奇病、その後
受かった。受かった受かった。
奇病専門の病院である程度の治療はしてもらった。我慢すれば花は出ない。
頑張って大学に行けるように、たくさん、たくさん勉強した。
奇病のせいで高校の後半はいけなくて勉強もしてなかった。
哉耶が、哉耶が応援してくれたから、僕、頑張ったんだ。
受かったよ、大学。
哉耶の家に向かう。走って走って走って。
『哉耶!受かったよ!受かった!!』
こんな大声出したのはじめて。
ドアの奥からどたどたと足音が聞こえて
ばん、とドアが開いたと思ったら
合格通知を持ったままの僕に
哉耶は抱きしめた。
「偉いな...よく頑張ったな...」
...なに、泣いてるの?どうして、
「辛いことを乗り越えて、自分の行きたい所を自分で決めて、自分で勉強して。」
頑張った。頑張ったなぁ、と僕の頭をくしゃ、と撫でながら
震えた声で哉耶は言った。
『...ッ...うん、へへ、ありがとう』
抱き締め返して緩やかに笑う。
こんなに心地いいんだね、好きな人に、褒められて、抱きしめられるのは。
「憂、好きだよ。大好き」
...今更だよ。そんなこと。
『僕もすき、だぁいすき。』
一緒に暮らそう、とありきたりなプロポーズみたいな事を
哉耶はすらっと言えるんだもんなぁ。