが…
閻魔は所謂個人事業主。
フランチャイズのコンビニの店長等と変わらず、まるでどこかの地下強制労働施設のような毎日である。
そんなこんなで今日は日曜日。
2人とも必ず日曜日は休む。
よって、閻魔1人で全てをこなさなくてはならないのだ。
「はぁ…来ないでほしいなぁ…ワシ1人じゃ手に負えない悪人ばかりだよ…」
コンッ!
「来たかぁ…入れ」
「ぺるそうみ ただらきぬ あるそるか くまいけり ららみつけ らきこてつ」
!?
そこには、カラフルすぎる衣装を見にまとい、鞭を持ったブーツの男が1人で立っていた。
「閻魔様、私は前世で徳を積んだのですが…4コーナーに入るタイミングで、落馬し、ここにやってまいりました。」
「え?」
「閻魔様、私は前世で徳を積んだのですが…4コーナーに入るタイミングで、落馬し、ここにやってまいりました。」
「いや、そう言うことじゃなくて…
二回聞きたかったんじゃなくてさ…
君はなんなの?」
「この格好でわかりませんか?ジョッキーです!ダビスタでタナカツと呼ばれておりました!」
「えと、頭が狂いそうなんだけど、ゲームの中で落馬して死んでしまった、と?」
「はい、おかげでせっかく手に入れた最強馬のパスワードを暗記したのに全てパーです。」
熱意すごいな…
「パスワードって?」
「ぺるそうみ ただらきぬ あるそるか くまいけり ららみつけ らきこてつ」
「これを入力することによって、スピンダウンアウトという最強馬が手に入るのです」
いや名前からしてあかんよ。
スピンダウンアウトって。
プラスのイメージが一つも…
あと、ちょっと頭がおかし…
そうか、落馬で頭打ったんだね。
「あいわかった、ワシからのせめてもの贈り物として、馬中心にしてあげるからね。」
(1.スピンダウンアウト、2.キョジャクタイシツ、3.パワフルダボク、4.ゴリラ、5.上半身だけ馬の人間、6.臭いインド人)
「これだけあれば、馬になれるかもしれないでしょ?」
「やります!やらせて下さい!」
熱意がすごいな…大丈夫かよ…
「ルーレット、スタート!」
暗転する部屋で回り続けるルーレット。
「ストップ!」
部屋が明るくなる。
そこに示された転生先は
「臭いインド人」
「たはぁっ、それ引くかぁ」
「大丈夫です!臭いインド人でも馬には乗れます!1からやり直し、パスワードを入力します!」
「あ、転生したら、記憶も飛ぶよ?」
「え?いやいや、閻魔様それ…
ヒュン。
「切ない人生だなぁ…運だから仕方ないのかもな…たまには下界のテレビでも見るか」
…スピンダウンアウト強い!スピンダウンアウト!全く敵を寄せ付けないスピードで逃げ切ったー!
ゲームちゃうやん、実際走ってるやん!不思議なもんだなぁ。
勝利ジョッキーインタビューです!
草委員 度人ジョッキー、感想は?
「ぺるそうみ ただらきぬ あるそるか くまいけり ららみつけ らきこてつ」
?
なんだこりゃ、まぁいいか。
地獄はまだまだ続く。




