泡沫を掬い上げようとしたの
目を閉じる。
すぐそこまで夢が来ているから。
目を、開く。
そこには変わらない現実がある。
いったい、いつまで、わたしはこの世界で生き続けていくのだろうか。
人間は永遠には生きられないのに、永遠に人であり続けるという矛盾。
これが夢で、これが変わらない現実でなければどれほど良かっただろう。
腕をついて、起き上がる。
視界に入る白の、なんと忌々しい事か。
この長い白い髪が、まるでわたしのようだと昔の友に言われた。
そしてこの足首に絡まる鎖の、なんと悲しいことか。
「白色がいけないの・・・。」
「わたしの命も自由も、わたしのものだと思うけどねぇ。」
「いいえ、いいえ・・・白色は私のよ。」
虚ろな瞳の鬼が囁く。
狂ってしまったこの鬼は、もうわたしを愛してはいないんだろう。
愛と執着は別物で、嫉妬と独占欲の違いに気がついてもいないんだろう。
かわいそうな鬼から、目をそらした。
目を、閉じよう。
すぐそこまで夢が来ているから。
夢を見ていよう。
つかの間の淡い泡沫。
きっとすぐに時間が連れ去っていくだろう。この状況も、彼も。
人間として永遠に死ぬことのできない、わたしだけを置き去りにして。




