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合同訓練

【学園戦艦:第三訓練場】


俺達四人は今、カズヤとの合同訓練のために第三訓練場に来ていた。


「さーてハルト!あたしたちの相手はどこにいるんだ?」

やる気満々!、といった感じのアスカがショットガンをいじりながら俺に聞いてくる。

「まぁ、落ち着けアスカ...来たぞ」

訓練場の入口からこちらに向かってくる集団が一つ。

(人数は...四人か...当然だな)


「ようハルト! 待たせたか?」

特に悪びれた様子もなく、カズヤが近づいてきた。

「いや、こっちも今着いたところだ」

(いつも思うが...遅れて来た奴に対する返し言葉は、なぜ毎回これなんだろう?)


「そうか、ならさっそく訓練メニューを決めようか」

「ああそうだな....っ」

そう言おうと口を開いたとき、俺を押しのけ、カズヤの目の前に出て行く女性が一人。

「はいはーい!合同で訓練やるんだから、チーム同士で戦えばいいと思いまーす!」

アスカが笑顔で言う。

(アスカ、今のお前の発言には...完全に私情が入ってるだろう?)

そもそも、チームでの合同訓練の話が出た時、アスカがすんなり賛成してくれたことには、絶対に何か理由がある。

その理由とは....。


「いや、それもいいが....アスカ?ここはチーム同士の連携を高めるためにだな...っと」

カズヤを押しのけ、今度は俺たちの前に出てくる女性が一人。

「それ賛成!ね~、カズヤ、アスカの言った案でいいじゃん?」

カズヤが頭を抱える。

「お前の場合は私情が入ってるんじゃないのか?....“カグラ”」


立花たちばなカグラ.....同じ四組のクラスメイトであり、カズヤのチームメイト。

女性らしく引き締まった体に褐色の肌、ピンク色の髪が特徴。

アスカと同じくCQC(近接格闘)のプロで近接戦だけなら学年第3位の実力者である。

チームでのポジションもアスカと同じ強襲突撃兵アタッカー

...ちなみに胸は並。


使用武器は、旧ロシア製ヴェープル12モロトというSG(ショットガン)だ。

赤紗アスカの装備している SAIGAサイガ12と同じ 旧ロシア製散弾銃。

こちらもボックスマガジンを採用しているため、高い攻撃力を持つ。


俺が噂で聞いたところ、中学生の頃からアスカとはライバル関係だったようで、この学園に入学してもその関係は変わっていないそうだ。

(まぁ、俺から見れば仲の良い姉妹みたいだが)

.....なんて言ったら殺されるかなぁ?...殺されるだろうな。


「ん?なんだ、まだ生きてたんだ...カグラ?」

「あんたこそ....元気そうでよかったよアスカ?」

「....」

二人とも無言でにらみ合う。

(気のせいだろうか....二人の間に、火花が散っているように見える)


「あー...いいか?二人とも?」

様子を見かねたのか、カズヤが二人の間に割って入る。

「うん、別にいいよカズヤ.....何も今ここですぐに殺し合うワケじゃないしね....」

笑顔で答えるカグラ。

それに対し、アスカは無言でカグラを見つめて...いや、睨みつけている。

(どうしてだろう....今回の訓練は、最悪の何かが起こる...そんな予感がする)


「さて、気を取り直して訓練メニューを決めよう」

俺たちの方を振り向いたカズヤがそんなことを言っている。

....とりあえずアスカ達のことは無視することに決めたらしい。

「そうだな、何にするよ?」

「チーム対決!!デスマッチ!!」

すかさず、アスカとカグラが揃って提案を言う....いいのか?死人が出るぞ?その訓練は...。


「あのなぁ、お前ら個人での訓練なら何をしてもいいが、チームでの訓練ってのはだな...」

半殺しを覚悟して、アスカ達に説教してみると...。


「ちょっといいかな?」

俺の言葉が遮られる。

「....何ですか“レイカ”さん」


獅童ししどうレイカ....同じ四組のクラスメイトでカズヤのチームの援護補佐兵サポーター

腰まで伸びたツヤのある黒髪が特徴。

同い年とは思えないほど大人な女性でクラスのほとんどの奴は敬語で話す。

...ちなみに胸は大。


使用武器は、旧H&K社製のMPエムピー7というPDW(個人防御火器)。

携行性及び隠匿性に特化したデザインのPDW(個人防御火器)であり、雨音シズカの装備しているP90とはライバル関係である。

200m離れた標的にも命中する、高い集弾性や豊富なアタッチメントが装備可能で優秀な銃の一つである。

使用弾薬は4.6x30mmの汎用小口径高速弾。


「チーム同士での対決というのは、私も賛成だよ」

(まずいな...この人が賛成と言うと、他の奴らも賛成するかも...)

「そうね、レイカさんが言うならそれもいいかも..」

シズカが呟いている。

「くっ...」

チラッ、カズヤを見る。


「.....」

何かを考えているように目を伏せている。

「なぁ、他の奴の意見も聞いてみないか?」

ここはとりあえず、俺なりの考えを言ってみる。

「そうだな....チームでの連携か、対決かどちらがいいと思う?...“サクヤ”」

今まで、カズヤの後ろに隠れていた少女にカズヤが質問する。

「ええッ?わ、私ですか?わ、私はあのーその....み、皆さんにお任せします!」

夜桜よざくらサクヤ....同じ四組のクラスメイトでありカズヤのチームの索敵狙撃兵サーチャー

名前からわかるように、夜桜マヤの妹であり狙撃兵スナイパー

獲物はマヤと同じ 旧ロシア製のSVDカスタムというSR(スナイパーライフル)だ。

こちらも自分で改造したらしく通称”サクヤスペシャル”と呼ばれている。

白髪で耳に黒いヘッドホンを付けているのが特徴。

容姿や背丈までマヤとそっくりだが、性格は少し臆病だ。

....ちなみに胸は貧。


「.....サクヤしっかりと自分の意見を言って」

妹の態度が気に入らなかったのか、サクヤがマヤに近づいていく。

「で、でもでも....私の意見なんか....全然参考になんて...」

今にも消え入りそうな声でサクラが反論する。

「....もういい...ハルト、私はチーム対決がいい」

そいう言うと、マヤの頭を叩くサクヤ。

(やれやれ、この姉ときたら)

「相変わらず妹に厳しいな、マヤ?」

コクン、とマヤがうなずく....その隣ではマヤが、下を向いて涙をこらえている。

(....本当にこの姉は)


「さてと....みんなの意見をまとめるとチーム対決でいいんだな?」

「もちろん、いいよね?...アスカ?」

カグラが笑みを浮かべ、アスカを見つめる。

「当然!いいに決まってるじゃん?....カグラ?」

笑顔で答えるアスカ。

(二人の間に火花が散っているのが見える....この二人は確実に大暴れするだろうな....)


「ふむ、私も異論ないぞ」

「ええ、私もいいわ」

シズカとレイカも了承した。

(それにしても、二人はいつからこんなに仲が良くなったんだ?さっきから何やら話し合っているが.....?)


「....私も異論ない、サクヤはどう?」

「は、はい!.....い、異論ありません!」

「....」

(明らかにマヤがムスッとしている....この姉妹にも、良くない何かが起こるな、これは....)


「おっとそうだ、作戦指揮兵チームリーダーさんの意見を聞いていなかったな、ハルト?」

やる気満々といった顔でカズヤが俺に聞いてくる。

(この雰囲気で“やらない”なんて言ったら、撃たれるだろ俺....主に突撃教習兵アタッカーの奴らに)


「いいぜ、チーム対決で」

一応挑発の意味を含めて笑顔で答える。

「よし!なら細かいルールを決めようか」

完全にスルーされた....。

「会場はここ第三練習所だ、半径1Km、直径2Kmのドーム状の会場すべてが戦場でいいな?」

「ああ、いいだろう」

数ある訓練場の中でも、ここは中くらいの広さと言える、身を隠す障害物も多く、対人戦となれば、かなりの戦略が必要になる。


「使用弾薬は全てペイント弾にするか?当たった位置がわかるように」

「そうだな...なら頭以外なら、どれだけあたってもOKなルールにするか...」

じー....。

...俺とカズヤの会話が始まってからずっと、アスカとカグラの視線が痛い、これくらいのルールにしないと後で張り倒されるだろう。

「そうだな、みんなもそれでいいか?」

コクリ、全員がうなずく。

「よし、話をまとめると...戦場は訓練場全体、使用弾薬はペイント弾、頭以外はノーカウント、先に全員倒されたチームの負け、こんな感じだな?」

「ああ、そうだなカズヤ、それじゃお互いの姿が見えなくなってから5分後に開始でいいな?合図はこっちで出すから」

「了解!それじゃあ俺たちは向こうに行くか」

カズヤが自分の仲間たちを促す。


「アスカ...待ってなよ、叩き潰してやるからさ」

「うん待ってるね...あんたが叩き潰されに来るのを」

「....」

握手を交わす二人。

恐らく、全力で手に力を込めているのだろう....握手している手が震えている。


「シズカくん、私は君と戦うのが楽しみだよ」

笑みを浮かべながらレイカが言う。

「私もレイカさんとは一度手合わせしてみたかったの….お手柔らかにお願いします」

笑顔で返すアスカ。

二人の間にも何やら嫌な空気が流れ始めている...。


「....サクヤ、瞬きなんてしちゃダメ」

「?」

不思議そうな顔をするサクヤ。

「....次の瞬間には天国が見えてるから」

「!!」

サクヤが驚きと同時に泣きそうな顔になっている。

(....一体何を言ったんだ?マヤは?)


「ハルト....」

俺を呼ぶ声に振り返る、そこにはカズヤがいた。

「....カズヤ」

俺たちはお互いを見合う。

「「....ケガ人が出ないようにお互い頑張ろう」」

それが俺とカズヤの交わした言葉だった...。


「そろそろ訓練開始だな...」

カズヤ達が見えなくなってから、既に4分が経過していた。

「フ~ンフフン♪」

カチャカチャ....。

アスカが鼻歌混じりにショットガンをいじっている。

(かなり上機嫌のようだな....よし、ここは一つリーダーとして注意しておくか)

そう思い、アスカに話しかける。

「なぁアスカ?一応言っておくが、これは訓練だからな?くれぐれもケガとかさせないように....」

「わかってるって!大丈夫、大丈夫!」

こちらに振り向きもせず、アスカが答える。

(....本当に大丈夫だろうか?...ダメだろうなぁ....多分)


「ハルトくん、そろそろ合図出さないと...」

時計を見ながらシズカが言う。

「そうだな、みんな準備はいいか?」

「OK!」

「いいわよ」

「....いつでも」

三人ともいいようだ。

スッ....俺は懐から、信号拳銃ベリーピストルを取り出す。

「それじゃあ、行くぞ」

銃を空に向け、引き金を引く....ドン! 空に赤い煙が上がった。

「訓練開始だ!」

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