第八章「過去」
ガタンゴトンガタンゴトン・・・!
電車の揺れる音が聞こえる。
真は今、Z県の白凪町に向かっている。
あの事件があった学校がある町だ。
(ここに・・・何かヒントがあるのかも知れない・・・。)
真は少し緊張していた。
この事件について知ると言うことは、事件の真相に近づくという事だからだ。
別に自分じゃなくても良いと言うのはわかっているのだが、この事件はどうしても解決しなければならない。
そんな気がしていた。
真は駅に到着すると、地図を開いて学校を探し始めた。
「えっと、白凪校はっと・・・」
案外地図上では白凪高校は簡単に見つかった。
真は足早に白凪高校に向かった。
白凪高校は駅から10分程度でたどり着くことができた。
事務室で許可を取り、校長室へと入っていった。
トントン
「入りなさい」
真がドアをたたくと中からおじいさんの声が聞こえた。
「はい」
真はガチャリとドアを開け、中へ入っていった。
「・・・。誰だね?」
「えっと、山木真と言います。今日は校長にお聞きしたい事があります」
「私に答えられる事なら出来る限り答えましょう」
校長は机の上のコーヒーを少しすすった。
「まあ座りなさい」
校長は部屋の真ん中のソファーに座った。
「はい」
真は校長と向かい合うようにソファーに座った。
「それで、聞きたい事とはなんだね?」
既に校長は真が聞きたいことを察している様子だった。
「はい。高校生連続惨殺事件の事です」
真がその言葉を口にした瞬間、校長の表情が変わった。
「やはりな。君の目を見ればわかる」
「え?」
「君の目は真実を追い求める者の目だ」
「君はもしかすると、最近世間で騒がれている2回目の惨殺事件の起こった学校の生徒ではないかな?」
(もう世間には知れ渡っているのか・・・)
真は家に帰ってから、新聞もテレビも見ていないため、知らないのは当たり前だ。
「良いでしょう。君が何をしようとしているかはわからないが、出来る限り話そう」
校長の話す内容はこうだった。
まず、C組の青田亮太という少年が殺害された。
学校はすぐに警察に連絡したが捜査は難航した。
そしてまた1人、また1人と残酷な死に方をしていった。
死体は全て、原型をとどめているのは首だけだった。
しかし、奇妙な事に出席番号最後の少女、渡部玲奈は殺害されなかった。
彼女は唯一の生き残りだった。
しかし彼女はあまりの恐怖に自分の部屋に閉じこもっていた。
誰の話も聞かず、誰とも話さない。
ただし、母親とだけは会話した。
あの事件の事以外なら・・・。
彼女は母親の話だけを聞き、母親の持ってきた料理だけを口にした。
結局警察もマスコミも彼女からは何の情報も得られなかった。
「渡部玲奈・・・」
校長の話を聞き終わった真は校門の前にいた。
真相はつかめていない。
「とりあえず、彼女の家に行ってみるか」
真はそう呟くと校長にもらったメモを取りだし、開いた。
校長は何かてがかりがつかめるかも知れないと言うことで彼女の住所を教えてくれたのだった。
真は早速渡部玲奈の家を尋ねる事にした。
何も話さないとは思うが今はなりふりかまっていられない。
何か、何か少しでも手がかりが欲しかった。
渡部玲奈の家は学校から少し離れた場所にあった。
他の家と違う緑色の屋根が印象的だった。
ピンポーン!
真はインターホンを押した。
押してからしばらくすると中から「はーい」と声が聞こえた。
ガチャリとドアが開き、中から中年の女性が現れた。
恐らく玲奈の母だ。
「あの、どなたですか?」
「山木 真と言います。少し聞きたい事があるのですが・・・」
「大体予想はつきます。外ではなんですので中へどうぞ」
「はあ、失礼します」
真は彼女とともにリビングへ入った。
「あの・・・」
「殺人事件の事でしょう?」
「は、はい」
「と言うことは、あの学校の生徒さんね?」
「はい」
「私は事件についてはよくわかりません。ですから、娘に聞きに来たのでしょう?」
「あの子が何か話してくれるかどうかはわかりませんが・・・」
そう言うと、彼女は真を2階へ連れて行った。
2階に行くと、すぐにドアがあった。
どうやらそこが玲奈の部屋らしい。
トントン
「玲奈、お客さんよ・・・」
「来ないで」
中から少女の声がする。
「来ないでよ。どうせまたあの事について聞くんでしょ?もう沢山よ!」
「お願いだ。君なら何か知っているかもしれない」
真がそう言うと中からドアに何かをぶつける音がした。
「来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよ来ないでよッ!!」
ドンドン!と何回も何かをぶつける音がした。
「帰ってよォォォォッ!!!!」
玲奈は真を完全に拒絶した。
続く




