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潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい  作者: 葉方萌生
第四章 闇の星

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公認カップル

 高校一年生、七夕の日に交際をスタートさせた私と翔の噂は、瞬く間にクラス中、いや学年中に広まっていた。


「天ヶ瀬翔と……城島朝香? 城島って誰だっけ」


「ほら、四組のあの真面目な……」


「ああ、なんか見たことあるかも。でも天ヶ瀬翔と仲良くするようなタイプだったんだ」


「しっ! 声が大きいよ」


 廊下を歩いていると、名前も知らない同級生たちが私と翔の仲を噂している声が耳に飛び込んできた。隣を歩いていた菜々が、「気にしなくていいよ」と慰めてくれる。言われるまでもなく、気にすることはなかった。なぜなら周りの目など気にならないくらい、私は翔に夢中になっていたのだから。


「朝香ちゃんって変わったよね」


「うん。天ヶ瀬くんと付き合ってから明るくなった。それに、よく見たら美人だしお似合いっていうか」


「だよね。あーあ、天ヶ瀬くん、朝香ちゃんにぞっこんみたいだから私にはも

う望みないかー」


「え、あんた天ヶ瀬くんのこと狙ってたの!?」


「狙ってたっていうか、仲良くなったらワンチャンあるんじゃないかって思っただけー」


 クラスメイトたちは、私と翔が仲良くしているところをたくさん見ているせいか、そのうち私たちのことをとやかく言う人はいなくなった。それどころか、学年公認のカップルとして、生徒だけでなく先生にまで認知されている。こりゃ、喧嘩はできないなと二人で大笑いした。


 カップルで歩いているところを見られるのは恥ずかしいという気持ちもあったけれど、それでも私は翔の彼女になれてとても誇らしい気分だった。


 翔は私と付き合った後も、変わらずクラスメイトのみんなと楽しくやっているようだった。中でもクラスのムードメーカーである隼人とは仲良しで、他クラスの菜々とも、私を介して友達になった。

 秋の運動会ではブロック対抗リレーでアンカーを務めた翔を、精一杯応援した。

 翔がリレーで大活躍し、私たちのクラスの赤ブロックが優勝した時にはみんなで翔を胴上げした。翔は照れくさそうに鼻の下を掻いて、私に汗の沁みたハチマキをくれた。私はそれを、自分の部屋に大事に飾った。


 冬、クリスマスイブは二人でちょっとお高いレストランに行った。周りは大人のカップルばかりでドキドキしたけれど、レストランの窓辺から月の影が浮かぶ海が見えてすごく綺麗だった。


「はいこれ。クリスマスプレゼント」


「え、ありがとう。なんだろう」


「開けてみて」


 翔が、小さめの真っ白な紙袋を私に差し出す。見覚えのあるブランドのロゴが入っていて、確か菜々とショッピングに出かけた時に、彼女が好きだと言っていたアクセサリーブランドだと気づいた。


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