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~彼女の恋人登場~

彼が家に来るとわかると彼女は顔を輝かせた。

毎日毎日彼は彼女の家に来た(僕もいるけど)。

「仕事は何してるの?」と彼女に聞かれると、彼は「それは、NGで笑」と答えた。人に話せない職業に就いているらしい。でも、彼女は知りたがる。彼が来るとその都度聞いた。その執心に折れた彼が少しだけ話してくれた。

「警察の中にある、刑事事件とは全く違う特殊な事件を扱う部署なんだよ」と。

彼が言いたくなかった理由が僕にはわかる。

彼女はなんにでも興味を持ち、自分の気が済むまで掘り下げる、そんな人だ。

僕は会わせてもらった次の日に彼自身から自分の仕事のことを教えてもらっていたから、分かってたけど。

「どんな事件を解決するの?」

彼女は彼に迫りながら聞いていた。

僕はキッチンから彼らのイチャつきを見ていた。

彼は僕の視線に気づいたのか、目で《助けてくれ》と送ってきたが、僕は《頑張ってください》としか返さなかった。

2人の様子を見て楽しんでいたから。

彼が迫られているのが少し面白いともいう笑。


彼は彼女に何か耳打ちをした。

彼女は嬉しそうに笑っていた。

「何を買ってきたらいいの?」

どうやら、おつかいを頼まれたらしい。

彼は「好きな物買っておいで」と言った。

「行ってきまーす!!」彼女の声が玄関から外へと消えていった。


「お疲れ様です」と僕は彼を労った。

「いやぁ、可愛いなぁ、あの子は。」と彼は惚気けた。

「何か飲みます?言ってくれたらすぐに作りますよ。」

「お?じゃあ、焼酎のジンジャー割りを頼もうかな。作ったことある?」

「あ、作ったことありますよ。彼女に《何か新しい飲み物作ってよ》って言われることが多いので笑」

「彼女らしいな。俺が出逢った時も、《私を新しい何かに連れてって!》って目をキラキラさせながら俺に語りかけてたし笑」

「そうなんですね笑」

彼と話していると、彼女の歴代の男の話に話題が変わった。

「彼女が自分の家に男を上げたの初めてなんだって?」

「そうらしいですね。僕はあまり知らないんですが、彼女自身そう言ってましたよ。」

「じゃあ、何で君は男に数えられていないのかな?」

「そんなこと知りませんよ(笑)でも、彼女は僕のことを《男》ではなく、《可愛い弟》ぐらいにしか認識してないんじゃありませんか?」

「あ、それはなんか分かるかもしれないなぁ。彼女、俺が《家に行ってもいい?》って聞いたら、《可愛い弟がいるけど、それでも良かったら来て。》って言ってたからな。」

「貴方にそう言うんでしたら僕は弟みたいな存在ですね(笑)嬉しいですね。」

「俺の名前まだ教えてなかったよな?」

不意に彼が言った。

僕は「教えてもらってないですね。聞いてはダメなのかな?と思って聞かなかっただけですけど笑」

彼は教えてくれた。

「俺の名前は悠だ。よろしくな!…………えーと、名前なんだっけ?」

「悠さん、よろしくお願いします。僕の名前は教えられないんですが、《しーちゃん》とお呼びください。」

「おぉ。しーちゃんか。よろしくな!まぁこの関係もすぐに終わるだろうけどな。」

「え?今なんて言いました?」

「なんでもねーよ笑。」

僕は悠さんの、最後の言葉を聞き取れていなかった。

彼の、悠さんのその聞き取れていなかった言葉をきっかけに、一週間後から僕と彼女の周りがおかしくなることを僕はまだ知らなかった。

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