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奇病
はらはらとあいつの目から花がこぼれ落ちる。
なんか、すげぇ綺麗で落ちるのが勿体無いくらいに唯...只綺麗だった。
『おれは、産まれちゃいけないこ?』
啜り泣く憂が聞く。
知らねーよ、お前のことなんか、知ったこっちゃねぇんだよ。
「おれはお前の親じゃねェ」
俺のこと、ちゃんと見ろよ。
俺として、接してくれ。
「俺のこと好きなんだろ」
ごしごしと目を拭いながらこく、と頷く憂を。
優しく抱きしめた。
「お前が産まれなきゃ、俺は多分。」
ここにいない、どっかで野垂れ死んでるよ。お前がいたから俺は、こうして人を愛せるようになったんだ。
「...お前が好きだよ。産まれてきてくれてありがとう。」
憂は俺のシャツをぎゅ、と掴んで、
『うん』とだけ答えた。