詩 彼女と腕を組む
掲載日:2026/05/07
「腕でも組まない?」
「え」
彼女は驚いたように振り向く。
俺は平気なふりをして、彼女を見つめる。
彼女の頬がみるみるうちに、赤くなっていく。
「い、いいの?」
かすれ声に緊張しているのが、伝わってくる。
もちろん自分も緊張していた。
周りがヒューヒューとはやしたてるので、「うるさい」と怒鳴る。
ここは俺が守ってやらないと。
そう考えていると、彼女が自分の腕を勢いよく絡めてくる。
細くて、強い風が吹けば、吹き飛ばされそうな腕。
手放さないように、誰にも渡さないように、腕に力を込める。
彼女も気づいたようで、少し強く絡めてくる。
「好きだからね」
皆に聞こえないように、早口で言われ、俺は無言でうなずく。
天国に行きそうなくらい、舞い上がっていた。
更に彼女は甘えるように、もう片方の手をそっと触れさせてくる。
2人だけの世界。
まるで桃源郷にいるみたいな、華やかさだと想像し、口の端をあげる。
敵はいないな。
彼女も落ち着いたな。
ちゃんと周りを見て、彼女の髪にキスする。
愛しているぜ!!




