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美味なる純血  作者: シクル


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9/11

第九章「玲奈」

「・・・」

真は少し戸惑っていた。

多少精神は錯乱しているだろうと予想はしていたがここまでとは思っていなかったからだ。

今、真は美奈の母親とリビングに戻っている。

「ごめんなさいね・・・。落ち着くまで、待ってくれるかしら?」

「ええ、別に・・・おかまいなく・・・」

「あ、そういえば私の自己紹介がまだでしたね。渡部わたべ夕子ゆうこです。」

夕子はペコリと頭を下げた。

「そろそろ、様子見て来ますね」

そう言うと夕子は2階へ上がっていった。

「・・・。何故殺されなかったんだ・・・?」

真の中に疑問が生まれた。

出席番号最後の彼女が何故殺されなかったのなら同じ出席番号最後の真も殺されずにすむのではないか・・・?

そんな考えが脳裏をよぎった。

「まさか・・・な・・・」

真が考え事をしていると、上から夕子が降りてきた。

「あの、玲奈が少しだけ話してくれるそうです」

「あ、そうなんですか・・・」

真はそう言うとすぐに2階へ上がった。

「あの・・・」

「開けないでッ!」

真がドアに手をかけようとすると中から怒鳴り声が聞こえた。

「良いわ。聞きたいことは大体わかってる」

「あ、ああ。このさいだから単刀直入に言うぜ。犯人は誰なんだ・・・?何か思い当たることはないか・・・?」

聞いた後、流石に真も単刀直入すぎたと思った。

「ええ。あるわよ」

「!?」

「誰だッ!?誰なんだッ!?」

「そうね・・・。でも言えないわ。確定してるわけじゃないもの。まあ可能性は九割ってとこね」

「・・・・・」

「でも、これだけは教えておくわ。生徒名簿をよく確認する事ね・・・」

「・・・?」

(生徒名簿・・・?)

真は少し疑問に思ったが、後で考える事にした。

「後もう一つ・・・。君は何故殺されなかったんだ?」

「さあね・・・。あっちに殺したくない理由があったんじゃないかしら?」

「・・・」


電車内。

ガタンゴトンガタンゴトン・・・

あの後、玲奈はあの時の事を思い出したらしく、また発狂し始めた。

これ以上は聞けそうにもないので真はとりあえず帰ることにした。

(それにしても・・・)

(生徒名簿って・・・?)

「まさか・・・」

真の中にとんでもない考えが脳裏をよぎった。


その頃・・・。

陽は自宅の自分の部屋でインターネットをしていた。

少しでも情報を手に入れようとしていたのである。

しかしなかなか情報が手に入らず、いらついていた。

「チッ・・・。どれもガセネタばっかだな・・・」

陽は舌打ちをすると、パソコンの電源を切った。

かれこれ3時間以上パソコンの前に座っていたため、肩や腰が痛い。

陽が立ち上がって部屋から出ようとするとなにやらガサガサと音が聞こえる。

「・・・?」

「出席番号・・・26番・・・!!」

「!?」

どこからか声が聞こえる。

陽は咄嗟に身構えた。

「そうか・・・。俺の番か・・・!?」

その事に気づいたとたん、陽の顔は恐怖ではなく、怒りに歪んだ。

憎んでいるのだ。

恨んでいるのだ。

憎悪を抱いているのだ。

陽にとってその何かは「恐怖」ではなく「恨むべき者」。

明を、クラスメート達を殺した「恨むべき者」なのだ。

「出てこいよ・・・!」

陽がそう言った時だった。

ガシッ!

腕を何かに掴まれた。

「!?」

陽は咄嗟に後ろに振り向いた。

そこで陽の手を掴んでいる何か・・・。

陽はその顔に見覚えがあった。

「お、お前・・・は・・・!?」

陽がその見覚えのある顔に動揺した瞬間だった。

「ッ!?」

何かはガブリと陽の腹部に噛みついた。

「真に・・・!真に伝えねえと・・・!!」

陽は必死にポケットの中の携帯を取り出し、真の携帯にダイヤルした。

「おい・・・真!!」

「陽。どうした?」

幸い、携帯はすぐにつながり、真の声が聞こえた。

「わかっ・・・たんだよ・・・」

「何がだよ?」

陽の意識は少しずつ薄れていく・・・。

何かはまだ陽の腹部に噛みついている。

「犯人・・・が・・・だよ」

「お、おい!まさかお前・・・!?」

「犯人は・・・あい・・・つだ・・・!」

「わ、わかんねーよッ!今お前どうなってんだよ!?まさか・・・もう・・・!」

「・・・・・り・・・・・」

もう真の携帯に陽の声は聞こえない。

「おいッ!陽ッ!聞いてんのかッ!?」

陽はその場にドサリと倒れた。

真の携帯にもその音が聞こえる。

「陽!?」

何かは陽の腸を喰い始めた。

今までと同じように・・・。

「おいッ!陽ッ!大丈夫かよッ!?おいッ!」

陽の近くに転がっている携帯から真の声が響く。

しかしその声はもう陽には届かない。

「シ・・・ン・・・」

何かは陽の携帯を拾い上げた。

「おいッ!陽ッ!!」

グシャッ!

「ウル・・・サイ」

何かは片手で陽の携帯を握り潰すと、窓を飛び越えてどこかへ行ってしまった。

「!?」

ツーツーツー

「陽・・・?」

「誰だよ・・・あいつって・・・?」

真は自分の部屋で呆然と立ちつくした。


続く

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