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先輩  作者: 六々田
2/10

奇病

はらはらとあいつの目から花がこぼれ落ちる。

なんか、すげぇ綺麗で落ちるのが勿体無いくらいに唯...只綺麗だった。


『おれは、産まれちゃいけないこ?』


啜り泣く憂が聞く。


知らねーよ、お前のことなんか、知ったこっちゃねぇんだよ。


「おれはお前の親じゃねェ」


俺のこと、ちゃんと見ろよ。

俺として、接してくれ。


「俺のこと好きなんだろ」


ごしごしと目を拭いながらこく、と頷く憂を。


優しく抱きしめた。


「お前が産まれなきゃ、俺は多分。」


ここにいない、どっかで野垂れ死んでるよ。お前がいたから俺は、こうして人を愛せるようになったんだ。


「...お前が好きだよ。産まれてきてくれてありがとう。」


憂は俺のシャツをぎゅ、と掴んで、


『うん』とだけ答えた。

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