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彼女の首が刎ねられた

「はやくして!約束の時間に遅れるから!」

大声で僕を呼ぶ彼女。そんなに大声出したら近所迷惑だよ………。


「待ってください、今準備してますから。」

悠さんの家にお邪魔するのに必要な物をリストアップしていたら、怒られてしまった。

「お土産は私!お菓子とかいらないと思います!」

悠さんにとってのお土産は貴女かもしれないけど、家に招待してくださったお礼に、と持っていくものだから、必要なんだよね。って言っても理解はしないから、説明するより見てもらった方がいいのかもしれないけども……。


「十数え終わるまでに玄関に来ないと置いてっちゃうからね!いくよー!10、9、8…」

待てないカウントダウンが始まった。

「もう、だいじょうぶですから!数えるのやめてください」

「じゃあ、しゅっぱーつ!」

玄関を出た後、彼女は元気よく言った。


その時、僕は1つ大事な忘れ物をした。

彼の家に行ったあとに起こる出来事を想定していれば、忘れなかった物だ。

それは……………、後にわかるだろうな。



「悠元気かなぁ?」

「元気だと思いますよ。なんだってこんな可愛い彼女に会えるんですから。」

「またまたぁ!!!!!!!そんなに褒められても何も出ないぞぉ!」

「いつも出てるのでいいです。」

「…………………?」

「……………(照)」

「何が出てるって?ねぇねぇ何が出てるって?」

「その、なんて言ったらいいかな。」

「勿体ぶらずに話しちゃいな!私だよ?受け入れてやる!なんでもさぁ、どんとこいや!」

「貴女のその笑顔です。」

「へぁ?私の笑顔?そんなの毎日じゃない。」

「はい。毎日僕は貴女に癒してもらってるので。」

「どゆことどゆこと笑」

「貴女のその笑顔が僕の癒しです。」

「えへへぇ?やめてよぉ」


────────────


「ぴんぽーん♪悠!!!!!!!来たよ!」

「やぁ、いらっしゃい、愛しい僕の姫様。それと、騎士くんもね♪」

彼女の口調に合わせてるのだろうか。

先週あった時の彼とは別人ではないのか?と疑問を持つぐらい元気だった。

先週の顔色が青紫っぽかったのに対して、今の彼の顔色はとてもいい。まるで肩の荷がおりたような何かに対して吹っ切れた印象だった。


「悠、今日お仕事ないんじゃなかったの?」

猫みたいにすり寄る彼女をまるで赤ん坊を想う母親みたいに包み込む?

そんな感じで彼は答える。

「あぁ、あれは、僕の知り合いが泊めてくれって言ったから。それがどうかしたの?」

「ううん。いつもと違う車だから何かあるのかな?ってさ!何も無いなら別にいいよね!」

彼女の満面の笑みを見てほっとしてるのか、それとも何かに対して焦ってるのかはわからない表情で彼は「そうだね!」と彼女に答えていた。


あれは、僕の空耳だろうか?

彼女が「車が違う」と言った時に彼は小声で「チッ」と舌打ちし、「あれほど俺の車と同じにしろと言ったのに。初っ端からバレてどうするんだ。」と早口で言ったのは本当にただの空耳だろうか。

何か嫌な感じはするが、今は楽しもうと考えた僕の思考は2時間と45分後に後悔する。


それはなぜか。


それは、


それは、


それは…………


僕の目の前で「彼女」の首が刎ね飛ばされたからだ。


それはなぜか。


それは


それは


それは?


………………彼女が「鬼であるが故」という理由だった。


僕の「思考」だと考えもしなかった「未来」

だけど、「人間」である「悠さん」だと大いに考えられたはずであった「未来」

僕の「世間一般の恋人関係」という考えだと至らなかった「未来」

彼の「亜人種と人間種間の恋人関係」という考えがあってこそ至った「未来」


全てはこの世界の「価値観の違い」が「鬼」の僕らと「人間」の彼らとの考えの差を中心に起こってしまった出来事。

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