第2話 記憶喪失の少女
家の中からは50から60の男が出てきた。
「お前さんたちギルドに追われてるはぐれもんだろ、連中の腕をもいだとかで。」
それを聞いた途端、コウとフィルは構える。
しかし、男は手を上げて攻撃する気はないことを示すとコウとフィルは不思議そうに顔を見合わせる。
「じーさんは一体なんなんだ、俺らのことを知っているということはギルドの人間だろ?なら、なぜ捕まえようともしない」
それは…と男が言いかけたとき、
「見つかったか?」
と若い男の声が聞こえてきた。それに気づいたコウとフィルが逃げようとしたとき、男が呼び止めた。
そんな闇雲に逃げてるだけではいずれ捕まる。しかし、わしならお前さんたちを逃げさせてやれる、とりあえずわしの家に入りなさい、と。
コウとフィルは調子が良すぎる、と警戒しながらもその誘いに乗ることにした。
「さすがにここまで奴らも来ないであろう。さて、さっきの話の続きじゃがお前さんたちを逃してやるが代わりに頼みを聞いてはもらえぬか?」
「あんた、それが狙いだったのね。」
めんどくさそうにフィルはその頼みというのは何かと聞く。
男は実は、と言って語り始める。
「この前、門の外に行ったときに森で少女を見つけたのじゃ、その少女は記憶喪失でしかもイレギュラーの憑かれ者ときた。」
「ちょっとまて、イレギュラーだと?」
コウが話を遮り、聞くと
「ああ、霊の人格があったから精神のイレギュラーじゃな。」
と男は答えた。
フィルは首を傾げながらイレギュラーってなに?と聞く。お前の腕と耳のやつだ、とコウが答えるとフィルは強くフードを抑える。
「お前の場合は肉体のイレギュラーだ、外見に出ているからな。肉体のイレギュラーは大概その部位が強化される、他の憑かれ者よりな。」
その言葉に男が目を丸くして驚いた。しかし2人はそんな男の様子は気にすることなく話の続きを求めた。




