フードの男
とりあえず修行内容を聞いてから判断するということで話は決まった。
そして、それぞれ自己紹介するとライアーは説明をはじめる。
「心の修行と言っても大したことはしませんから安心してください」
ライアーはそういうと地面に座り込み座禅を組んだ。
「こうして目を瞑って自然と一体となるのです。無駄な力を掛けない姿勢ならどんな形でも構いませんけれど」
ライアーはそういうと光輝と汐音を交互に見る。そして一つ頷くと口を開いた。
「なんでしたら、先ほどの膝枕でもいいですよ」
「アハハハハ、いいんじゃないかそれ! 光輝、膝枕してもらえよ」
カルマは面白がり光輝を汐音の方へと押しやる。
「な!? いいわけないでしょう! 修行なんですよ! 真面目にやってください!」
汐音は抗議の声を上げると光輝を押し返す。
「座禅を組んで瞑想するんですね……」
光輝は二人に押されながらも真面目に考える。
座禅なら道場でもしていた。しかし最近は真聖剣のことで頭がいっぱいになり座禅を組むことをしていなかった。この機会に一度心を落ち着かせるのもいいと光輝は思った。
光輝は二人を放置して座禅を組み目を閉じる。
「お二人もどうですか?」
ライアーは汐音とカルマにも進める。
「私はいいです」
「オレも、じっとしてるのはどうもなぁ」
汐音はライアーの事をまだ警戒していた。いきなり現れて修行を見るなんておかしな話だ。こっちの世界では普通のことなのかもしれないけれど、だからと言って納得できるものでもない。
カルマは普通にじっとしてるのが苦手なだけだった。
「そうですね。汐音さんは必要なさそうですね。しかしカルマさんはやった方がいいと思いますよ。気性が激しそうですから」
ライアーの口元が少し笑っているようだった。
「大きなお世話だよ!」
カルマはそっぽを向いた。
「フフッ、瞑想とは己の心を制する訓練です。いざという時心が乱れては持っている力を最大限に生かすことができなくなります。心を制することができれば心を乱さず事に当たることができ力を最大限引き出すことも可能になるでしょう。……恋愛でも同じですよ。取り乱してばかりいる男に女性が魅力を感じるでしょうか?」
興味なさげに聞いていたカルマも、ライアーが恋愛の事を口にするとピクリと反応した。
「そ、そうだな。いざって時に力を引き出せないのはまずいよな。うん、まずいよまずい」
カルマは自分に言い訳でもするかのように繰り返し言うと座禅を組みはじめる。
「そんなに冬華ちゃんに振り向いてほしいんですか……」
汐音は呆れたように呟いた。
「ちっげぇし! 強くなるためだし!」
「はいはい、わかりました。さっさと目を瞑ったらどうですか?」
カルマが必死で否定するのを汐音は軽くあしらった。
「ふんっ……」
「……」
二人が静かになると汐音は光輝の側に座り二人を、光輝を見守る。
「光輝さんはなぜ修行をしているのですか? なんのために? 誰のために?」
ライアーは静かに語り掛ける。
「それは、この世界を守るために、みんなのために……」
光輝は目を閉じたまま答える。
「それは、光輝さんの意思ですか? それとも誰かに言われたから?」
「それは……僕の意思……」
「本当ですか?」
ライアーが詰問しているようで汐音が声を上げようとする。
「っ!?」
しかしライアーが手で制しそれを止める。ライアーは汐音へ顔を向け首を振る。
表情はわからないけれど、有無を言わさぬ迫力があった。
汐音は声を上げるために吸い込んだ息を吐き出すと、見守ることにした。
「……」
光輝は迷いがあるのか言葉を発しない。
「そこをハッキリさせなければ、力を手にしても意味はありません。いえ、力自体手にすることはできないでしょう」
「そ、それでも、力が必要なんです」
光輝は悲痛な声を漏らす。
「それはなぜですか? その資質があるからですか?」
「そうです。……持つ物は他者のためにその力を使わなければならない」
光輝は自信を持って言う。
「……立派な考えですね。ですが、それならば持たざる者はどうしたらいいのでしょう? 何もせず救ってもらうのを待つしかないのでしょうか? 持つ物にすべてを押し付けるしかないのでしょうか?」
「それは仕方がない事でしょう。力がないのですから持つ物にすべてを託すしかないじゃないですか」
光輝は諦めたように言う。
「それは……持たざる者があがくことを無駄だと、そういうことですか?」
「いいえ、そこまでは言いませんが……」
光輝は気まずそうに言う。
「光輝、人には力のあるなしに関わらず必ず役目があります。その人にしかできない役目が……」
「役目……」
「人はそれを自ら見出し、全うしようと努めるのです。自分の意思で……だからがんばれるのです。だから成し遂げられるのです。力も同じです。キミには確かに資質がある。しかし、どんなに資質があろうと人に言われてやっているようでは力を目覚めさせることはできません。自分の意思が、想いが、人の力を引き出す切っ掛けとなるのです。迷いのある状態ではそこには至れない。がむしゃらになるだけではダメなのです」
「……」
「光輝、キミはその力で何をしたいですか? 敵を倒したいのですか? 人々を救いたいのですか?」
「……救いたい、です」
光輝は迷いながらもそう答える。
「そうですか……それを迷いなく言えるようになればいいのですが……この瞑想でキミの迷いが晴れるといいのですが……キミの想いが確固たるものとなることをわたしは願っています」
ライアーはそこまで言うと口を噤んだ。
「……」
光輝はライアーの言葉を噛みしめ胸に刻み付けると、自分と向き合うために瞑想に集中していく。
汐音は何か思うところがあるのか黙り込んでいる。
カルマはすでに眠っていた。
「くーくー……ぐがっ、くー……」
城内の一室、結衣は一人黄昏ていた。
「ハァ、結局あたし一人か……」
汐音は光輝の修行について行ったため、結衣は一人になっていた。二人とは学校ではほとんど会話をしたことはなく、仲がいいというわけではない。総司と冬華がいない今この城に結衣が話のできる相手はアキしかいなかった。
そのアキも今ではサラという恋人を得て、そちらで仲良くしている。結果アキとも話ができず、見事に孤立していた。
「ハァ……総司、どうしてるかなぁ……」
結衣は総司の顔を思い浮かべる。しかしそれはカレンと仲良く語らっている光景だった。
結衣は頭を振り、その光景を振り払う。
「もう総司の事は諦めるって決めたでしょ。しっかりしなきゃ!」
結衣は両頬をパチンっと叩き、一人気を引き締める。
コンコン
扉をノックする音が響く。
「はーい!」
結衣は扉を開けた。
そこにいたのはローブを纏い、フードを深く被った見るからに不審人物だった。
「!?」
不用心に開けてしまったと結衣は後悔した。
「(わりぃなちょっと入れてくれ)」
「え? アキ?」
その声はアキのモノだった。
「(しーしー!)」
アキは人差し指を縦て口に押し付け、静かに! とジェスチャーする。
「(なんで顔隠すような格好してんの?)」
結衣は訝し気に訊ねた。一応小声にしてあげている。
「(仕方ねぇだろ、こうでもしねぇとサラさんを振り切れねぇんだよ)」
アキはまわりをキョロキョロしながら言う。何かの視線を気にするかのように。
「(なにそれ、恋人に黙って他の女に会いに来るって、それダメでしょ)」
結衣は修羅場はゴメンとばかりに言った。
「(俺とお前の仲だろ。大目に見ろよ。ていうか早く入れてくれよ)」
アキは懇願するように言う。
「(どんな仲よ! バカじゃないの!)」
結衣は小声で怒鳴りつける。器用な子だった。
「(そりゃお前、将来を誓い合った仲だろ)」
アキはイケメン風に言った。
「(ああ、将来あたしがアキをぶっ殺すっていう誓いね。うん、確かにした)」
結衣は冷淡にニヤリと嗤う。
「(そんな誓いしてねぇから! どんだけ俺を殺してぇんだよ!)」
アキはその理不尽に突っ込みを入れた。
「(じゃあ、どんな仲よ?)」
結衣は再び訊ねる。
「(フッ、決まってるだろ。結婚して幸せな家庭を築くって誓っただろ?)」
アキは結衣の顎を指でクイッと上げ口づけでもするかのように顔を近づけ、再びイケメン風に言った。
結衣は顔を赤らめ硬直する。
「……おい、なんか突っ込めよ」
アキは突っ込みを要求する。
結衣はハッとなりそのまま頭突きをかました。
「んごっ!?」
アキの鼻にクリーンヒットした。
「何すんだてめぇ!」
アキはあまりの痛さに涙目となり声を張り上げた。
「なに言ってんのよ! アキが変なことするからでしょ! 後声デカイ! 見つかるよ? フフッ」
結衣は文句を言うと、おかしくなり笑い出す。なんだか昔に戻った気がして嬉しかったのだ。
「(わかってんなら、笑ってねぇで早く入れろって!)」
アキは扉に手を掛け強引にでも入ろうとしている。
「(もう、仕方ないなぁ)」
結衣は部屋の前で騒がれるのも嫌なので仕方なく部屋へ入れた。
「ふぃ~助かったぁ」
アキは本気で言っているようだ。
「なに? サラさんと喧嘩でもしたの? それとも浮気がバレたとか?」
結衣はニヤニヤしながら言った。アキがここまでサラと顔を合わせまいとする理由はそれくらいしか思い浮かばなかった。
「んなことするかよ! もししたとして、俺がここにいるのがバレたら結衣が浮気相手と間違われるな」
アキはフフンと鼻で笑って見せる。だから俺を突き出すなと暗に言っていた。
「この外道!」
結衣はアキにグーパンを見舞った。
パシッ
アキはそのグーパンを手で受け止めると、そのまま引き寄せ、腰に手を回す。
「だったら本当にしちまうか?」
アキは結衣に瞳を真っ直ぐに見つめ真剣な表情で言う。
結衣は頬を赤く染め俯く。
それを了承と受け取ったアキは結衣をべッドに押し倒した。
バフッ
アキが結衣の瞳を見つめると結衣も見つめ返す。
「……いいよ」
結衣はそういうと瞳を閉じる。
結衣は総司を忘れるための相手として、アキならいいだろうと思った。総司以外で心を開ける男だったから。しかし、
その瞳からは涙がこぼれ落ちた。
「……」
しばらく沈黙が続いた。
何もしてこないアキを不審に思い結衣は目を開いた。
そこには肩を震わせ口を手で押さえ笑いを堪えるアキの姿があった。
「ププッ、何がいいんだよ、ぷぷっ、アハハハハ」
アキは堪えきれず笑い出した。
「な、……また騙したわね!」
結衣はアキを突き飛ばすと馬乗りになって枕で殴打していく。しかし枕だからダメージは少ない。
「アハハッハハハハハ、ヒィくるひぃ」
アキの笑いは止まらない。
ぶちっ
結衣の中で何かが切れる音がした。
「アキはいつもいつもいつもいつも、その気もないくせにあたしを口説こうとして! だから嫌いなのよ!」
「グハッ!?」
アキは精神的ダメージを受けた。
「もう、アキなんて大っ嫌い!」
「グハッ!」
アキは致命傷を受け動かなくなった。
それでも結衣は枕で殴打し続ける。
「バカバカバカバカ、嫌い嫌い嫌い嫌い、乙女の純情弄ぶなぁぁぁぁっ!」
ボスッ
結衣は止めを刺すと荒い呼吸を整える。
「ハァハァハァ……」
その隙を突きアキは結衣の額にデコピンをお見舞いした。
パコンッ
「イッタァァッ!?」
結衣が額に手をあて声を上げると、アキは無造作に起き上がる。その勢いで結衣は仰向けに倒れてしまった。
「ふぅ~、やっとらしくなってきたな。……ていうかこの体勢エロいな」
アキは結衣を見て呟いた。
想像してみてください、アキの上に馬乗りになっていた結衣がアキが起き上がることによって仰向けに倒れているのです。つまりはそういうことです。
結衣は顔を赤くするとアキの顔を蹴り飛ばした。
「ぶふっ!?」
「バカ! 変態!」
「イテテ、冗談だろ。怒るなよ」
「怒るわよ!」
「まあまあ、元気になったんだからいいじゃねぇか」
「元気になるな!」
結衣はアキの下半身を狙い蹴りを放つ。
「うおっ!? あぶなっ!?」
アキはかろうじて躱した。
結衣はフーフーと猫のように呼吸を荒くし怒りを見せている。
アキは結衣を宥めようと試みる。
そんなアキを見て今更ながらに結衣は気付いた。
「あ、あれ? なんでフード被ったままなの?」
「ああ、サラさんに魔法で見つけられると困るからな。このローブには魔法で探知できなくする効果が付与されているのだ」
アキはローブをヒラヒラさせて説明した。
「ふ~ん、まあいいや」
結衣は本当にどうでもいいように聞き流す。
「それで、なんの用なの? からかいに来たってわけじゃないんでしょ?」
「いや、からかいに来たんだけど」
パチンッ
結衣はすかさずグーパンを放つ、そしてアキは受けとめる。
「ウソウソ! 冗談だって!」
「だったらさっさと言え!」
結衣はもう片方の拳を握り込む。
「はいはい、相変わらずこえぇなぁ。……要件は二つだ」
アキは指を二本立てて言う。
「一つは、結衣の様子がおかしいから様子を見に来た。俺たちがいんだから一人で抱え込むな。言いたいことあったら溜め込むな言っちまえ、な」
アキは結衣の頭を優しく撫でてやる。
結衣はアキの胸に飛び込み嗚咽する。
「な、なんでそんな……こと言うの」
「んなの、お前のことが好きだからに決まってるだろ」
「また、そんなこと……アキはたまに優しいこと言うからムカツクのよ」
結衣の声は涙声で弱々しかった。
「それって普通好きになるポイントじゃねぇの?」
「アキはそれがなんかズルイのよ……ホントにズルイ……うっ」
いつもは適当にしているアキが時折見せる優しさ、本当に参っている時に現れては声を掛けてくれる。今日のアキも自分を心配して元気づけようとしてくれている。傷心の女の子に優しくするなんてやっぱりズルイ。結衣はそんなことを思っていた。
そんなことは露知らず、励ますようにアキは言う。
「大丈夫だ、総司のアホにはちゃんと渇入れといてやったから、すぐに迎えに来てくれる。そしたら遠慮なんかせず思いっきり当たっていけ! いいな?」
「で、でも、あたしは……総司は……」
結衣は肩を震わせ俯く。どんなに言っても総司は信じてくれないかもしれない。それが怖かったのだ。
「今のあいつなら大丈夫だ。あいつを信じてやれ」
アキはすべてわかっているかのように言う。
アキの言葉を結衣は信じられた。頭を撫でるその手から優しさが伝わってくるようだったから。
「……うん。ありがと、アキ。……ふっぐ、うっ、うえぇぇぇぇん」
アキは結衣が泣き止むまで頭を撫で続けた。冬華にするように撫で続けた。
・
・
結衣は泣き止むと、アキの胸を押し体を離す。
「もう大丈夫だから、ありがと」
結衣は涙を拭い笑顔を見せた。
「そっか」
アキも安心させるようにほほえみ返す。
そして、もう一つの要件を言うために表情を真剣なものへと変える。
「もう一つの要件なんだけどな……」
結衣はアキと昔のように話すことができたことで喜び、アキの異変に気付いていなかった。
「ん……ふぁぁぁぁっ」
汐音はいつの間にか眠っていたようだ。
「ん? 温かい」
汐音は頬に当たる温かいぬくもりに気づいた。汐音は顔を上げ横を向く。
「会長!?」
光輝は寝息を立てていた。
汐音と光輝は肩を寄せ合って眠っていたのだ。ちなみにカルマはすでの横になって寝ていた。
汐音はスッと光輝から離れる。すると、体重の支えをなくした光輝はそのまま汐音のいた方へと倒れ込んだ。
「ぐっ!?」
光輝は顔面を地面に打ち付けようやく目覚めた。
「んあ? ここどこ?」
「演習場です。会長は眠ってしまっていたようですね」
汐音は自分のも眠っていたにもかかわらず、そんなことはおくびにも見せずそう言った。
「そうだったか。僕もまだまだ修行が足りないな……あれ? ライアーは?」
光輝は思い出したようにその名を口にした。
「さぁ? 私が起きた時にはもういませんでしたが……」
汐音は自分で自白してしまった。自分も寝ていたことを。
「そうかぁ、お礼も言えてないのにな。まさか夢だったとか言わないよな?」
微妙に現実感に欠ける光輝は、自分の記憶が確かなのか自信が持てなくなった。
「ま、まさか……」
汐音も動揺を隠せないようだ。いろんな意味で……
そこへ血相を変えたサラがやってきた。
「みなさん、アキを見ませんでしたか?」
サラはアキを探しているようだ。
「一緒じゃなかったんですか?」
光輝が訊ね返す。
「そうなんですが、おばあちゃんへお使いモノを渡しにいってる間にいなくなってたんです」
サラの表情はこの世が終わってしまったかのような切羽詰まったものだった。
光輝はサラがアキの事を二度と失いたくないと言っていたのを思い出した。
確かにあの喪失感は耐えられない。必死になるのもわかる。
「アキのいきそうな場所か……いや、普通に部屋に戻ったんじゃ?」
光輝はぽろっと漏らした。
「あ!? ……ありがとうございます。わたし部屋の方見てきます」
サラは取り乱していてそのことに気付く余裕すらなかったようだ。
光輝はサラの後ろ姿を見送ると立ち上がる。
そして汐音に手を差し伸べる。
「冷えてきたし戻ろうか」
「はい」
汐音は光輝の手をとり立ち上がると、そのまま城内へと入っていった。
カルマの事を置き去りにして……
「くーくー、くあっ……ハッ……ハックショイ!? ……ん?」
闇に包まれる中、赤髪の女性が鏡の前に座り、鏡に向かい語り掛ける。
鏡にはその女性ではなくフードを深く被った人物が映り込んでいる。
赤髪の女性はその人物と会話をしていたようだ。
「それで、首尾はどうだ?」
フードの人物はその低い声からして男のようだ。
「はい、滞りなく。後はあなたの合図でいつでも行動に移せます」
赤髪の女性は不敵に笑う。
「フッ、そうか」
フードの男は満足気に笑う。
「そちらはどうでしたか? 彼の様子は」
赤髪の女性は訊ねる。
「ああ、やはり放置しておくには危険な力だ。早急に手を打たねばならない」
フードの男は表情を険しくしそう告げた。
「それではこの機に?」
「ああ、そちらの手はずも頼む」
「わかりました……」
赤髪の女性は頷くと通信を切った。
「ふん、借りはさっさと返すとしますか……」
赤髪の女性は闇へと消えていく。
ようやく動き出したような気がしなくもない。