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すき
「すき」
勝手に口から零れ出た言葉。
しかも、あいつの前で。
『...ぇ、まーちゃ...?』
...ほら、やっぱ驚いとる。
しょーがないやろ、
好きなんやもん、もう、分かってた事なのに、否定ばっかして、抑えきれへんくなったんや。
...ぼく阿呆なんよ。
優しい瞳に吸い込まれてここまで、一緒に居てきた。
本当はな、ぼく、はすぅに一目惚れやったんよ。
でも、言えへんかった。
壊れてしまわぬように、この、この関係のままでええと思ってた。
せやから、
『まーちゃん、』
震えた声が聞こえた。
その瞬間に
だきしめられた。
「...ぇ、」
どうして、だって、好きな人居るて、言うてたやん、なんで。
『嘘ついた。ごめん。俺もまーちゃんのことすき。』
カタカタと手が震えてる
「...ッあほやないの。そんな必死になることないやろ...」
年上なんに、子供やな、と泣きそうになることを堪えて
僕はこいつに
キスをした。
すき、すき。
大好き。