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光輝の想いと麻土香の想い

 ……


 ……闇


 暗がりの中、体を揺り動かされた。

「……こら、起きぬか」

「……?」

 目を覚ますと、目の前に嵐三がいた。体を揺り動かしていたのは嵐三だったようだ。

「まったく、熟睡してどうするんじゃ。今夜だと言っておいたじゃろう。まあよい。ついて来るのじゃ」

 コクリと頷くと嵐三は部屋を出て行く。

 嵐三の後について行くと、不思議な部屋にたどり着いた。

 オカルト的、呪術的な装いの部屋だった。

 部屋には誰もいなかった。

 部屋の中央には魔法陣が二つ、対になるように描かれ、一つの魔法陣の上には布に包まれた何かが横たえられている。

 嵐三は部屋に入ると真っ直ぐに進み、もう一つの魔法陣を指す。

「さあ、そこに横になるのじゃ」

 コクリと頷くと魔法陣の上に横になる。

 天井を見上げていると、不意に気配を感じた。嵐三以外の気配を5つ。

 頭を動かしまわりを見渡すと、誰もいないと思っていた部屋の中に、魔法陣を囲うように4人立っていた。

 部屋の扉が開閉された音はしなかった。はじめから中にいて気配を消していたということだろう。

 誰なのかはわからない。暗くて顔が見えないのだ。見えるのは近くで悲しそうに見下ろす嵐三の顔だけだった。

 見下ろしているのは、こちらではなく隣の魔法陣の方だった。

 隣の魔法陣を見ると、

「くー、くー……」

 聞き覚えのある寝息が聞こえてくる。

 布に包まれているのは生き物のようだ。その大きさから人、子供のようだ。

『嵐三、そろそろ……』

 4人のうちの誰かが嵐三に声を掛けた。

「うむ、わかっておる……目を瞑ってジッとしておるのじゃ。すぐ終わるからのう」

 嵐三は悲しげな表情でそういう。

 コクリと頷くと目を閉じた。

「世界のためなのじゃ、すまぬ、許してくれ」

 嵐三はそういうと、何やら呪文のような言葉を言い連ねていく。人語なのだろうか? 言っている意味がわからない。

 まわりからも、4人の同じような言葉が聞こえてくる。

 すると、まわりが光りはじめた。目を閉じていてもわかるほどに光っているようだ。

「うっ、うぅ……」

 しばらくすると、隣からうめき声が聞こえて来た。

 気になったが、目を閉じてジッとしているように言われたため、動かずただそのうめき声を聞いていた。

 すると……

「う、うぅ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 苦しみ絶叫する声が響き渡った。

 耳を塞ぎたくなる衝動に駆られたが、それもすぐに収まった。それに構っていられる状況ではなくなったのだ。

 隣からの絶叫が聞こえたと思うと、体に何か熱いものが流れ込んできた。

 陽光のような心が温かくなるような熱が体を包むと、熱い熱い、熱湯のような溶岩のような熱が体に、体の中に流れ込んできた。

「……ぐ、うっ、うがぁぁぁぁぁっ!? 熱い、熱いよぉぉぉぉっ!? うがぁぁぁぁぁっ!?」

 知らず知らず絶叫していた。この熱を、苦しみを少しでも和らげようと、声を張り上げていた。

 その腕は体の熱を取り除こうともがいていた。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 二人の絶叫が部屋の中で混じり合い融合していく。

 そして、苦痛に耐えられなくなり、次第に意識が遠のいていく。

 薄れゆく意識の中、嵐三の声が微かに聞こえていた。

「すまぬ、すまぬ……空雄、光輝、許してくれ……」

 

 ……


 ……



「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 飛び起きると、そこは見知らぬ部屋だった。

「ハッハッハッ……ハァハァハァ……はぁ……」

 荒い呼吸は整えたが、心臓の鼓動は早いテンポで脈打っている。体もまだ熱い。今の夢のせい、ということはないだろう。  

「……今の夢は……」

 夢の内容を思い出そうとすると、横から話し掛けられた。

「だ、大丈夫ですか? 随分とうなされていたようですけど」

 戸惑うような、心配するような声音は汐音のものだった。

「ああ、イヤな夢を見ただけだ」

 汐音は光輝の体を支えてくれている。自分の体を支えられない程、弱って見えるのだろうか?

 汐音は光輝の様子を窺うようにのぞき込んでいる。

「大丈夫。それより、僕はどのくらい気を失っていた?」

 光輝の言葉を聞き、汐音は驚いたような安堵したような表情をする。

「僕って……光輝!」

 汐音は何があったのか、涙を流し光輝の体を抱きしめた。

 汐音は光輝が元の光輝に戻ったのだとホッとしたのだ。安心したら、感情が溢れ出し止められなくなってしまったのだ。

 そんな事とは知らない光輝は、当然困惑してしまう。眠っている間に何かあったのかと不安がよぎる。

 この部屋には光輝と汐音しかいない。麻土香の姿が見えない。汐音が一人で光輝の看病をしていればいなくても不思議ではないのだが、困惑中の光輝はそこにまで頭が回らなかった。

「麻土香に何かあったのか!?」

 光輝は焦ったように声を上げた。

 すると、

「私がどうしたって?」

 部屋の扉を開き麻土香が入ってきた。ノックも無しに入ってきた。

 もし中で見られたくない事をしていたらどうするつもりだったのだろうか?

 ノックくらいしろよ。

 光輝はそんなことを一瞬思ったが今はどうでもいいことだった。

「い、いや。汐音が急に泣き出したものだから、麻土香に何かあったのかと思って……麻土香が無事ならいいんだ」

 光輝は苦笑いを浮かべる。

「ふ~ん、それ光輝君が目覚めたからじゃないの? 随分と心配してたから」

 麻土香はそう言いつつも、光輝の顔を覗き込み窺っていた。

 光輝は麻土香も心配してくれていたのかと、少し嬉しかった。少しは打ち解けられたのだと安堵したのだ。

 しかし、麻土香は普通に光輝の様子を窺っていたのだ。

 あの時の胸の高まりが今もあるのかと。

 結論から言うと、胸の高まりはない。今の光輝からはあの時のような雰囲気が無くなっていた。

(やっぱり気のせい、よね。きっとこれがつり橋効果なのね! うん、それなら納得)

 麻土香は一人納得していた。

 しかし、まだ納得できていない事がある光輝は汐音に訊ねる。

「汐音? 一体どうしたんだ?」

 汐音は光輝から体を離し涙を拭う。少しバツの悪そうな表情で口を開いた。

「グスッ、えっと、光輝がまるで別人になってしまったのかと思って、それが気のせいだとわかって安心したんです」

「別人? 僕が?」

 光輝はいまいちピンと来なかった。確かにあの時、自分の体じゃないような気はしていたが、人格まで変わった覚えはなかった。

 麻土香は今の話を聞きピクリと反応する。麻土香も同じように感じていた為、何も言わず話の続きを待っていた。

 汐音は話を続ける。

「光輝は覚えていますか? いつもは自分の事を僕というのに、あの時は俺って言っていたんです。雰囲気もどこか五十嵐君に似ていました」

「僕が俺って? 言ってた?」

 光輝は信じられないといった表情で麻土香に視線を向け訊ねた。

 麻土香は無言で頷いている。どうやら本当のようだ。

「そんな自覚はなかったな。確かにあの時、アキが近くにいるような感じがしていたけど、僕からアキの雰囲気がしていたなんてな……」

 光輝は信じられないでいた。それもそうだろう、光輝とアキとでは何もかもが正反対なのだから。性格、考え方、戦い方、力でさえもそうなってきてる。これで幼馴染だと言うのだから不思議である。正反対だからこそ惹かれ合うのかも知れないが。

「本当です! あの時一体何があったんですか?」

 汐音は光輝の身に何が起こったのか知りたかった。それがわかれば、光輝が遠くに行ってしまうリスクを減らせると思ったのだ。

 光輝はなんと言っていいのか困っていた。

 実際何が起こったのか光輝にもわからなかったのだから仕方がない。

 とりあえずわかっていることだけ伝えることにした。

「僕もよくわからないんだけど、麻土香が泣きながらアキの名を叫んでいたのが聞こえて、僕の中の何かが刺激されたんだ。そうしたら、体の中から何か熱いモノが溢れ出してきて、ああなったんだ」

 抽象的過ぎていまいちわからなかった。

 ただ、きっかけが麻土香のアキを呼ぶ声だと言うことだけはわかった。

 汐音は若干不機嫌になる。

「それはつまり、あの状況で麻土香さんがここにいない五十嵐君に助けを求めたことに、光輝が嫉妬したということですか? 妬みの心が溢れて来たんですね?」

 汐音の言葉は刺々しかった。

「「え?」」

 光輝と麻土香は汐音の言っている意味がわからず、呆気にとられ、二人そろって間の抜けた声を漏らした。

 それがかえって汐音に追い打ちをかける。

「やっぱり、仲が良いんですね!」

 汐音は剣呑な表情で言い放った。

「ちょっ、ちょっと待て! どうして僕がアキに嫉妬するんだ?」

 光輝が疑問を投げかける。

「麻土香さんの事がお好きのなのでは?」

 汐音はツンと答える。

「え? そうなの?」

 麻土香はビクッとし若干引いていた。好かれるようなことは何もしていない。あれだけ冷たい態度をされれば、むしろ嫌うだろう。それで好意を寄せるとなると、もうマゾっ気があるとしか思えない。

「は? なんでそうなるんだよ? 麻土香は仲間だ! 嫌いなわけがないだろ!」

 光輝の言葉を聞き、麻土香は若干心が痛んだ。

 麻土香も光輝の事を嫌ってはいない。ただ、勝手な思い込みでイライラをぶつけていた相手にそう言われてしまうと罪悪感で心が痛むだろう。マゾ疑惑も抱いてしまったし……嫌いなわけがないという言い回しは微妙ではあったが、汐音を気遣ってのものだろう。

「それに僕が好きなのは汐音……!?」

 光輝はつい口を滑らせてしまった。口を押さえたがすでに遅く、名前はバッチリ聞かれていた。

 汐音は頬を赤く染め、目をパチクリさせている。

「え!? 私……?」

「えっと、その……」

「……」

「……」

 妙な沈黙が訪れる。

「……」

 もうそこまで言ったんなら告白しちゃいなよ!

 と、麻土香は思っていた。

 しかし、その麻土香がいるからこそ告白に踏み切れないのだと、麻土香は気付いていない。

 その妙な沈黙を破るように、ノックがされ部屋の扉が開かれた。

「光輝さん、気が付かれたのですね。よかったですわ」

 モニカだった。さすがにモニカはノックをして入って来た。しかし、返事を待つことはしなかった。

 お姫様相手に物申すことなどできない光輝は普通に返答する。

「え、ええ、ご心配をおかけしました。もう、大丈夫です」

「そうですか。安心しましたわ……それより、どうかされたのですか?」

 モニカは部屋の妙な空気に気付いたのか、そんな事を訊ねて来た。

「い、いえ、何でもありませんよ。そ、それで、僕はどのくらい気を失っていましたか?」

 光輝は誤魔化すように最初の質問を再び口にした。


 モニカの話によると、光輝は一晩眠っていたそうだ。

 光輝が気を失った後、城の一室に運び込まれてそれっきり、今の今まで眠っていたそうだ。その光輝を汐音は付きっ切りで看病していたそうだ。

 光輝が礼を言うと、汐音は照れくさそうに「当たり前のことをしただけ」と微笑んでいた。

 そして、汐音が光輝の看病をしている間、麻土香はモニカの手伝いをしていた。結界を張り直していたのだ。

 結界無しに一晩を過ごすのは危険とのことで、その日のうちに張り直したのだ。

 そして、余った時間に麻土香は大地をの浄化をした。しようとした。しかし、うまくいかなかった。

 日が暮れるまで挑戦したのだが無理だったようだ。

 翌日、つまり今日、再チャレンジするため光輝に助言をもらおうと、この部屋を訪れたのだ。

「そうだった! 光輝君、動けるようになったんならいくよ!」

 麻土香は思い出したようにそう言った。

「忘れてたんだね……」

 光輝は呆れていた。

「なっ、違うわよ! 言おうとしたんだけど、なんか取り込んでるみたいだったから言いそびれたの!」

 確かに光輝たちの話に巻き込まれる形になっていた、言うタイミングを逃してしまったのだろう。

「そうか、それはすまなかった。それじゃあ、行こうか」

 光輝がベッドから出ようとすると、

「ダメです! まずは食事をとってください!」

 汐音に止められてしまった。

グ~~

 確かに腹の虫は食べ物を要求していた。


 食事をとり、麻土香と共に外へ出た。

 汐音は光輝を看病していた疲れもあり部屋で休んでいる。どうも寝ずの看病をしていたようだ。まったくもって頭が下がる思いだ。

 光輝は汐音に感謝しつつ、外の新鮮な空気を吸い込む。

ス———ッ、ハ———ッ

 酸素が体内をめぐるような感覚を覚えながら、体の調子を確認していく。

 食事をとり腹は膨れたが、散々寝たため眠気はない。体の熱も取れ、痛むところもない。体は以前よりも軽い気がする。まさに絶好調といった感じだ。

 光輝が自分の体調に満足していると、麻土香が地面に手をつき訊ねて来た。

「光輝君は力が発現した時何を考えてた?」

 麻土香は浄化をはじめようとしていた。

 光輝は戸惑いを見せる。

「え? ここで浄化するのか?」

 ここは城の中庭である。すぐ横には砕けた石碑が鎮座している。

 冬華や総司の話によると、レイクブルグは湖、サンドガーデンは町の井戸で浄化を行ったらしい。モルデニアにはそういった場所じゃなくてもいいのだろうか? と光輝は首を傾げている。

「うん、モルデニアは大地が穢れてるから地面に触れられるところならどこでもいいらしいよ」

 いいらしい、モニカにでも聞いたのだろうか?

「そ、そう……えっと、何を考えていたか、だったね。えっと……」

 光輝はここで口ごもってしまう。

 その当時の事を思い出して、言い辛くなってしまった。

 あの時、まさに汐音がモルガナに殺されそうになり、汐音を失う喪失感に襲われていた。それと同時に自分がどれだけ汐音の事を大切に想っていたのかを認識した瞬間でもあった。

 それをズバリ伝えるのは恥ずかしく、どう伝えたらいいのかと迷っていた。

 麻土香はジッと光輝を見て返答を待っている。

「えっと、大切なものを守る、大切なものの為に戦う、みたいなことだったと思う」

 光輝は濁らせて言った。

「え? 何それ? 世界を守る的な? でもなんだかスケールが大きすぎてピンとこないよ?」

 麻土香は難しい顔で首をひねっている。世界などと考えたこともないのだから当然だろう。

「そんな大それたものじゃなくていいよ。それだと僕はもっと前に力を扱えていたはずだし。もっと身近なことでいいんだよ。例えば総司の場合は結衣君、冬華ちゃんの場合はアキやカルマだろ? 麻土香なら……風音とかさ」

 光輝はあえて自分の例えを言わなかった。まあ、言うまでもない事なのだが。

 麻土香は「風音は私が守る」と、アキに宣言していたようだ。実の弟だし間違ってはいないはずだ。

「なるほど、光輝君の場合を汐音ちゃんってことね。確かにあの時、汐音ちゃんは光輝君の近くにいたわね。なるほどなるほど……」

 あえて言わなかったことを、麻土香はさらりと言った。

「……」

 光輝は頬を赤くし黙り込む。

 麻土香はそんな光輝は気にせず、ブツブツ言いうと手をついた地面を見据え集中する。

 風音かぁ、私はお姉ちゃんなんだから当然風音の事は守る。それは前から思っていた事、なのに力は発現しなかった。身内(血縁関係)じゃダメなんじゃないかな? 総司君や冬華ちゃんの例でいうなら身内の線が濃いんだけど、脳筋君カルマがいるし違うんじゃないかな? そもそも光輝君と汐音ちゃんは身内じゃないし。そう考えると、大切のニュアンスを少し変える必要があるのかな? 光輝君と汐音ちゃんは恋愛感情、冬華ちゃんと脳筋君もそう。冬華ちゃんのアキを見る態度は……兄を見る目じゃない気がする。深く考えるのは怖いからよそう。総司君と結衣ちゃんは、兄妹というか恋人同士みたいなのよね(麻土香は総司と結衣に血のつながりがない事をまだ知らない)……近親相関って流行ってるの?(誤解である)ま、まあいいか。とにかく身内に対する想いだけじゃ足りないってことかな? だとすると私の異性に対する想いって……

 その考えに思い到り麻土香は顔を真っ赤にしてしまう。

 光輝はいきなりの麻土香の反応が心配になった。

「ま、麻土香? 大丈夫か? 顔赤いぞ」

「だ、大丈夫! 気にしないで……」

 麻土香はそういうと再び集中しなおす。

 も、もしそうだとして、私はどうしたいの? 風音を守るのは当然として、アキは? アキには私も風音も助けられてるのに、なんのお返しもできていない。ううん、お返しなんてことじゃない。私はアキの力になりたい。アキを助けたい。でも、私のこの想いは届かないかもしれない。それでもアキの為に戦えるの? ……わからない。でも、それでも、アキを失いたくないと思う。アキには笑っていてほしいと思う。いつか私の想いに気付いてくれたらそれで……きっと困った顔をするかもしれない。ううん、アキなら喜んでくれるかもしれない。モテないって豪語してるくらいだもん、「この俺にモテキ来た———!」とか言ってさ。想いに応えてもらえなくても、その喜んだ顔を見られたなら私……結構幸せかも。その小さな幸せの為なら、私戦える。風音やアキの為に戦えるよ!

 麻土香の想いが固まると、地面が微かに光り出した。

 光は麻土香を中心に波紋のように拡がり大地を覆い浸透していく。浄化がはじまったようだ。

 麻土香は無意識に大地に魔力を注ぎこんでいた。たった今目覚めたばかりの浄化の力と共に……

 麻土香の顔は微笑みを湛え、幸せに満ちているようだった。

 浄化を終えると、麻土香は満足そうな表情で地面に大の字になり寝そべった。

「ハァハァハァ……」

「お疲れさま」

 光輝は労いの言葉を掛ける。

「うん、まだまだこれからだもん。私、諦めない!」

 麻土香は光輝の言葉が耳に届いていないのか、いきなりそんな事を言う。

 想いは届かないかもしれない。しかし、まだ想いを告げてもいない。この先まだまだ何が起こるかわからない。諦めるには早過ぎる。

 麻土香はそう思いなおし、決意を新たにしていた。

「私、頑張る!」

「そ、そう、頑張って……」

 光輝は何の事だかさっぱりわからなかった。


麻土香、ガンバッ!

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