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三話、初めての剣

〔グラガスの町〕


グラガスの町をアーリアはルミナと一緒に意気揚々と歩いている。


これから始めての武器である剣を購入するのだ。


「やぁいらっしゃい」


店に入ると店主が迎え入れてくれた。


「初めての剣を買いに来たのかい?」


「うん、予算は一万ゴールドなの」


アーリアはしっかりと予算を伝える。


「ふむ、一万か、ならこっちだよ」


店主がアーリアとルミナを案内し一万ゴールド付近の剣が並ぶ棚に案内してくれた。


「ゆっくりと時間をかけ選ぶと良い、武器は自分の命を守ってくれるものだ」


「うん」


アーリアは武器を選び始める。


しかし姫君をしていたアーリアに剣の良し悪しなど分かるはずもなく困りルミナを見るが。


ルミナも武器に関しては買い与えられた物を使っており目利きなどした事がないためどれが良いのかなど全く分からない。


『仕方ない、今回は我が見てやろう』


「うん、ご先祖様、お願い」


アーリアは肉体の主導権をゼーリアに譲る。


「ふむ、久し振りの肉体、とても良いものだな」


「話に聞いていましたけど、本当にゼーリア様が宿っているんですね」


ルミナは前日にアーリアから頭の中にゼーリアがいると聞いていてため驚く事はないが。


実際に目にしたのは初めてであるためゼーリアが宿っている事について言及した。


「それでは見るとするか」


ゼーリアは一つ一つ剣を手に取り確かめて行く。


今のアーリアの筋力に丁度良い重さと質の良さを見ているのだ。


「これが良いな」


暫くしてアーリアに適切な一本をゼーリアは選んだ。


ここでアーリアに肉体を返す。


『アーリアよ、剣を振るって見せよ』


「うん」


アーリアは剣を振るってみた。


すると完璧に自分に合った重さなのが分かる。


何故ならとても振りやすいからだ。


「ありがと!ご先祖様!」


『ククク、良い良い、それでは購入せよ』


「うん!」


アーリアは初めての剣を抱きしめながらカウンターに行き剣を購入した。




武器を購入したアーリアは腰に取り付けた。


魔王の一族の者なだけはあり剣を装備した姿は様になっている。


「それじゃ早速依頼に…」


依頼に行こうとルミナに言おうとしたアーリアであるが前から悲鳴が聞こえて来た。


「泥棒よ!」


どうやら女性が鞄を盗まれたようだ。


「事件発生だ!ルミナ!あいつ捕まえるよ!」


「おー!」


二人の少女は駆け出し男を追い始める。


「くそっ!やけにはええ!」


男は幼い見た目からは想像出来ないくらいに足が速い二人に舌を撒きつつ必死に逃げる。


「喰らいなさい!サンダーショット!」


ルミナは得意の雷属性の魔法を放った。


「チッ!」


男はルミナの魔法を避けた。


「…」


アーリアは走りながら状況を判断し男が角を曲がった瞬間に男の進路を塞ぐように魔力で作った糸を配置する。


「!?」


男は糸に絡め取られて転けた。


「くそぉ!」


男は怒りつつ武器を引き抜く。


アーリアとルミナも剣を引き抜くがルミナはアーリアの前に立った。


「剣を初めて握ったあなたでは大人に勝つ事は出来ないわよ、援護をお願い」


「…」


つまりは今のアーリアでは近接戦闘では役に立たないと言われたのだ。


「オラァ!」


男は剣を振るう。


ルミナは確実に避け剣を振るうが避けられた。


「ガキが!舐めんなよ!」


男は連続して剣を振るいルミナを押して行く。


男のレベルは45ルミナはかなりの剣の腕を持つが流石に厳しい相手だ。


「死ね!!」


男はルミナを殺すつもりで突きを放ったがアーリアが割って入り天性のセンスを活かして剣を振り上げると男の剣をへし折った。


「流石だわ!」


ルミナは初めて剣を握ったと言うのに折って見せたアーリアを流石だと思いつつ回し蹴りを顔に直撃させて意識を奪う。


「君たち!無事か!」


ルミナが気絶させてから数秒後に兵達がやって来た。


兵達は男が倒れているのを見て驚く。


「君達が?」


「うん!私達が倒したよ!」


「ほほう…それは大変見込みがあるな、スカウトしたいくらいだよ」


「あはは、私達は冒険者だから兵隊にはならないかなぁ」


「残念だ、さてこの男を捕らえた報酬を渡すから駐屯地に来てくれ、それではまた明日」


兵は男を引き上げると去って行った。


「やったね、ルミナ」


「ええ」


二人は見事泥棒を捕まえて見せた事に対し自信を持ち嬉しそうに頷き合った。



〔冒険者ギルド〕


剣を買った日の夜。


アーリアとルミナは夕食を食べた後お風呂に入っていた。


二人とも胸に関しては成長期が始まった瞬間と言った様子でありアーリアはほんの少しの膨らみルミナは膨らみ始めと言ったサイズになっている。


「ルミナの方が背高いよねぇ」


アーリアの背は141センチルミナは149センチ。


ルミナの方が背が高いのである。


「あなたの両親の背は?それであなたがどのくらいのびるのか?って分かるのよ?」


ルミナはアーリアの両親の背について聞いて来た。


「お父様は大きいね、お母様は155センチくらいかな」


「んーお母さんの方が少し低めなのが怪しいわねぇ…」


アーリアは母の方の身長を遺伝子として引いてる可能性があるのである。


「い、今から背が伸びるための努力をしなきゃ…」


嫌な予感がしたアーリアはしかし思う背などどうやって伸びるのだ?と。


「牛乳飲めば良いって聞くわ」


「牛乳!よし飲もう!」


アーリアは牛乳もっと飲もうと思う。


しかしカルシウムはどれだけ飲んでも背は伸びず胸やお尻だけパワーアップさせる場合もあるのである。


『アーリアよ、今夜よりお主に剣を教えて行く、良いな?』


そんな話をしているとゼーリアが話しかけて来た。


「うん、剣を覚えて強くならなきゃね」


そうしなければ自分の復讐は成せないだからこそアーリアは強くなるのだ。


「ゼーリア様に剣を教えてもらえるの羨ましいなぁ」


ルミナは伝説とも言える存在に剣を教えてもらえるのを羨ましいと言った。


「ねっ?ご先祖様、ルミナも教えてあげる事って出来ないの?」


『現状のお主の力では無理だな、もう少しサキュバスとして成長しお主の夢にルミナを引き込めるようになればルミナに教えてやることも出来るようになるがな』


アーリアは覚醒したばかりでサキュバスとしての力を上手く扱えていない。


そのため現状ではルミナをゼーリアが鍛える事は出来ないのである。


「私がサキュバスとして成長すれば私の夢の中にあなたを連れて行けるようになるんだって」


「!、なら成長頑張って!」


成長すれば自分もゼーリアの教えを受けれる!そう思うルミナはアーリアのサキュバスとしての成長を望む。


「あはは、まだ出来るだけやってみるよ、さっお風呂からあがろう?」


「ええ」


アーリアはルミナと一緒に浴室から出て部屋に向かう。




〔アーリアの精神世界〕


アーリアの目の前には剣を持ったゼーリアが立っている。


「さて早速だが修行を始める、まずは素振りだ、これが剣士としての全ての基本となる、しっかりと我の真似をし我の剣技を受け継いでくれ」


「うん」


「それでは始めるぞ」


ゼーリアが剣を振り始めた。


その素振りは今日から剣を学び始めるアーリアでも研ぎ澄まされていると思うほどのものでゼーリアは生前相当に強かった事が素振りを見ても分かる。


「真似をしてみよ」


「うん!」


アーリアはゼーリアの素振りを見て真似をしつつ剣を振り始める。


しかしゼーリアは音もなく剣を振るう事が出来ているがアーリアは棒が空を切る音が鳴ってしまっている。


音が鳴る時点で無駄な動きが多いと言う事だ。


「そのまま振っておけ、ダメなところを随時直す」


ゼーリアはアーリアに剣を振らせ続け無駄な動きをしている部分を手で押さえて動かないようにして矯正して行く。


こうする事で効率的にアーリアの剣技は成長して行くのだ。


「ふむふむ、やはり我の跡を継ぐ者!成長が早いな!」


ゼーリアはアーリアの成長の早さを見てかなりの剣の才能を持っていると思う。


この様子ならば一年も教えればかなりの腕前になるだろう。


「だって強くなりたいもん!本当に真剣にやってるよ!」


強くなりたいと本気で思っているアーリア。


だからこそだ本人の才能もあるが強い想いも上達の早さに明確に影響している。


「良い良い、強くなるためにも想いも間違いなく必要だからな」


ゼーリアは本気で強くなろうとしているアーリアを認め元々本腰を入れるつもりであったが更に本気になって教えると決めた。


アーリアのやる気はゼーリアのやる気も上げるのである。


「それではこのまま後百回振るのだ!」


「はい!」


アーリアはゼーリアの矯正を受けつつ百回剣を振り終えた。


「終わったー…」


アーリアは剣を振り終え地面に座り込む。


精神世界の中とは言え疲れたのだ。


「初めにしては上出来だ、だがまだ休むには早いぞ?次はランニングをするのだ、体力を付けなくてはならんからな」


「はーい」


アーリアはシュタ!と立ち上がるとランニングを始める。


ゼーリアも一緒に走りアーリアは強くなるための第一歩を明確に進めるのであった。

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