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二人目の仲間

【学園戦艦:地下一階 特別近接戦闘訓練場】


「あいつなら、ここに居るよな....」

俺とシズカはチームの主力の強襲突撃兵アタッカーである女性を探しに来ていた。


「学園戦艦地下」....ここには射撃練習場や武器庫、弾薬庫などいろいろと危険な部屋がある。

その中でも特に危険なのがここ「特別近接戦闘訓練場」だ。

...なぜ危険なのかと言うと。


ドゴンッ!!

一撃で人間を吹き飛ばすことができる、SG(ショットガン)の銃声が聞こえてくる。

(....ほらやってるよ)


なぜ近接戦闘訓練場の中で、ショットガンの銃声がするのか?

答えは簡単...ショットガンを使って近接戦を行うのだ。

あくまで俺個人の意見だが...(正直言って、超危険な行為だ)


実際、俺のチーム以外の突撃強襲兵アタッカーもショットガンを使って戦う者は多いい。

ARアサルトライフルSMGサブマシンガン)に比べ、一発の威力が高いため、突撃強襲兵アタッカーに求められる“強襲”と”突撃”この二つを期待できる武器だからだ。


だが....「dead」の群れに突っ込み、ショットガンを撃ちまくるような戦い方をする者はそう多くはいない。

この学園でそんな戦闘行為(自殺行為?)をする奴を、俺は二人しか知らない。


味方の射線に入ったりされると邪魔になるし、見ているこっちが怖い。

元々”突撃強襲兵アタッカー”の奴らは危険人物が多い。

(....この学園自体、危険人物の巣窟だが)


その中でも、俺のチームメイトである“彼女”はダントツに危険だ....恐らく学園一番の危険人物だ。

彼女は....「dead」を殺しながら笑ってるような女性であり、人を虐めることに楽しんでいる本物のSサディスティックな女性だ。

ショットガンで撃ち殺すだけじゃなく、殴り殺したりもしている。

彼女と初めて合った時は銃を向けられた過去もある。

(....この話はいずれ話そう)


ドンッ!ドンッ!ドドンッ!!

訓練場からは、絶え間なく銃声が聞こえてくる。

「なぁ、シズカ?....これ入んないとダメかな?」

僅かな希望を持ってシズカに聞いてみる。


「も~....ダメだよハルトくん!みんなで訓練するって決めたでしょ?」

そう言って俺の背中を押すシズカ。

(いや、それはそうなんだが...)

絶えず銃声が鳴り響いている教室の扉を見つめてしまう。


この訓練場は「特別」だけあって一般生徒はまず来ない、なので廊下は薄暗く壁には弾痕があったりする。

(なんだか扉を開けた瞬間に撃たれそうだな....)

そんな危機感を感じながら俺は扉を開けた。


ドンッ!

扉を開けた途端に、体に鈍い衝撃が走った。


(ほらな...俺はなんか嫌な予感がしたんだよな....)

そんなことを考えながら俺は、訓練室の床に倒れた。

「あっ!ごめんごめん、急に扉開けるからつい反射的に撃っちゃった...ってなんだハルトか」

(人をショットガンで撃っておいてこの反応....いくら訓練用の特殊ゴム弾だからって痛いんだぞ?)


ツンツン、ツンツン。

倒れている俺を銃口でつついてくる。

「お~い、大丈夫か?ハルト~?」

(...やめろ、銃で人をつつくな)


「ハルトくん大丈夫?」

心配そうな顔で俺を見つめるシズカ。

(ありがとうシズカ心配してくれて....でもな、できれば俺を撃った女を叱って欲しい....無理か)


「とりあえず大丈夫そうだね....弾も訓練用のゴム弾だったし」

(...いや、だからゴム弾ってかなり痛いんだぞ?)

「で?あたしになんの用?お二人さん?」

(この女、床に倒れている俺を無視して話を進めてる)

「あっ!そうそう!今日はチームで訓練をしようと思って“アスカ”さんを呼びに来たの」


赤紗あかしゃアスカ...俺をショットガンで撃った女の名前だ。

スレンダーな体に、燃えるような赤い髪をヘアピンで止めているのが特徴。

チームの強襲突撃兵アタッカーにして危険人物。

CQC(近接格闘)のプロで近接戦だけなら、学年第1位の実力者だ。

....ちなみに胸は並。


使用武器は、旧ロシア製の“IZHMASHイズマッシュ SAIGAサイガ-12”というSG(ショットガン)

耐久性や信頼性が高く、ボックスマガジンという、弾倉マガジンの中に散弾を数発装填して射撃することができるので、他のSGショットガンとは違い、対“dead”戦闘時には高い攻撃力を持つ武器である。


グリグリ....。

「ぐあっ」

「いつまで寝てんだ?ハルトよ?」

(...やめろ、足で踏むな)

倒れている俺を右足で踏みつけているアスカ、その顔には笑みが張り付いていた。


「もしかしてあれか?死んだふりしてパンツ覗こうとか思ってんのか?」

ニヤニヤしながらアスカが聞いてくる。

「えっ!本当?ハルトくん」

「なっ!....違う!純粋に撃たれて動けなかったんだよ!」

痛みに耐えながら、なんとか起き上がり反論する。

「本当か~?...気をつけろよシズカ、こいつお前の方見てたぞ」

「えっ!....もう~ハルトくんのえっち」

スカートに手を当て、こちらを睨んでいるシズカ。


「いや!待てシズカ、俺は見ていない!……見たくても見えなかった…」

「...バカ」

そう言うと向こうを向いてしまった。

(ああ....チームの中で唯一、俺に優しい彼女に誤解を与えてしまった)


(....まぁ見たかったのは事実だが)

心の中で呟く。

「さてと、ハルトが女の子のパンツを覗くような変態ということは置いといて、さっきシズカが言ってた訓練の話をしない?」

「誤解を招くことを言った張本人がそれを言うか?」

「そうね....他にも探さないといけない人が居るから、そろそろ行きましょう?」

腕の時計を見ながらシズカが言う。

(....俺のことは無視か?)


「了解!あたしはここを片付けてから行くから、ちょっと外で待ってて」

そう言って訓練室の片付けを始めるアスカ。

「分かったわ、外で待ってるから」

(ほとんど俺抜きで話が終わったな)


俺とシズカは訓練室を出る。

じー....。

(なんか視線を感じるな)

「ん?なんだよシズカ....じっとこっちを見て?」

「....ハルトくんの変態」

「なっ!シズカお前本気にしてるのかよ?」

「だって、ハルトくんのことだから....本当は見ようと思ったでしょ?」

俺の心を見透かしたように言うシズカ。


「うっ、いや....その」

返す言葉が見つからずに、あたふたしてしまう。

「....やっぱり」

「だっ!だって見えそうだったからつい....」

「....変態」

プイッ。

また向こうを向いてしまった。

(シズカとは今度ゆっくり話すことにしよう)

俺がそう考えていると、片付けが終わったのか、訓練室からアスカが出てきた。


「お待たせ~お二人さん」

片付けも終わり意気揚々と訓練所から出てくるアスカ。

「よし、これで残るは“あいつ”だけか...厄介だな」

「そうね」

「ああ」

「....」

三人の間に重い沈黙が訪れる。

なぜなら、最後の一人も危険人物....いや、ある意味で問題児だ。

「とにかく探すぞ」

「ええ・・・そうね」

「ああ・・そうだね」

俺たちは暗い気持ちになりながら、最後の一人を探しに行くのだった。


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