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敵がいない話  作者: 略して T、K
1/1

い*嘘

フィクション


水樹ちゃんは美少女の設定


ごめんなさい。ってぽつりと聞こえた気がした。



目を開けると、「さっきは、ごめんね?」って、顔を覗き込んでくる水樹みずきがいた。頬杖をつきながら、まつ毛が長いなぁなんて思いつつ「謝られることは、されてないけど・・・水樹は私に何かしたの?」なんて言うと、水樹の口が小さくパカッて開いた。目が一瞬そっぽを向き、また真っ直ぐ私を見た。とても綺麗な瞳だ。「実は・・・真里まりの筆箱を投げ飛ばして遊んでいたら、ゴミ箱の中に入ってしまって・・・」「おいっっっ!!」思わず背筋が伸びた。水樹の目が細くなった。「ごめんね・・・。ほら、綺麗な桃色の筆箱に・・・黄色の・・・・オレンジジュースの染みが・・・・こんなに沢山・・・ふ・・・できて・・・ふふっ」言いながら水樹は笑ってしまっている。私の筆箱は桃色に黄色の水玉のデザインだ。つまり、「私の筆箱がゴミ箱に入ったっていうのは嘘ね・・・」ヒーヒー笑いながら、水樹は頭をぶんぶん縦に振った。頷いてるつもりなのだろうが、ヘッド・バンキングしてるようにしか見えない。水樹の笑いが治まってきた頃、「てか、黄色いオレンジジュースってなによ」と突っ込む。急に水樹の顔が真面目な顔つきになって、「え、オレンジジュースは黄色いのもあるよぉ」と言った。私は、ブレザーのポケットからスマホを取り出し、[ オレンジジュース ]で画像検索してみると、黄色のオレンジジュースが一番上にあった。悔しかったので、オレンジ色のオレンジジュースしか載っていないとこにスライドさせて、水樹に見せた。水樹はオレンジ色だらけの画面を見た後、「・・・まじか」と呟いき「黄色のはなかったのかー」と少し眉毛を下げてみせた。さっき嘘をつかれたので、これでおあいこだ。帰るときにはちゃんと本当のことを教えてあげようと思っている。水樹は勝手に別の話をし始めている。水樹はいつもこう。話題をコロコロ変えてしまう。気づいたら、お互い違う話をして話が食い違ったりなんてしょっちゅうある。でも、水樹のする話はどれも面白い。話題が尽きないのだ。大概、水樹の日常の話だが。昨日は、何を食べてこう思ったとか。今日は、こうだったらいいのにとか。だから、水樹の行動パターンとか考えていることがわかるようになってきた。そして、水樹も私の性分のことを結構わかってくれていると思う。私はずっと誰かと行動するのは、嫌。だけど、ずっと一人でいるのも嫌なのだ。自分でも自分がめんどくさいと感じている。誰かにずっと合わす協調性は持ち合わせていないのに、ずっと一人になる勇気もないのだ。そんな私の傍に水樹は、気づいたらいる。そして、気づいたらいなくなっている。この距離感が好きだ。この距離感を保ってくれている水樹が好きだ。上の空の私に気づいていないのか、水樹は楽しそうに一人でしゃべり続けている。

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