第1話少女と青年
「おい、カイ。こいつフリーの憑かれ者だぜ?誰とも契約してない。とっ捕まえて売り飛ばすか?」
「そうだな、だが一度ギルドに連れて帰ろうか」
そう、路地裏に野太い声が響いた。
「やめておいた方がいい…私はフリーなんかじゃない。」
「何言ってんだか、この機械を使えばフリーかそうじゃないかわかんだよ。」
そう言って、四角いキューブ型の物を取り出した。
「わかったらおとなしく捕まりな。」
「…もう一度言う。私はフリーじゃない。それにあなた達では私を捉えられない。」
「おいおい、嬢ちゃん、なめてくれんじゃないよ」
盗賊二人と少女の距離は5メートルほどしかない。盗賊の1人が近づくと、その距離は少女によって一気に取られる。1人の男の腕と共に…、それはカイと呼ばれた方の左腕だった。男2人はそれに気づくと顔を真っ青にして、逃げ出した。
明らかに他の憑かれ者とは動きが違った、他の並みの憑かれ者に比べて速さ、力どれをとってもそれにかなうものをこの2人は3人しか知らなかった。
「あいつ他と格が違うぞカイ、うちのギルドのトップの奴らとも互角にやりあっちまうかもしれねー。」
「いや、俺たちが単独で動いたってこともあるのかもな…、くそっ血が止まんねー」
それを少女は追おうとした、が
「そこまでだ。」
1人の青年に止められた。
「どうして止めるの?私はフリーじゃない。あなたと契約してるのに…。」
「言いたいことはわからないでもないが今回は問題を起こしたくないんだよ。」
少女はその青年の一言で臨戦態勢をといた。




