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先輩  作者: 六々田
8/10

すき

「すき」


勝手に口から零れ出た言葉。

しかも、あいつの前で。


『...ぇ、まーちゃ...?』


...ほら、やっぱ驚いとる。

しょーがないやろ、

好きなんやもん、もう、分かってた事なのに、否定ばっかして、抑えきれへんくなったんや。


...ぼく阿呆なんよ。


優しい瞳に吸い込まれてここまで、一緒に居てきた。

本当はな、ぼく、はすぅに一目惚れやったんよ。


でも、言えへんかった。


壊れてしまわぬように、この、この関係のままでええと思ってた。


せやから、


『まーちゃん、』


震えた声が聞こえた。

その瞬間に


だきしめられた。


「...ぇ、」


どうして、だって、好きな人居るて、言うてたやん、なんで。


『嘘ついた。ごめん。俺もまーちゃんのことすき。』


カタカタと手が震えてる


「...ッあほやないの。そんな必死になることないやろ...」


年上なんに、子供やな、と泣きそうになることを堪えて


僕はこいつに


キスをした。


すき、すき。


大好き。

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