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走ろ
オレンジ色の髪がゆらゆら揺れる
それが目障りで堪らなかった。
俺たちは仲が悪くて有名なヤンキーだ。
俺より気が弱そーな癖にケンカはつえーんだ。たいそーに眼帯なんぞ着けてよ。
でも、昼は一緒に食ってる。一緒下校だってしてる。
...可笑しいだろ?俺も、そう思う。
だけど、喧嘩するほど仲がいいっていうだろ?そんな感じだろ、...多分。
あいつの嫌いな所は死ぬほどあるが
好きなところは1個はある。
あの笑顔、心臓にくる。
や、痛いってわけじゃねぇし、見るのがいやなわけじゃねぇ。
ずっと見ていたくなる笑顔。なんかこう、惹かれる?
気持ちわりぃな俺。なんで男のことばっか考えてんだよ。
「哉耶、たのしいね」
よくわかんねぇなこいつ。一緒に歩いてるだけだろ。
憂は、またにこりと笑って。
喧嘩でできた痣がある俺の腕を掴んだ。
「はしろう、競走。」
...ガキか。先輩だろお前は。
俺の腕つかんで走ったら意味ないだろ。
こんな先輩に俺は、毎日振り回されてる。